はじめに
長崎ちゃんぽんのチェーンを全国で営んでいる会社です。看板の一杯は、豚骨のスープに麺と山盛りの野菜が乗ったものです。昼どきに一人で入る会社員や、買い物ついでの家族連れが主なお客です。国産の野菜を使うことを、会社は長く売りにしています。
もう一本の柱が、とんかつの「濵かつ」です。こちらは御膳で、少し腰を据えて食べる店です。最近はとんかつや弁当を持ち帰るだけの惣菜の店も出しています。
店の多くは自前で営み、一部はフランチャイズに任せています。グループの中には、自分たちの店の厨房機器を直す子会社もあります。海外ではタイやカンボジアに店を出しはじめたところです。
売上は4%増、営業利益は4割増
10月9日に出た、2026年3月から8月までの半年の決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 233億800万円 | 223億9,900万円 | +4.1% |
| 営業利益 | 11億1,800万円 | 7億9,000万円 | +41.6% |
| 経常利益 | 10億300万円 | 8億4,400万円 | +18.9% |
| 純利益 | 6億6,700万円 | 5億1,100万円 | +30.6% |
売上の伸びは控えめで、利益の伸びが大きい決算です。ただ、営業利益と経常利益で伸び方が倍以上違います。
増えた営業利益は、ちゃんぽんだけで説明がつきます
短信の12ページ目に、事業ごとの利益があります。前年と並べました。
| セグメント利益 | 前年同期 | 今回 | 増えた額 |
|---|---|---|---|
| 長崎ちゃんぽん | 5億9,411万円 | 9億4,075万円 | 3億4,663万円 |
| とんかつ | 1億5,996万円 | 1億6,922万円 | 926万円 |
| 設備メンテナンス | 1億1,353万円 | 9,757万円 | △1,595万円 |
| 全社費用など | △7,737万円 | △8,878万円 | △1,140万円 |
増えた額の列は私の引き算です。
損益計算書の千円単位の数字で引くと、会社全体の営業利益は3億2,853万円増えています。ちゃんぽん事業の増加は3億4,663万円です。一つの事業の伸びが、会社全体の伸びを上回っています。ほかの事業は横ばいか、少し減っています。
既存店の売上は、ちゃんぽんが前年の104.5%、とんかつが100.9%でした。同じ店で売上が4%以上伸びても、家賃や人件費のような固定費はあまり動きません。そのぶん利益に厚く残ります。
損益計算書を見ると、売上高(その他の営業収入を除く)は9億963万円増えました。売上原価の増加は1億6,914万円です。……原価がほとんど動いていない。
会社は説明文で原材料費や光熱費の高騰を挙げています。それでも、原価の増え方は売上よりずっと小さい。値上げなのか、仕入れの工夫なのか。その理由は決算短信には書かれていません。
営業の下で、9,000万円近くが入れ替わりました
営業利益が4割増えたのに、経常利益は2割増にとどまります。差は営業外の3つの科目で生まれています。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 受取補償金 | 6,513万円 | なし |
| 為替差益 | 3,738万円 | なし |
| 為替差損 | なし | 5,739万円 |
| 支払利息 | 5,580万円 | 7,359万円 |
前年は補償金と為替の差益で1億円ほどの上乗せがありました。今回は為替が損に回り、利息も増えています。本業の伸びが、営業の下で少し削られた形です。
一方、税金の前の利益は8億760万円から9億1,088万円へ増えました。それなのに、法人税等は2億9,652万円から2億4,344万円へ減っています。短信の10ページ目の注記によると、中間期の税金は1年分の見積りの税率を当てて計算しています。純利益の3割増には、この税率の下がり方も効いています。
現金は増えましたが、借入も増やしています
営業活動によるキャッシュ・フローは、11億2,702万円から15億7,493万円へ増えました。税金の支払いが減った分を除いた小計で比べても、13億9,244万円から17億7,665万円へ増えています。本業の現金は利益と同じ向きです。
店への投資は11億3,741万円で、ほとんどが店舗設備の取得です。営業で得た15億7,493万円から、この11億3,741万円を引きます。手元に残るのは4億3,752万円です。
それでも会社は長期借入金を22億円借り入れ、13億4,384万円を返しています。現金は半年で8億9,206万円増えました。支払利息が増えたのは、この借入の増え方とつじつまが合います。投資を自前の現金でまかなえている中で借入を積んだ理由は、決算短信には書かれていません。
前期は、純利益が経常利益より大きかった
いちばん引っかかったのは、表紙の通期予想です。営業利益は55.1%増、経常利益は27.6%増の見込みです。それなのに、純利益だけが30.5%減と見込まれています。本業が伸びる年に、なぜ最後の利益が3割減るのか。前期の側を割り戻して確かめました。
| 前期 | 経常利益 | 純利益 |
|---|---|---|
| 上期(実績) | 8億4,400万円 | 5億1,100万円 |
| 下期 | 約7億5,500万円 | 約12億1,600万円 |
| 通期 | 約15億9,900万円 | 約17億2,700万円 |
約の付いた数字は私の計算です。今期予想の経常利益20億4,000万円と純利益12億円を、それぞれの増減率で割り戻して前期の通期を出しました。そこから上期を引いたのが下期です。
前期の下期は、経常利益より純利益のほうが4億円以上大きかったことになります。ふつう、税金を払えば純利益は経常利益より小さくなります。前期の後半に、特別な利益か税金の戻りのようなものがあったはずです。
今期予想は経常20億4,000万円に対して純利益12億円で、ふつうの形です。3割減は、今期が崩れるからではなく、比べる相手の前期が膨らんでいたから出る数字だと受け取りました。前期の下期に何があったのかは、決算短信には書かれていません。表紙には「補足説明資料あり」とありますが、私はまだ開いていません。
会社の説明は、新しい商品と店の数が中心です
短信の説明文は、物価高で個人消費が伸び悩む中、原材料費や人件費が上がって厳しい、という前置きから始まります。そのうえで、ちゃんぽんでは冷やしちゃんぽんや辛い夏の一杯、8月31日の野菜の日に合わせた野菜831グラムの新商品を挙げています。とんかつでは梅しそ巻のシリーズと、持ち帰り専門の惣菜店です。
既存店が伸びたことは、この説明と矛盾しません。ただ、原価の増え方が売上よりずっと小さかった理由までは、説明文から分かりません。商品の話はそのまま受け取り、利益の残り方については留保をつけておきます。中間配当は、予定していた6円から7円に増やしています。
下期に必要な営業利益は、上期とほぼ同じ額です
| 通期予想 | 上期 | 進み具合 | 下期に必要な額 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 473億円 | 233億800万円 | 49.3% | 239億9,200万円 |
| 営業利益 | 22億円 | 11億1,800万円 | 50.8% | 10億8,200万円 |
| 純利益 | 12億円 | 6億6,700万円 | 55.6% | 5億3,300万円 |
どれも半分前後まで来ています。予想は4月10日に出したものから変えていません。
下期の営業利益は前年の下期から7割増が必要になります。通期予想の22億円は、前期から55.1%増の数字です。ここから割り戻すと、前期の通期は約14億1,800万円です。上期の7億9,000万円を引けば、前期の下期は約6億2,800万円だったことになります。前期は下期のほうが弱かったわけです。今期は、上期の11億1,800万円より少し少ない額を下期に稼げば届きます。
私はどう読んだか
純利益の3割減は、前期の下期の膨らみから来ていると私は読みました。今期の悪化を示す数字ではありません。理由は、今期の予想が経常利益と純利益のふつうの関係に戻っているだけで、本業の段階では営業利益も営業キャッシュ・フローも伸びているからです。
心配性なので、気になる点は残ります。増えた営業利益がちゃんぽん一本に頼っていること。現金が回っているのに借入を増やし、利息が増えていること。この二つです。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

前期の下期に純利益を経常利益より大きくしたものが何だったのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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