セブン&アイ・ホールディングス(3382)2027年2月期 中間決算分析――北米の伸び方が気になる

セブン&アイ・ホールディングス(3382)2027年2月期 中間決算分析――北米の伸び方が気になる 決算を読む

日本と北米で、セブン‐イレブンを運営している会社です

セブン&アイ・ホールディングスは、日本と北米でセブン‐イレブンを運営しています。朝のおにぎり、昼の弁当、帰り道の公共料金の支払い。日本では、生活のすき間に入りこんでいる店です。私も勤め先の近くの店で、毎朝ペットボトルの緑茶を手に取ります。

北米の店は少し事情が違い、店先でガソリンも扱っています。売上の大半は、日本ではなく北米で立っています。

以前はスーパーや銀行も抱えていましたが、去年の夏から秋にかけて連結から外しました。いまは、ほぼコンビニだけの会社です。そのため前の年と並べると、表の数字がかなり違って見えます。

売上は減って、営業利益は1割増えました

10月8日に出た、2027年2月期の中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高(営業収益)5兆4,602億7,400万円5兆6,166億3,700万円−2.8%
営業利益2,322億8,000万円2,083億8,800万円+11.5%
経常利益2,219億2,300万円1,864億3,600万円+19.0%
純利益1,244億4,400万円1,218億200万円+2.2%

売上が減ったのは、前年の上期にスーパーと銀行の分が入っていたからです。外した分を除いて比べ直した表が短信の添付資料2ページ目にあり、そちらでは営業収益が16.3%、営業利益が36.6%の増加です。

増益を担ったのは北米で、日本は1割減でした

部門ごとの営業利益です。

営業利益前年同期今回前年同期比
国内コンビニエンスストア事業1,217億9,300万円1,098億9,900万円90.2%
海外コンビニエンスストア事業801億3,100万円1,504億2,200万円187.7%
その他の事業414億1,500万円27億4,900万円6.6%

その他の事業がほぼ消えたのは、スーパーと銀行を外したからで、驚く話ではありません。増益の中身は、海外コンビニが2倍近くになったことと、日本が1割減ったことの差し引きです。

円安の分は、短信の2ページ目に書いてあります。為替で営業利益が94億円増えました。海外コンビニの営業利益は、今回が1,504億円、前年同期が801億円です。差し引きで700億円ほど増えているので、為替で説明できるのはその一部です。

北米の2倍近い伸びは、前の年の春の弱さから来ています

ここで引っかかりました。同じ日に出た決算補足資料には、四半期ごとの数字が載っています。短信の表には無い、補足資料の数字です。

前年の第1四半期、海外コンビニの営業利益は86億8,700万円しかありません。今年の第1四半期は655億9,200万円です。……前の年の春が、極端に弱い。

第2四半期の3か月だけで比べると、同じ補足資料で前年同期比118.7%です。2倍近い伸びの大半は、前年の第1四半期が落ち込んでいたことの反動ということになります。前年の春になぜ落ちたのかは、短信にも補足資料のこの表にも書かれていません。

その3か月の中身は、短信の4ページ目にあります。北米では客数が減り、米国内の既存店の商品売上は前年をやや下回りました。それでも、北米の会社の営業利益は前年同期比124.8%でした。

税引前の利益は減り、税金の軽さが純利益を支えています

表紙の純利益は2.2%増ですが、損益計算書を下まで追うと、税引前の段階では減っています。

前年同期今回
税金等調整前中間純利益2,035億6,600万円1,741億4,100万円
法人税等合計760億900万円489億7,200万円
親会社株主に帰属する中間純利益1,218億200万円1,244億4,400万円

税引前が減ったのは特別損益のせいです。前年は固定資産売却益が393億6,300万円ありましたが、今年は26億8,900万円でした。減損損失は、前年の80億円台から229億8,500万円へ増えました。3倍近くです。

法人税等を税引前で割ると、前年は約37%、今年は約28%。これは私の割り算です。税の負担がこれだけ軽くなった理由は、短信には書かれていません。営業利益の増加は特別損益で消えていて、純利益を前年より上に押し出したのは、この税金の差です。

自己株式の消却で、資本剰余金がゼロになりました

貸借対照表の純資産の部で、資本剰余金の欄がゼロになっています。理由は短信の16ページ目の注記にあります。7月15日に自己株式2億8,429万7,500株を消却し、資本剰余金を5,995億4,100万円減らしました。足りなくなった分は、利益剰余金から差し引いています。

利益剰余金は、2兆9,062億7,600万円から2兆6,610億8,100万円へ減っています。半年で1,244億円の利益を出しながら減っているのは、このためです。帳簿の上の付け替えなので、この消却で現金が出ていったわけではありません。

現金の出入りはキャッシュ・フロー計算書で追えます。営業活動で3,370億8,400万円が入り、設備とソフトウエアに1,872億円ほど出ていきました。差し引いて残る約1,500億円の行き先は、2つです。配当が578億円、自己株式の取得から第三者への処分を差し引いた分が1,000億円ほどで、ほぼ見合います。これも私の引き算です。

借入れのほうは入れ替えが進んでいます。1年内に返す長期借入金は、1,904億5,600万円から4,082億1,400万円へ増えました。半年で2倍強です。現金及び現金同等物は4,271億8,400万円で、期首とほぼ同じです。

決算日のあとには、最大1,200億円の社債を出すことを決めています。使い道には、社債の償還と借入金の返済が挙がっています。財務の仕事をしている身としては、返す時期が近づいたものを、社債で先へ延ばす動きに見えます。

日本の減益は設備の費用だと、会社は説明しています

短信の3ページ目によると、セブン‐イレブン・ジャパンは客単価の上昇で既存店売上が前年を上回り、中間期の荒利率は前年並みでした。減益の理由は販管費で、店内調理の設備や次世代の店舗システムを先に入れた費用と、物価の上昇を挙げています。同じ日に出た決算サマリーには、システム費用の増加は第4四半期で一巡する、とあります。

この説明は、そのまま受け取ります。理由は、費用の増え方を減価償却費と結びつけて具体的に書いていて、売上のほうはまだ伸びているからです。

ただ、第2四半期の3か月だけは、気になる点が残ります。この3か月は営業利益が86.3%まで落ち、荒利率も前年を割りました。挙げられている理由は、ソフトドリンク等の販売の伸び悩みです。荒利率は値付けと売れ筋の話で、設備の費用とは別物です。

北米については、値付けと販促の見直し、廃棄や品減りの削減で荒利率が改善したと書いています。これも受け取ります。ただ、客数が減った中での改善です。店に来る人が増えて稼いだ利益ではありません。

下期は、前の年の下期より低く置かれています

通期予想は、7月9日に出したものから変えていません。

中間期の実績通期予想下期に要る額前年の下期の実績
営業利益2,322億8,000万円4,250億円約1,927億円約2,146億円
純利益1,244億4,400万円2,780億円約1,536億円約1,710億円

約の付いた数字は、通期予想と前年の通期実績(営業利益4,229億9,300万円、純利益2,927億6,000万円)から、それぞれの中間期を私が引いたものです。

営業利益は、通期予想の半分を少し超えたところまで来ています。下期に要る額は、前年の下期に稼いだ額より1割ほど少なくなっています。前年の下期はスーパーを外したあとの半年なので、今年と比べやすい相手です。それより低く見込んだ理由は、短信には書かれていません。

日本は投資の途中、北米は前年の反動と受け取りました

日本の減益は、投資の費用が先に出ている段階だという見方をしています。理由は、中間期の既存店売上がまだ前年を上回っていて、増えた費用の行き先がはっきり書かれているからです。

北米のほうは、この伸びをそのまま実力とは見ていません。理由は、2倍近い伸びの大半が前年の春の落ち込みの反動で、直近の3か月は客数が減っていたからです。心配性なので、日本の3か月で荒利率が前年を割ったことも、頭の片隅に置いておきます。この先どうなるかは、私には分かりません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信

前年の第1四半期に、海外コンビニの営業利益がなぜ86億円台まで落ちていたのかは、今回の短信と補足資料からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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