Sun Asterisk(4053)2026年12月期 中間決算分析――注記の一段落が引っかかった

Sun Asterisk(4053)2026年12月期 中間決算分析――注記の一段落が引っかかった 決算を読む

「社内に新しいサービスを作りたい人はいるのに、作れる人がいない」。Sun Asterisk はそういう場面で呼ばれる会社です。設計と開発の人手をまとめて出し、顧客と一緒に作り、作ったあとも面倒を見続けます。月ごとに請求する形なので、顧客が長く付き合うほど売上が積み上がります。

ほかに、技術者を育てて企業に紹介する仕事と、デジタルの読み物やファン向けの会員の仕組みを作って運営する仕事があります。ベトナムに子会社があり、開発の一部はそちらが担っています。今年の初めには、受託開発の会社を一つ買って仲間に加えました。

この決算で何が起きたか

6月末で締めた中間決算が、2026年9月14日に出ました。読んだのは決算短信だけです。まず業績の表から。

項目今回前年同期増減率
売上高88億8,100万円70億5,800万円+25.8%
営業利益10億400万円4億1,500万円+141.8%
経常利益11億8,900万円4億5,200万円+163.1%
純利益7億9,200万円3億4,700万円+128.0%

営業利益率は5.9%から11.3%へ上がっています。率は私が表から割り出したものです。ただ、経常利益の伸びが営業利益の伸びをさらに上回っていることが、先に引っかかりました。

本業の伸びは、いまいる顧客が太くなった分です

主力のクリエイティブ&エンジニアリングの売上は70億3,300万円で、前年同期から28.5%増えました。取引のあった顧客は227社、顧客1社あたりの月の売上は613万3,000円です。新しい客を集めたというより、いまいる客からの仕事が太くなった、という数字です。

粗利は44億2,400万円で、前年同期から38.1%増えました。売上高で割った粗利率は、45%ほどから5割近くへ上がっています。人手を出す商売で粗利率がこれだけ動くのは、単価が上がったか、手が空いている時間が減ったかです。そのどちらなのかは、決算短信には書かれていません。

タレントプラットフォームは9億6,700万円で3%ほど減り、ここだけ後ろを向いています。

帳簿の外にあった現金が、営業外収益に3,000万円乗っています

損益計算書の営業外収益に「現金受贈益 3,000万円」という見慣れない行があります。前年同期には無い行です。添付資料の9ページ目まで行くと、注記の「追加情報」に一段落ありました。

ベトナムの子会社 Sun Asterisk Vietnam で、会計帳簿に計上されていない現金の存在を確認した、と書いてあります。外部の弁護士が調べ、主に産学連携に関連した支出と収入が帳簿に載っていなかった、と分かったそうです。

その分として、中間期末に現預金2,400万円を計上しました。損益には、販管費に600万円、営業外収益に3,000万円が載っています。3,000万円のうち2,200万円は過年度の分です。過年度への影響は僅少なので、過去の決算は直していません。

会社が書いているとおり、金額は小さいです。……いや、金額の話ではない。子会社の帳簿に無い現金が、外部の調査で見つかるまで連結に入っていなかったことのほうです。

同じ短信の表紙に、もう一つ帳簿に関わる話があります。IFRSへの切り替えです。第1四半期から適用する予定だったものを、「会計処理や開示情報の検討をこれまで以上に慎重に行うべき」として、通期決算まで延ばしました。注記の一段落と表紙の一文は、同じ方向を向いている、と私は読みました。

経常利益の伸びは、本業の外からも来ています

経常利益の11億8,900万円から、営業利益の10億400万円を引きます。残るのは1億8,500万円です。前年同期は4億5,200万円から4億1,500万円を引く計算です。残るのは3,700万円でした。営業利益と経常利益のあいだの幅が、1年で5倍になっています。中身は営業外の表にあります。

項目今回前年同期
受取利息1億6,300万円1億3,400万円
現金受贈益3,000万円
営業外収益 合計2億4,400万円1億5,100万円
株式関連費用1,900万円1億円
営業外費用 合計6,000万円1億1,500万円

大きいのは受取利息と、株式関連費用が減ったことです。受取利息は、次に書く定期預金と関係があります。経常利益の増減率+163.1%を見て「本業がそれだけ伸びた」と受け取ると、営業外の分を数えすぎることになります。

現金及び預金は増えて、現金同等物は減っています

貸借対照表の現金及び預金は、105億6,000万円から122億6,900万円へ増えました。ところがキャッシュ・フロー計算書の現金同等物は、78億9,500万円から63億5,200万円へ減りました。減った幅は15億4,200万円です。

理由は、定期預金に移した分が現金同等物に数えられないからです。投資活動の欄に、定期預金の純増32億5,100万円と載っています。122億6,900万円から63億5,200万円を引きます。残る59億1,700万円が、手元にあっても現金同等物には数えられない預金です。前年末は同じ引き算で26億6,500万円でしたから、半年で倍以上に膨らんでいます。

そしてその同じ半年に、前年末には無かった短期借入金17億7,500万円が立ちました。会社側は資産の増加を「資金の借入等による」と説明しています。借りた金を定期預金に置いた形に見えますが、そう書いてあるわけではありません。

定期預金がどこの国の、どんな利率のものかも、決算短信には書かれていません。受取利息が支払利息2,500万円をはるかに上回っているので、損をしている形ではないはずです。

営業キャッシュ・フローは5億7,400万円の収入で、前年同期の2億9,100万円から倍になりました。売上債権が4億5,800万円増えていますが、売上が4分の1増えているので珍しいことではありません。本業の現金は入ってきています。

会社はどう説明しているか

売上については、主力の伸びを「既存顧客の受注が堅調に推移している」と説明しています。インキュベーションその他が49.0%増えたのは、去年7月に子会社にしたグローバルギアの分が乗ったからだそうです。帳簿の件は「過年度への影響は僅少」です。

本業の説明は、そのまま受け取ります。理由は、粗利率の改善が損益計算書の数字で確かめられるからです。「僅少」のほうには留保をつけます。僅少なのは金額で、帳簿に無い現金が子会社にあったこと自体は、金額で測る種類のものではありません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

この予想はIFRSで作られていて、今回の実績は日本基準です。短信自身が「増減率は記載していません」と断っています。基準が違うので、私も進捗率の割り算をしていません。

項目通期予想(IFRS)
売上収益182億100万円
営業利益17億1,400万円
税引前利益19億円
当期利益13億8,900万円

配当は年10円の予想で、前期は無配でした。もう一つ、前年末に1億1,100万円あった株主優待引当金が、6月末には無くなっています。優待を配当に切り替えたのかどうかは、決算短信には書かれていません。

私はどう読んだか

本業の数字は信じ、帳簿の管理はまだ信じ切れない。私はそう読んでいます。理由は、粗利の改善と営業キャッシュ・フローは、損益計算書と現金の両方で裏が取れるからです。一方、帳簿に無い現金は「見つかった」ことしか分からず、ほかに無いという証明は誰にもできません。心配性なので、本業の伸びより注記の一段落のほうが頭に残っています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信|株式会社Sun Asterisk | Sun*
株式会社Sun Asteriskの「決算短信」をご紹介します。

手元に120億円を超える現金及び預金を持ちながら、短期で17億7,500万円を借りた理由は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました