はじめに
パーク24は、黄色い看板の時間貸し駐車場「タイムズ」を運営している会社です。買い物先や病院の近くで車を停め、出るときに精算機で払う、あの駐車場です。もう一つの柱がカーシェアで、街なかの駐車場に置いた共用の車を、会員がスマホで予約して使います。海外にも駐車場を持っていますが、この春に英国とシンガポールで大きく畳みました。
この会社については、先に中間決算を読んで書きました。あの記事の最後を「次の四半期は現金残高から先に見ます」で結んでいます。今回はその宿題から始めます。税効果の話は前回で済ませたので、第3四半期の3か月だけを取り出した数字と、会社が自分の言葉で述べた説明文のほうへ紙面を使います。
純利益3.7倍の中身は、前回と同じ税効果です
8月31日に出た、2026年10月期の第3四半期決算です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,040億4,900万円 | 2,959億1,500万円 | +2.7% |
| 営業利益 | 289億4,600万円 | 249億1,400万円 | +16.2% |
| 経常利益 | 267億2,600万円 | 222億7,000万円 | +20.0% |
| 純利益 | 363億5,400万円 | 99億5,600万円 | +265.1% |
純利益だけが3.7倍です。この段差の正体は中間期に書いたとおり、英国事業の再編に伴う法人税等調整額の益で、累計では318億7,400万円になりました。中間期の310億8,700万円から、3か月で8億円弱増えています。税引前の利益は150億1,000万円で、前年の188億400万円を下回ったままです。
現金は横ばい、借金は長期から短期へ入れ替わりました
中間期末に303億8,800万円だった現金及び現金同等物は、第3四半期末で314億6,500万円でした。3か月でほぼ横ばいです。期首の801億5,000万円から半分以下になった状態が、続いています。
引っかかったのは、現金ではなく借金の側です。
| 項目 | 期首 | 第3四半期末 |
|---|---|---|
| 短期借入金 | 23億5,800万円 | 365億6,200万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 80億9,900万円 | 176億5,000万円 |
| 長期借入金 | 947億2,400万円 | 544億9,100万円 |
| 有利子負債の合計 | 1,726億4,500万円 | 1,721億6,200万円 |
キャッシュ・フロー計算書では、長期借入金の返済に756億6,300万円を使い、長期で450億円を借り直しています。そのうえで短期借入金を339億1,800万円増やしました。……借金の総額は減っていない。減ったのは現金だけだ。
現金が出ていった先は、投資と税金です。有形固定資産の取得に424億6,900万円を使っています。前年同期の244億5,800万円と比べると、1.7倍にあたります。法人税等の支払額も151億7,700万円と、前年の91億9,000万円から増えました。
設備の中身は短信の表にはありません。4ページの説明文に、新設する駐車場を原則キャッシュレス専用にし、既存の駐車場も自社開発の精算機と車番認証カメラへの転換を加速する、とあります。増えた投資の行き先はそこだと受け取りました。
ネットD/Eレシオは0.88倍から1.22倍へ上がっています。6ページに会社自身が載せている数字です。営業CFは395億6,100万円と前年より増えていますが、稼ぎを上回る投資をして、差を短期の借金で埋めた形です。
3か月だけ取り出すと、営業利益率が11.4%まで上がっています
累計から中間期を引くと、第3四半期の3か月だけが取り出せます。前年も同じ引き算です。
| 項目 | 今年の3か月 | 前年の3か月 |
|---|---|---|
| 売上高 | 約1,017億7,400万円 | 約1,025億2,100万円 |
| 営業利益 | 約116億5,100万円 | 約91億3,400万円 |
| 経常利益 | 約109億9,600万円 | 約83億5,200万円 |
| 純利益 | 約66億9,700万円 | 約49億7,500万円 |
約の付いた数字は、第3四半期の累計から中間期の累計を私が引いたものです。
売上が前年を下回ったのは、英国とシンガポールが連結から外れたからで、順当です。それでも営業利益は3割近く増えました。売上高営業利益率は、営業利益の116億5,100万円を売上高の1,017億7,400万円で割ったものです。今年の3か月は11.4%になります。前年の同じ3か月は8.9%、今年の累計は9.5%ですから、四半期を追うごとに率が上がっていることになります。
モビリティの利益は、3か月で3割半増えていました
率を押し上げたのはどこか。中間期に「利益がほとんど増えていない」と書いたモビリティ事業です。累計の営業利益は14.3%増まで来ました。中間期の伸びは1.8%でしたから、3か月だけを取り出すと様子が変わります。
| モビリティ事業の営業利益 | 中間期まで | 第3四半期の3か月 | 第3四半期累計 |
|---|---|---|---|
| 今年 | 59億1,700万円 | 約44億5,800万円 | 103億7,500万円 |
| 前年 | 約58億1,200万円 | 約32億6,200万円 | 90億7,400万円 |
約の付いた数字は、今年の59億1,700万円を中間期の増減率+1.8%で割り戻して前年の中間期を出し、それを前年の累計から引いたものです。
5月から7月の3か月で、3割半ほど増えています。会員数は405万7,000人で、前年同期末比118.0%です。車両の増え方112.9%を会員の増え方が上回った、と5ページにあります。中間期に「需要が供給に追いついたのは期の最後だった」と書いたその状態が、3か月続いたことになります。
会社は「想定を下回った」と書いています
4ページの説明文では、駐車場の稼働は国内も海外も想定を上回った一方、モビリティ事業の稼働は想定を下回った、としています。利益が3割半増えた事業を、想定未達と言っている。……これは変だ。
読み進めると5ページに答えがあります。車両1台当たりの会員数は改善したが、車両1台当たりの利用料は想定を下回った、と。
私はこの説明をそのまま受け取ります。理由は、利益の伸びと想定未達が矛盾しないからです。増車を抑えて1台当たりの利益を重視する方針に切り替えたので、費用が落ちて利益は出やすくなっています。1台当たりの利用料が計画に届かないのは、それとは別の話です。
通期予想には7割弱、残り3か月は前年より7%増しの置き方です
通期予想は6月15日の修正から変えていません。売上4,110億円、営業利益425億円です。営業利益の進み方は7割弱で、この時期の目安である4分の3には届いていません。残り3か月に必要な営業利益は、通期の425億円から累計の289億4,600万円を引いた数字です。135億5,400万円が残ります。
前年の同じ3か月と比べると、これは7%増しの置き方です。135億5,400万円を1.07で割り戻すと、前年の8月から10月は約126億6,700万円の営業利益だったことになります。前年の第3四半期の3か月が約91億3,400万円でしたから、この時期に利益が厚くなるのは前年も同じです。前年に7%乗せれば届く、という組み立てなら、極端に背伸びした数字ではないと考えています。
一方で、残り3か月の売上は前年比で3%弱減る置き方です。海外が抜けた分がそこに出ています。数字を動かさなかった根拠は、短信には書かれていません。配当は65円で据え置きです。
私はどう読んだか
私は「本業は良くなっているが、財布は薄いまま」という見方をしています。理由は、第3四半期の3か月で営業利益率が11.4%まで上がり、モビリティの利益が伸びている一方で、現金は314億円で止まっているからです。借金の総額も減らず、短期へ寄っています。
稼ぎが投資に回っているのは分かります。それでも有利子負債1,721億円に対して現金314億円という組み合わせは、心配性の私にはまだ重く感じられます。上がるかは知りません。次の通期決算では、短期借入金がどこまで戻ったかを先に確かめます。
出典:決算短信(会社発表)
中間期に453億1,800万円だった繰延税金資産が、第3四半期末で369億2,400万円まで減っている理由は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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