クボタ(6326)2026年12月期 中間決算分析――為替と還付を外して読みました

クボタ(6326)2026年12月期 中間決算分析――為替と還付を外して読みました 決算を読む

クボタは、田んぼや畑で働く機械を作っている会社です。トラクタ、田植機、コンバイン。日本の農家向けとして知られていますが、いま売上のいちばん大きな場所は北米です。向こうでは広い庭を持つ人が小さなトラクタを買います。短信はこれを「レジデンシャル向け」と呼んでいます。

もう一つの柱が小型の建設機械です。ミニショベルのような機械で、住宅の基礎工事や道路の補修の現場で動いています。エンジンを他社にも供給しています。

そして水道です。地面の下の鉄の管、それを取り替える工事、水をきれいにする施設。相手は主に日本の自治体です。三つとも、暮らしの土台に近い商売です。

この決算で何が起きたか

8月4日に出た中間決算、1月から6月までの6か月分です。

今回前年同期増減率
売上高1兆6,902億8,000万円1兆4,549億3,300万円+16.2%
営業利益2,355億6,700万円1,430億2,800万円+64.7%
税引前利益2,477億5,100万円1,514億5,100万円+63.6%
純利益1,736億8,100万円924億7,900万円+87.8%

IFRSなので経常利益の行はなく、税引前利益を置きました。純利益は親会社の所有者に帰属する分です。

売上が2割弱伸びて、営業利益が6割以上伸びた。……いや、その先が引っかかった。営業利益が+64.7%なのに、純利益は+87.8%です。この差を探しに、後ろのページへ行きました。

純利益の伸びが営業利益より大きい理由は、非支配持分にありました

8ページ目の損益計算書に、中間利益の帰属という欄があります。中間利益の全体は1,856億8,500万円で、伸びは+58.2%です。そのうち親会社の所有者に帰属する分が+87.8%で、残りが非支配持分です。クボタが全部は持っていない子会社で、外の株主に渡る取り分です。

その非支配持分が249億100万円から120億400万円へ、半分近くまで減っています。減り分は128億9,700万円。外の株主に渡る分が減ったので、親会社の取り分の伸び率が大きく出ています。ここまでは損益計算書の数字です。

なぜ減ったのかは、短信には書かれていません。キャッシュ・フロー計算書に、非支配持分からの子会社持分取得に30億2,900万円を使ったとあります。子会社の株を買い増した、と私は読みました。ただ、取り分が半分になるほどの金額ではないので、稼ぎ方の中身が変わった分もあるのかもしれません。

営業利益の増え分のうち、6分の1は親会社の為替差損益でした

もう一つは営業利益の側です。+64.7%のうち、どれだけが機械の商売そのものなのか。14ページ目のセグメント表に手がかりがあります。

セグメント利益今回前年同期
機械2,122億4,300万円1,357億3,500万円
水・環境171億2,900万円166億1,000万円
その他3億7,200万円5億8,900万円
調整58億2,300万円△99億600万円
連結営業利益2,355億6,700万円1,430億2,800万円

調整の欄が、前年の赤字から黒字に変わっています。注記に「事業セグメントに配賦していない費用は、主に親会社で発生する為替差損益」とあります。前年は99億600万円の赤字、今回は58億2,300万円の黒字です。合わせると差し引き157億2,900万円になります。営業利益の増え分は、今回から前年同期を引いて925億3,900万円。その6分の1ほどが、親会社の為替差損益の改善分です。私の引き算です。

円安で商売が伸びた話ではなく、親会社の外貨建て債権や債務を円に直したときの差です。為替が逆に動けば、逆向きに出ます。

関税還付のほうは、短信には金額が書かれていません。説明会資料では、上期に170億円、下期にさらに530億円が入る予定です。払いすぎた分が戻ってくるものなので、来年は同じものがありません。

金融債権は減り始め、営業債権は1,050億円増えました

11ページ目のキャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローは1,905億9,400万円の収入で、前年から478億円増えました。目立つのが2つ。営業債権の増加が967億9,500万円の支出。金融債権の減少が296億4,500万円の収入で、前年は増加でしたから、向きが変わりました。

金融債権は、北米でトラクタを買う人にクボタ自身が貸しているお金です。説明会資料には、貸す期間を短くし、ゼロ金利の販売を縮めて減らしていく方針が書かれています。

一方の営業債権は、販売店に卸した機械の、まだ現金になっていない分です。期末から1,050億1,700万円増えました。売上が2割弱増えれば債権も増えるので、珍しくはありません。ただ、金融債権を減らした分をそっくり営業債権が持っていった格好で、運転資本の圧縮はまだ道半ばだと考えています。

会社はどう説明しているか

4ページ目の説明文で、増益の理由はこう並んでいます。米国関税によるコスト増とインフレによる経費増があった。それでも、為替の改善と関税還付、北米を中心とした価格改定と増販益で上回った。この順番が気になりました。値上げと増販が、為替と還付の後ろに置かれています。

市場の説明は、良い場所と悪い場所が分かれています。北米の建設機械とインドが伸びた。北米のトラクタはレジデンシャル向けが弱く、タイは農家の所得が低いままで厳しい。15ページ目の部門別で、建設機械の海外売上は+38.9%、農機・エンジンの海外は+12.8%です。

数字と食い違う場所は見つけられませんでした。気になるとすれば、悪い場所の話がすべて市場の話で、自分たちの側の課題としては短信に書かれていない点です。

通期4,000億円に対して、どこまで来ているか

同じ日に、通期予想を上方修正しました。営業利益は3,000億円から4,000億円へ。理由は円安の進行と米国関税還付、と5ページ目にあります。想定為替は1米ドル157円です。

上期の2,355億6,700万円を、通期予想の4,000億円で割ります。進捗は58.9%です。売上は3兆2,800億円に対して51.5%です。

裏返すと、下期の営業利益は通期の4,000億円から上期の2,355億6,700万円を引いた分です。1,644億3,300万円という置き方になります。前年の下期は、通期2,654億7,000万円から上期を引いて1,224億4,200万円でした。それより3割以上多い置き方です。ただ、今年の上期より700億円ほど少なくなります。

説明会資料では下期に関税還付530億円が入るとされているので、それを外すと下期は1,100億円台になります。上期の半分に届きません。

クボタは、下期に中東情勢による原材料費の上昇、北米トラクタとタイの弱さを見込んでいる、と説明しています。上期に210億円出た為替差益が下期は160億円のマイナスになる、という数字も説明会資料にあります。

私はどう読んだか

読み方は2つあります。建機とインドが強く、為替と還付はおまけだ、という読み方。もう1つは、本業の伸びはあるが、上期の大きさは為替と還付によるところが大きい、という読み方です。後者では、下期は会社自身が半分近くまで落ちると置いていることになります。

私は後者だと考えています。理由は、会社が説明文の中で自分の手柄より先に為替と還付を書き、通期の上方修正の理由もその2つだけだからです。値上げと建機の増販は本物で、来年も残ります。ただ、上期の営業利益率13.9%を来年も当たり前に思うのは早い。

一方で、現金の流れが変わったのは良い兆しです。金融債権が減り始め、営業キャッシュ・フローは1,900億円を超え、自己株式の取得に307億6,800万円を使いました。数字を大きく見せる決算ではなく、財布の中身を整え始めた決算だと受け取っています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.kubota.co.jp/ir/financial/release/data/137q2.pdf

非支配持分が半分近くまで減った理由は、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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