九州で、夕方のおかずを売っている会社
イオン九州は、九州の各県で総合スーパーと食品スーパーを開いている会社です。モールに入る大型店のほかに、こんな店もあります。福岡の街なかの小さな食品スーパー、安さを前に出したディスカウント店、生鮮も置くドラッグストア。形の違う店を、一社でまとめて抱えています。
お客は、仕事帰りに今日のおかずを選ぶ人や、週末にまとめ買いをする家族です。九州に住んでいれば、一度はこの会社のレジを通っていると思います。私は埼玉に住んでいるので、店に入ったことはありません。
今年の夏、熊本で大きな地震がありました。店の多くも一時休業し、短信の冒頭は亡くなった方へのお悔やみから始まっています。今回は、その地震をまたいだ半年の決算です。
売上は伸びて、利益は4行とも減った
10月13日に出た、2027年2月期の中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 営業収益(売上) | 2,825億200万円 | 2,717億7,300万円 | +3.9% |
| 営業利益 | 27億1,100万円 | 40億2,800万円 | △32.7% |
| 経常利益 | 23億8,500万円 | 51億7,700万円 | △53.9% |
| 純利益 | 4億7,000万円 | 35億9,500万円 | △86.9% |
表の下の行ほど、減り方が大きくなっています。純利益は前年の1割ちょっとしか残っていません。
前年の中間には、12億7,700万円の一回きりの収入があった
最初に引っかかったのは、営業利益と経常利益の減り方の違いです。営業利益は13億1,700万円減りました。経常利益は27億9,200万円減っています。27億9,200万円から13億1,700万円を引いてみます。本業より下の行で、さらに14億7,500万円が消えている計算です。
損益計算書の営業外の行を、前年と並べました。
| 営業外の行 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 差入保証金回収益 | 12億7,700万円 | 計上なし |
| 営業外収益の合計 | 15億6,200万円 | 1億7,700万円 |
| 支払利息 | 2億6,100万円 | 4億3,700万円 |
| 営業外費用の合計 | 4億1,300万円 | 5億300万円 |
前年の中間には、差入保証金回収益が12億7,700万円ありました。店を借りるときに預けた保証金にかかわる収入で、今回はこの行がありません。経常利益の減り幅27億9,200万円に対して12億7,700万円ですから、半分近くはこの一行で説明が付きます。
通期の予想は、営業利益がほぼ横ばい、経常利益が1割強の減益です。前年の一回きりの収入は今年は来ない、という前提で予想が組まれていることになります。
もう一つ、支払利息が7割近く増えています。これは一回きりではありません。借入の話なので、あとで買収と一緒に書きます。
現金の出入りのマイナスは、暦の並びと受け取りました
営業活動によるキャッシュ・フローは、10億1,700万円のマイナスでした。前年の中間は219億900万円のプラスです。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 仕入債務の増減 | +113億9,100万円 | △5億1,000万円 |
| 預り金の増減 | +45億6,100万円 | △6億7,400万円 |
| 法人税等の支払額 | △5億6,100万円 | △21億1,400万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 219億900万円 | △10億1,700万円 |
会社は短信の7ページ目で、理由を「前期末が金融機関休業日であったこと」と書いています。暦では、2026年2月28日は土曜日です。月末に払うはずの仕入代金が翌月に回り、この半年の出金に入った、という説明です。
ここはそのまま受け取れます。気になったのは、むしろ前年のほうでした。前年の中間の締め日、2025年8月31日は日曜日です。……前年の219億円のほうが、膨らんでいたのか。
締め日が休みだと、払うはずの代金を手元に残したまま半年を閉じます。前年は支払いを残して閉じ、今年は前期分の支払いを抱えて始まった、と私は考えました。どちらも暦のずれで、商売が急に悪くなった話ではありません。
暦で説明できないのは、法人税等の支払い21億1,400万円です。前年の4倍近くあり、こちらは実際に出ていったお金です。
30億円で買った会社は、負債のほうが大きかった
3月に子会社にしたトキハインダストリーは、大分でスーパーを23店運営している会社です。短信の最後の注記に、買ったときの中身が出ています。
| トキハインダストリーの取得 | 金額 |
|---|---|
| 対価(現金) | 30億円 |
| 受け入れた資産 | 119億1,700万円 |
| 引き受けた負債 | 120億1,000万円 |
| のれん(暫定の額) | 30億9,300万円 |
資産から負債を引くと、9,300万円のマイナスです。帳簿の上で差し引きがゼロを下回る会社に、30億円を払ったことになります。払った分はすべてのれんになり、20年かけて償却されます。
会社は買った理由を、大分で店を固めて新しいお客を取るためだと書いています。帳簿の中身ではなく、23の店とそこに通うお客に値段を付けた買い物です。それ自体を悪いとは考えていません。
その代わり、借入は増えました。短期借入金は2億円から56億円へ増えています。長期借入金も59億6,300万円増えました。自己資本比率は29.2%から26.8%に下がりました。支払利息が増えたのは、この借入の分です。
会社の説明は、値下げと人への投資
本業の減益について、会社の説明はこうです。節約するお客に向けて、3月から独自の値下げ企画「ガチトク」を始め、トップバリュの価格も据え置いた。その分、売上総利益率が0.4ポイント下がった。経費は、4年連続の大幅な賃上げ、出店、アプリの販促、買収で増えた。
| 前年同期比 | |
|---|---|
| 売上総利益 | 102.4% |
| その他の営業収入 | 104.9% |
| 営業総利益 | 102.8% |
| 販売費及び一般管理費 | 104.7% |
粗利の伸びより経費の伸びのほうが大きく、営業利益が減った理由はほぼこの差に尽きます。説明は損益計算書の数字と合っているので、そのまま受け取ります。ガチトクの対象商品の売上は既存比で1.6倍で、値下げにお客が来たことも確かめられます。
確かめられないことが一つあります。値下げで来たお客が、値下げしていない品も買っているのか。短信には、そこまでの数字はありませんでした。
純利益がさらに減った理由は、地震の災害による損失17億4,500万円を特別損失に入れたからだと書かれています。
下期に、営業利益を2割増やす予想のまま
| 通期予想 | 中間の実績 | 進み具合 | 下期に要る額 | 下期の前年比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業収益 | 6,000億円 | 2,825億200万円 | 約47% | 約3,174億9,800万円 | 約+15% |
| 営業利益 | 108億円 | 27億1,100万円 | 約25% | 約80億8,900万円 | 約+20% |
| 経常利益 | 102億円 | 23億8,500万円 | 約23% | 約78億1,500万円 | 約+23% |
| 純利益 | 65億円 | 4億7,000万円 | 約7% | 約60億3,000万円 | 約2.5倍 |
約の付いた数字は、通期予想から中間の実績を引き、前年の下期と比べて私が出したものです。
売上は、トキハが第2四半期からしか入っていないので、下期の伸びが大きくても不自然ではありません。重いのは利益です。営業利益は4分の1ほどしか来ておらず、下期に前年の2割増しが要ります。
この予想は4月9日に出したもので、変更はないと短信にあります。4月9日は地震の前です。7月の地震で、2店はまだ休んだままです。17億4,500万円の損失も出ました。それでも通期の純利益65億円は動いていません。据え置いた理由は、短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに書いてあるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
一回きりを除いても、本業の減益は残る
中間の減益は、見た目ほど悪くないと考えています。経常利益の減り幅の半分近くは前年の一回きりの収入で、現金のマイナスは暦のずれです。ここまでは、短信の中で出どころを追えます。
ただ、残った本業の減益は本物です。値下げで粗利率を削り、賃上げと出店で経費が増えている。この形のままで下期に営業利益を2割増やすには、トキハの半年分と、休んでいる2店の再開がどちらも効いてくる必要があります。
私は、下期の予想はきつめに置かれているという見方をしています。理由は、地震のあとも4月の予想が一つも動いていないからです。心配性なので、上振れより先にそちらが目に入ります。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

非支配株主に帰属する中間純損失2億5,400万円が、どの子会社の赤字なのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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