JSP(7942)2027年3月期 第1四半期決算分析――下期は減益を見込んでいると読みました

JSP(7942)2027年3月期 第1四半期決算分析――下期は減益を見込んでいると読みました 決算を読む

空気で膨らませた樹脂を、トレーにも車にも

JSPは、樹脂に空気を含ませて膨らませた素材、いわゆる発泡プラスチックを作っています。スーパーで肉や魚が載っている白いトレーは、この会社のシートが材料になっています。昔からある商品です。

ほかにも、店頭の広告に使うパネル用の板を作っています。工業製品を傷から守る包装用のシートや、建物や土木工事に使う板もあります。どれも軽くて、空気の分だけ材料が少なく済むものです。

もう一つの柱が「ARPRO」です。ポリプロピレンを粒のまま膨らませた素材で、軽くて割れにくく、形を作りやすいのが特徴です。自動車の部材や空調機器に使われ、バッテリーやAIサーバーを運ぶときの包装材にもなっています。日本、北米、南米、欧州、中国、台湾、東南アジアで作って売っています。

営業利益は3倍近くになりました

2026年7月31日に出た、4月から6月までの第1四半期決算です。

今回前年同期増減率
売上高409億5,200万円343億9,200万円+19.1%
営業利益35億4,100万円12億5,300万円+182.5%
経常利益35億7,500万円12億7,900万円+179.4%
純利益27億9,300万円12億9,300万円+116.0%

売上は2割増え、営業利益は3倍近くになりました。純利益の伸びが営業利益ほど大きくない理由は、前年同期に特別利益が3億9,400万円あったからです。確定給付の年金の一部を確定拠出に移したときの、一度きりの利益でした。今期にはこれがありません。

稼いだ四半期に、現金はまだ入っていません

損益計算書を過ぎて、キャッシュ・フロー計算書まで進んだところで手が止まりました。営業キャッシュ・フローが3億5,700万円のマイナスです。前年同期は12億8,800万円のプラスでした。

……利益が3倍になって、現金は出ていった。増収増益なのに営業キャッシュ・フローがマイナス、という並びを見ると、どうしても身構えます。引っかかりました。

営業キャッシュ・フローの主な項目前年同期今回
税金等調整前四半期純利益16億2,500万円36億300万円
減価償却費19億4,600万円21億9,800万円
売上債権の増減△19億8,300万円△51億9,000万円
棚卸資産の増減△8,400万円△18億9,600万円
仕入債務の増減3億3,000万円20億8,500万円
法人税等の支払額△4億1,300万円△9億8,000万円
営業キャッシュ・フロー12億8,800万円△3億5,700万円

いちばん大きいのは売上債権で、51億9,000万円増えています。売った代金を、6月末の時点でまだ受け取っていないということです。在庫も増えていて、貸借対照表では製品と原材料の両方が積み上がっています。

足りない分は借入でまかなっています。短期借入金が3か月で50億700万円増え、手元の現金及び現金同等物は148億5,700万円まで減りました。それでも自己資本比率は64.4%あります。財務が傷んだと言う段階ではありません。

伸びた理由は、地域ごとに中身が違いました

売上高前年同期比営業利益前年同期比
押出事業140億8,200万円+14.3%13億1,000万円+210.1%
ビーズ事業268億6,900万円+21.8%24億8,300万円+133.9%

押出事業では、食品トレー向けのシートが減りました。それでも建築・住宅と土木向けの板が伸びて、全体では増収です。ビーズ事業は、欧州と中国を中心に販売が増えています。

短信の4ページ目を地域ごとに追うと、伸びの中身が2種類あると分かります。欧州と中国の伸びには、製品価格を改定する前の一時的な需要だという説明が付いています。一方で、中国のバッテリー関連の包装材は「好調に推移」、台湾のAIサーバー関連の包装材は「増加」とあるだけで、一時的という言葉は付いていません。

会社は自分で「一時的」と書いています

説明文には「一時的な需要」が3回出てきます。押出事業では、原材料の供給の動きを受けて、建築・住宅向けの注文が一時的に増えたという説明です。ビーズ事業では、値上げ前の駆け込みです。業界全体の説明にも、調達と供給の制約による一時的な需要増とあります。

私はこの説明をそのまま受け取ります。理由は、自分の数字を小さく見せる説明を、わざわざ書く得が見当たらないからです。売上債権の膨らみとも筋が合います。四半期の終わりに注文が集まれば、代金の回収は次の四半期にずれ込みます。

もう一つ、同じ説明文には、食品トレー向けで需要の減少傾向が続いていると書かれています。こちらには一時的という言葉が付いていません。

10月から3月の半年を、前期より小さく置いています

第1四半期を終えた時点で、営業利益は通期予想100億円の3分の1を超えました。この時期の目安の4分の1を大きく上回っています。ただ、表紙の予想を期間ごとに分けると、見え方が変わります。

営業利益4〜6月7〜9月10月〜3月通期
前期 実績12億5,300万円約18億2,400万円約46億8,700万円約77億6,400万円
今期35億4,100万円(実績)34億5,900万円(予想)30億円(予想)100億円(予想)

約の付いた数字は、表紙の上期予想70億円と通期予想100億円を、前期からの増減率で割り戻して私が出したものです。使った増減率は、上期が2.275倍、通期が1.288倍です。割り戻すと前期の上期と通期の実績が出るので、そこから4〜6月や上期の実績を引いて期間ごとに分けました。今期の7〜9月と10月〜3月は、表紙の予想どうしを引いた数字です。

7月から9月は、第1四半期とほぼ同じ水準が続く見込みです。引っかかるのは10月から3月で、半年で30億円です。前期の同じ半年はおよそ46億8,700万円でしたから、3分の1以上減る見込みです。

同じ日に業績予想を修正した、と短信にはあります。中身は別の「業績予想の修正に関するお知らせ」にあり、私はまだ開いていません。どこをどう動かしたのかは、決算短信には書かれていません。

前借りの四半期だと考えています

私は、この四半期の利益の多くを前借りだと考えています。理由は、会社側が自分で「一時的」と書き、10月から3月を前期より小さく見込んでいるからです。自分で出した数字を、自分で割り引いた予想だと受け取りました。

売上債権の増加は、心配する材料には数えていません。仕入債務も同じ向きに増えていて、商売が膨らんだ分だけ両側が膨らんだ形です。ただ、第2四半期末に売上債権が戻っているかどうかは確かめます。戻っていなければ、話が変わります。

心配性なので、先に下を見ます。値上げのあとの欧州と中国で、数量がどこまで落ちるか。トレー向けの減少がどこまで続くか。一方で、台湾のAIサーバー向けと中国のバッテリー向けに「一時的」が付いていないことは、頭に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260728500958.pdf

4月30日の予想がいくらで、今回どちらへ動かしたのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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