イオン九州(2653)2027年2月期 中間決算分析――経常減益の半分は前年の側と読みました

イオン九州(2653)2027年2月期 中間決算分析――経常減益の半分は前年の側と読みました 日本株

九州で、夕方のおかずを売っている会社

イオン九州は、九州の各県で総合スーパーと食品スーパーを開いている会社です。モールに入る大型店のほかに、こんな店もあります。福岡の街なかの小さな食品スーパー、安さを前に出したディスカウント店、生鮮も置くドラッグストア。形の違う店を、一社でまとめて抱えています。

お客は、仕事帰りに今日のおかずを選ぶ人や、週末にまとめ買いをする家族です。九州に住んでいれば、一度はこの会社のレジを通っていると思います。私は埼玉に住んでいるので、店に入ったことはありません。

今年の夏、熊本で大きな地震がありました。店の多くも一時休業し、短信の冒頭は亡くなった方へのお悔やみから始まっています。今回は、その地震をまたいだ半年の決算です。

売上は伸びて、利益は4行とも減った

10月13日に出た、2027年2月期の中間決算です。

今回前年同期増減率
営業収益(売上)2,825億200万円2,717億7,300万円+3.9%
営業利益27億1,100万円40億2,800万円△32.7%
経常利益23億8,500万円51億7,700万円△53.9%
純利益4億7,000万円35億9,500万円△86.9%

表の下の行ほど、減り方が大きくなっています。純利益は前年の1割ちょっとしか残っていません。

前年の中間には、12億7,700万円の一回きりの収入があった

最初に引っかかったのは、営業利益と経常利益の減り方の違いです。営業利益は13億1,700万円減りました。経常利益は27億9,200万円減っています。27億9,200万円から13億1,700万円を引いてみます。本業より下の行で、さらに14億7,500万円が消えている計算です。

損益計算書の営業外の行を、前年と並べました。

営業外の行前年同期今回
差入保証金回収益12億7,700万円計上なし
営業外収益の合計15億6,200万円1億7,700万円
支払利息2億6,100万円4億3,700万円
営業外費用の合計4億1,300万円5億300万円

前年の中間には、差入保証金回収益が12億7,700万円ありました。店を借りるときに預けた保証金にかかわる収入で、今回はこの行がありません。経常利益の減り幅27億9,200万円に対して12億7,700万円ですから、半分近くはこの一行で説明が付きます。

通期の予想は、営業利益がほぼ横ばい、経常利益が1割強の減益です。前年の一回きりの収入は今年は来ない、という前提で予想が組まれていることになります。

もう一つ、支払利息が7割近く増えています。これは一回きりではありません。借入の話なので、あとで買収と一緒に書きます。

現金の出入りのマイナスは、暦の並びと受け取りました

営業活動によるキャッシュ・フローは、10億1,700万円のマイナスでした。前年の中間は219億900万円のプラスです。

前年同期今回
仕入債務の増減+113億9,100万円△5億1,000万円
預り金の増減+45億6,100万円△6億7,400万円
法人税等の支払額△5億6,100万円△21億1,400万円
営業活動によるキャッシュ・フロー219億900万円△10億1,700万円

会社は短信の7ページ目で、理由を「前期末が金融機関休業日であったこと」と書いています。暦では、2026年2月28日は土曜日です。月末に払うはずの仕入代金が翌月に回り、この半年の出金に入った、という説明です。

ここはそのまま受け取れます。気になったのは、むしろ前年のほうでした。前年の中間の締め日、2025年8月31日は日曜日です。……前年の219億円のほうが、膨らんでいたのか。

締め日が休みだと、払うはずの代金を手元に残したまま半年を閉じます。前年は支払いを残して閉じ、今年は前期分の支払いを抱えて始まった、と私は考えました。どちらも暦のずれで、商売が急に悪くなった話ではありません。

暦で説明できないのは、法人税等の支払い21億1,400万円です。前年の4倍近くあり、こちらは実際に出ていったお金です。

30億円で買った会社は、負債のほうが大きかった

3月に子会社にしたトキハインダストリーは、大分でスーパーを23店運営している会社です。短信の最後の注記に、買ったときの中身が出ています。

トキハインダストリーの取得金額
対価(現金)30億円
受け入れた資産119億1,700万円
引き受けた負債120億1,000万円
のれん(暫定の額)30億9,300万円

資産から負債を引くと、9,300万円のマイナスです。帳簿の上で差し引きがゼロを下回る会社に、30億円を払ったことになります。払った分はすべてのれんになり、20年かけて償却されます。

会社は買った理由を、大分で店を固めて新しいお客を取るためだと書いています。帳簿の中身ではなく、23の店とそこに通うお客に値段を付けた買い物です。それ自体を悪いとは考えていません。

その代わり、借入は増えました。短期借入金は2億円から56億円へ増えています。長期借入金も59億6,300万円増えました。自己資本比率は29.2%から26.8%に下がりました。支払利息が増えたのは、この借入の分です。

会社の説明は、値下げと人への投資

本業の減益について、会社の説明はこうです。節約するお客に向けて、3月から独自の値下げ企画「ガチトク」を始め、トップバリュの価格も据え置いた。その分、売上総利益率が0.4ポイント下がった。経費は、4年連続の大幅な賃上げ、出店、アプリの販促、買収で増えた。

前年同期比
売上総利益102.4%
その他の営業収入104.9%
営業総利益102.8%
販売費及び一般管理費104.7%

粗利の伸びより経費の伸びのほうが大きく、営業利益が減った理由はほぼこの差に尽きます。説明は損益計算書の数字と合っているので、そのまま受け取ります。ガチトクの対象商品の売上は既存比で1.6倍で、値下げにお客が来たことも確かめられます。

確かめられないことが一つあります。値下げで来たお客が、値下げしていない品も買っているのか。短信には、そこまでの数字はありませんでした。

純利益がさらに減った理由は、地震の災害による損失17億4,500万円を特別損失に入れたからだと書かれています。

下期に、営業利益を2割増やす予想のまま

通期予想中間の実績進み具合下期に要る額下期の前年比
営業収益6,000億円2,825億200万円約47%約3,174億9,800万円約+15%
営業利益108億円27億1,100万円約25%約80億8,900万円約+20%
経常利益102億円23億8,500万円約23%約78億1,500万円約+23%
純利益65億円4億7,000万円約7%約60億3,000万円約2.5倍

約の付いた数字は、通期予想から中間の実績を引き、前年の下期と比べて私が出したものです。

売上は、トキハが第2四半期からしか入っていないので、下期の伸びが大きくても不自然ではありません。重いのは利益です。営業利益は4分の1ほどしか来ておらず、下期に前年の2割増しが要ります。

この予想は4月9日に出したもので、変更はないと短信にあります。4月9日は地震の前です。7月の地震で、2店はまだ休んだままです。17億4,500万円の損失も出ました。それでも通期の純利益65億円は動いていません。据え置いた理由は、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに書いてあるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

一回きりを除いても、本業の減益は残る

中間の減益は、見た目ほど悪くないと考えています。経常利益の減り幅の半分近くは前年の一回きりの収入で、現金のマイナスは暦のずれです。ここまでは、短信の中で出どころを追えます。

ただ、残った本業の減益は本物です。値下げで粗利率を削り、賃上げと出店で経費が増えている。この形のままで下期に営業利益を2割増やすには、トキハの半年分と、休んでいる2店の再開がどちらも効いてくる必要があります。

私は、下期の予想はきつめに置かれているという見方をしています。理由は、地震のあとも4月の予想が一つも動いていないからです。心配性なので、上振れより先にそちらが目に入ります。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信|IRライブラリー|株主・投資家の皆さまへ|イオン九州株式会社
イオン九州株式会社のIRライブラリページです。

非支配株主に帰属する中間純損失2億5,400万円が、どの子会社の赤字なのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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