SHIFT(3697)2026年8月期 通期決算分析――関連会社の損失の中身が気になる

SHIFT(3697)2026年8月期 通期決算分析――関連会社の損失の中身が気になる 日本株

作ったソフトを、世に出す前に確かめる会社

SHIFTは、ソフトウェアのテストから始まった会社です。銀行のアプリや通販サイト、社内の受発注の仕組みなどを、作った人とは別の目で動かします。そうして、不具合が無いかを確かめます。システムが止まると困る会社が、出す前の確認を外に頼むときの相手です。

いまはテストだけではありません。何を作るかを一緒に考える相談、システムそのものの開発、問い合わせ窓口や事務の代行まで手がけています。同業の会社を次々に買って、グループを大きくしてきました。今回の決算では、その「買う」側の動きが数字のあちこちに出ていました。

売上は4分の1増え、最終利益は減った

2026年10月15日に出た、8月までの1年分の決算です。

今回前期増減率
売上高1,616億円1,298億1,900万円+24.5%
営業利益174億4,500万円156億2,800万円+11.6%
経常利益133億2,000万円151億8,100万円△12.3%
純利益74億3,000万円89億3,500万円△16.8%

上の2行は増え、下の2行は減っています。途中で向きが逆になっています。

営業利益と経常利益のあいだで、41億円が消えている

最初に引っかかったのは、営業利益と経常利益の差です。今期は営業利益が174億4,500万円、経常利益が133億2,000万円です。差は41億2,500万円になります。前期は営業利益が156億2,800万円、経常利益が151億8,100万円でした。差は4億4,700万円です。

損益計算書の営業外費用を開くと、差のほとんどが1行に集まっていました。

営業外費用前期今期
持分法による投資損失7,500万円38億6,100万円
支払利息1億1,700万円3億6,100万円
出資金運用損3億9,000万円2億3,900万円
営業外費用の合計6億9,500万円45億4,500万円

持分法は、子会社ほどではないものの、まとまった株を持っている出資先に使うやり方です。その出資先の損益を、持ち分に応じて自社の決算に取り込みます。38億6,100万円は、SHIFT自身の仕事ではなく、出資先のどこかで出た損ということになります。

出資先の名前は、短信の1株当たり情報の注記に一つだけ出てきます。持分法を適用している関連会社として、ライズ・コンサルティング・グループが載っています。ただ、損失がその会社のものだとは、短信には書かれていません。

前の期と並べると、もう一つ手がかりがあります。前期のキャッシュ・フロー計算書には、関係会社株式の取得による支出が76億6,800万円ありました。今期末には、投資有価証券が95億8,300万円から49億6,100万円へ減っています。38億6,100万円は、76億6,800万円のおよそ半分です。……もし同じ出資の話なら、1年で払った額の半分ほどが損になった計算だ。

説明会資料は、この損失を一度きりの損益として配当の計算から外しています。示されている額は38.7億円で、これは説明会資料の数字です。何が起きたのかは、短信にも、私が読めた範囲の説明会資料にも書かれていませんでした。

借りたお金で会社を買い、自社株も買い戻した

この1年のお金の動きは、キャッシュ・フロー計算書の3つの行でほぼ説明がつきます。

項目前期今期
連結範囲が変わる子会社株式の取得による支出10億1,700万円209億8,200万円
長期借入れによる収入50億円274億円
自己株式の取得による支出9億9,900万円65億4,700万円
自己資本比率52.7%37.9%

買った会社の中心はニッセイコムです。短信によると、長期借入金が226億7,600万円増えたのは、その株式取得の資金を借りたためです。のれんも78億6,600万円から223億4,400万円へ膨らみました。借金で会社を買えば、自己資本比率は下がります。ここまでは自然な流れです。

気になるのは、同じ年に65億4,700万円の自社株買いをしていることです。借りながら、株主にお金を返していることになります。

営業キャッシュ・フローは137億2,300万円で、前期より減りました。ただし内訳を下っていくと、税金を払う前の小計は196億8,300万円から197億1,500万円へと、ほとんど同じです。減った主な原因は法人税等の支払いです。前期の40億8,300万円から、今期は60億2,700万円になりました。増えた額は19億4,400万円です。現金を稼ぐ力は落ちていません。売上ほど伸びてもいません。

区分を変えると、開発の利益の見え方が変わる

第4四半期から、事業の区分が3つから5つに変わりました。前期の数字も新しい区分で並べ直されています。ところが添付資料の11ページには、古い区分のままの成績も残っていました。

開発の営業利益前期今期
新しい区分「開発」50億3,400万円58億3,800万円
古い区分「ソフトウェア開発関連サービス」26億1,000万円25億7,500万円

古い区分では、売上が3割以上増えたのに、営業利益はわずかに減っています。新しい「開発」には、古い区分でテストに数えていた売上が、今期だけで159億5,600万円入っています。中身の違う箱どうしなので、どちらが正しいという話ではありません。変更の理由として、短信には「経営管理区分の見直し」とあります。

ニッセイコムを加えた開発の仕事は、古い区分のままだと利益が増えていませんでした。そのことは記録しておきます。

会社の説明は、営業利益までで止まっている

短信の6ページで、会社は営業利益の伸びが売上に届かなかった理由を説明しています。前期に抑えていた採用を元に戻し、採用費が増えたこと。大型案件を取るために営業の力を集めた結果、技術者の稼働率が一時的に下がったこと。説明会資料には、第2四半期から年収600万円以下の採用をやめ、第4四半期に稼働率が戻ったことを示す図もあります。

営業利益率は12.0%から10.8%へ下がっており、この説明と筋が合います。ここはそのまま受け取ります。一方、経常利益が減った理由である38億6,100万円の損失には、短信の説明文は触れていません。

来期の目標は「調整後」の数字だけ

今期は、会社自身の予想を少し上回って着地しました。

予想実績達成率
売上高1,600億円1,616億円101.0%
調整後営業利益200億円202億5,900万円101.3%
調整後経常利益160億円161億6,200万円101.0%
調整後当期純利益90億円101億2,000万円112.4%

「調整後」は、のれんの償却や買収にかかった費用を足し戻した、会社独自の利益です。来期の予想も、この形で出ています。

来期の会社予想金額
売上高1,900億円
調整後営業利益250億円
調整後当期純利益165億円
1株当たり当期純利益52円16銭

会計上の営業利益と経常利益の予想は、短信には載っていません。調整を入れない数字は、1株当たり当期純利益の52円16銭だけです。今期の28円72銭の8割増しほどで、これは私の割り算です。今期のような持分法の損失は来期には出ない、という前提に立った数字だと私は受け取りました。

減益は、一度きりの損失によるものだと考えています

今期の減益は持分法の損失による一度きりのもので、本業の稼ぐ力は落ちていない、と私は考えています。理由は、営業利益が1割増え、営業キャッシュ・フローの小計も前期の水準を保っているからです。

それでも心配は残ります。短信の最後の重要な後発事象に、東京ガスと総額150億円のファンドを作る話が載っています。SHIFTの出資は劣後で、比率は32.3%の予定です。劣後とは、損が出たときに先に負担する側のことです。投資先の損益が自社の決算に入ってくる形が、来期もう一つ増えます。今期の38億6,100万円は、その形が裏目に出たときの大きさです。

出典:決算短信(会社発表)

株式会社 SHIFT
株式会社SHIFTのコーポレートサイトです。開発、コンサルティング、ソフトウェアテスト、AI BPaaS、セキュリティなどAI時代の企業変革を支援する幅広いサービスの紹介をはじめ、IR情報、会社情報、プレスリリース、採用情報などさまざまな情...

持分法による投資損失38億6,100万円が、どの関連会社で何が起きて出たものなのかは、短信からも、説明会資料の目を通した範囲からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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