はじめに
センコーグループホールディングスは、企業の物流をまるごと引き受ける会社です。メーカーや小売が「うちの倉庫と輸送、全部お願いします」と預ける相手、いわゆる3PLの大手です。スーパーに並ぶ商品が工場から棚に届くまでの間のどこかで、この会社のトラックや倉庫を通っている可能性はかなり高い。
ただ、物流だけの会社ではありません。商社機能を持ち、フィットネスクラブや保育のような生活まわりの事業をやり、警備をやり、包装容器も作っています。そして事業を増やす手段としてM&Aを使い続けている会社です。今回の決算は、そのM&Aの色が濃く出た四半期でした。
私の関心はいつもどおり、1ページ目の業績表ではなく、その後ろにあります。今回は後ろまで行って、少し困りました。理由は後で書きます。
この決算で何が起きたか
第1四半期として、文句のつけようがない見た目です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 248,714 | 217,409 | +14.4% |
| 営業利益 | 10,676 | 8,689 | +22.9% |
| 経常利益 | 10,239 | 8,657 | +18.3% |
| 純利益 | 6,415 | 5,010 | +28.1% |
(単位:百万円)
売上が1割強伸びて、営業利益は2割強。しかもセグメントは5つとも増収で、前年に赤字だったプロダクト事業まで損失を縮めています。全部の事業が同じ方向を向いている決算は、そう多くありません。
最初の表では分からなかったこと
増収の説明文に、買収した会社の名前が並んでいる
会社の説明文を読んでいくと、増収の理由として社名が次々に出てきます。物流は丸運、商事・貿易はベリテ、ライフサポートはクリーンスター、ビジネスサポートは東宝総合警備保障。全部、前期にM&Aでグループ入りした会社です。
つまりこの増収の柱は、自分で伸ばした分と、買ってきた分が混ざっています。そして、そのうち自前の伸びがいくらだったのかは、短信のどこにも書かれていません。無いものは無い、としか書けませんが、+14.4%という数字をそのまま「本業の勢い」と読むのは危ない、とは言えます。
支払利息が908から1,242へ
損益計算書の営業外費用のところで引っかかりました。支払利息が前年同期の908百万円から1,242百万円に増えています。営業利益は2割強伸びたのに、経常利益の伸びが2割弱にとどまっているのは、主にここです。
貸借対照表を見ると、社債85,000百万円、長期借入金205,657百万円。M&Aで成長を買う以上、借りるのは当然ですが、その代金の一部が利息という形で毎四半期きちんと請求されている。買った成長の請求書です。
プロダクトの増収は、会社自身が「駆け込み」と書いている
プロダクト事業は増収で、損失も110百万円改善しました。良い話に見えますが、増収の理由を会社は「製品価格値上げ前の駆け込み需要による販売量の増加」と自分で書いています。駆け込みは、次の四半期の需要を今のうちに使う動きです。この事業の改善は、続くかどうかまだ分かりません。
そして、キャッシュ・フロー計算書がない
添付資料を最後まで読んで、注記に着きました。「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」。
……無いのか。
第1四半期にCF計算書を作らないのは制度上許されていて、珍しいことではありません。代わりに減価償却費8,821百万円、のれん償却735百万円だけが注記されています。ただ私は、売上とM&Aが同時に膨らんでいる会社ほど、現金が本当に入っているかを見たい。それが今回は確かめられません。これは会社の落ち度ではなく、単に私の見たい場所が空欄だった、という話です。
もうひとつ、細かい注記を。退職給付の数理計算上の差異の費用処理年数を8年から7年に変えたことで、営業利益が63百万円増えたと書かれています。1,986百万円の増益のうちの63百万円なので大勢に影響はありませんが、会計上の見積りの変更が利益を押した分は、押した分として覚えておきます。特別利益の補助金収入1,212百万円も、特別損失の固定資産圧縮損1,212百万円と同額で、実質相殺です。1ページ目の純利益+28.1%は、この手の出入りを通ったあとの数字です。
会社はどう説明しているか
会社の説明は「拡販ならびに料金・価格改定などにグループ全体で取り組むと共に、M&Aの収益寄与があった」というものです。
価格改定が効いているのは、たぶん本当です。営業利益率が前年同期の4.0%から4.3%に上がっており、買収で売上を積んだだけならこうはなりにくい。ここは素直に受け取ります。ただし「拡販」の中身、つまりM&A抜きでどれだけ伸びたかは開示されていないので、そこには留保をつけたままにします。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は据え置きです。進み具合はこうなっています。
| 項目 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 1,020,000 | 24.4% |
| 営業利益 | 43,000 | 24.8% |
| 純利益 | 23,400 | 27.4% |
(単位:百万円)
第1四半期で4分の1が目安ですから、ちょうど目安どおりです。据え置きは整合的で、盛ってもいないし、控えてもいない。残り9ヶ月も営業利益で前年から1割強の伸びが必要ですが、M&Aした各社の寄与が通年で乗ってくることを考えると、無理な置き方には見えません。配当は56円予想で、性向4割。ここも無理がありません。
私はどう読んだか
私は「数字は良いが、まだ確かめられていない決算」のほうに寄せて読んでいます。理由は3つで、増収の柱が買収であること、その代金が支払利息として増え始めていること、そして現金の出入りが今回は見えないことです。利益率の改善は本物に見えるので、悪い方に倒しているわけではありません。第2四半期にCF計算書が出たとき、営業キャッシュ・フローが利益に見合っていれば、この留保は外します。私の心配しすぎかもしれません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260812/140120260812517958.pdf
M&Aを除いた自前の増収がいくらだったのかと、営業キャッシュ・フローがプラスだったのかどうかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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