マニー(7730)2026年8月期 通期決算分析――中国の大口顧客1社が気になりました

マニー(7730)2026年8月期 通期決算分析――中国の大口顧客1社が気になりました 日本株

はじめに

マニーは、医療の現場で使う小さな刃物と針を作っている会社です。白内障の手術で目に切れ目を入れるナイフや、外科医が傷を縫う糸の先に付く針を作っています。歯医者が歯の根の中を掃除したり、歯を削ったりする器具もあります。どれも患者の体に直接触れて、使ったら捨てる消耗品です。

買うのは病院や歯科医院です。針については、糸と組み合わせて縫合糸として売るメーカーにも卸しています。生産は国内とベトナムで、売上の大半は海外です。そのため為替の影響を強く受けます。

過去最高の1年でした

10月15日に出た、2026年8月期の通期決算です。

今回前の期増減率
売上高330億1,800万円299億6,800万円+10.2%
営業利益99億4,300万円81億9,300万円+21.4%
経常利益105億5,400万円82億7,100万円+27.6%
純利益72億3,700万円46億4,300万円+55.9%

4つの利益がそろって増えています。表の下の行ほど伸びが大きく、純利益は5割以上増えました。

営業利益から下の伸びは、為替差益と減損の減少でした

営業利益は2割増え、経常利益は3割近く増えています。この差は、損益計算書の営業外の欄で説明が付きます。為替差益は、前の期の7,100万円から、今期は7億1,200万円になりました。10倍に増えていました。

純利益には、さらに上乗せがあります。前の期は減損損失が11億9,000万円あり、今期はそれが3億200万円まで減りました。前の期の利益が特別損失で押し下げられていたので、今期の伸び率が大きく出ています。

営業外費用には「未稼働用地関連費用」という科目があり、3億1,000万円から5億1,800万円に増えました。名前からすると、使っていない土地にかかる費用です。どこの土地なのか、中身が何なのかは、決算短信には書かれていません。

売上の1割以上を、中国の1社が占めるようになった

引っかかったのは、注記の終わり近くにある「主要な顧客ごとの情報」の欄です。売上の1割以上を占める相手先を載せる欄で、前の期の決算短信では「記載はありません」でした。今期は1社の名前があります。

その会社は、中国の納馳(北京)医療科技有限公司です。この会社への売上は37億300万円で、デンタル関連製品のセグメントに入っています。短信の4ページ目には中国のデンタル売上が載っていて、今期は36億9,800万円です。中国デンタル全体とほぼ同じ大きさということになります。

これは、歯を削る器具「ダイヤバー」の経緯とつながります。マニーは2025年3月にダイヤバーの自主回収を始めました。中国の規制当局の承認が同じ年の10月末に下りて、11月に販売を再開しています。会社は、今期のダイヤバーの売上が回収前の88%まで戻ったと書いています。

戻ってきた中国の売上が、1社を通って入ってきている。……ここは素通りできない。

この会社がマニーの代理店なのか、どういう取引なのかは、決算短信には書かれていません。4ページ目の表を見ると、回収のあった前の期に、中国デンタルは基準年の6割ほどまで落ち込んでいます。一度止まった売上が戻り、その戻った分が1社に集まった、と私は受け取りました。

営業キャッシュ・フローには、工場建設の戻りが入っている

営業キャッシュ・フローは118億4,400万円で、前の期の70億1,700万円から大きく増えました。会社は理由として、利益が増えたことに加えて「未収消費税等の還付金収入など一時的な収入」を挙げています。

キャッシュ・フロー計算書を開くと、「その他の流動資産の増減額」が、前の期の△9億6,800万円から、今期は9億9,100万円のプラスへ変わっていました。前の期は花岡工場の建設で、有形固定資産の取得に64億1,800万円を払っています。そのとき払った消費税が今期に戻ってきた、と私は考えました。

今期の設備への支出は11億1,500万円で、減価償却費の24億3,700万円を下回っています。会社は、来期は花岡工場の本格稼働で減価償却費が増えると書いています。

会社はどう説明しているか

会社の説明は、円安が続いて海外売上が押し上げられたことから始まります。そのうえで、中国でのダイヤバーの販売再開、インドでの販売増、欧米での眼科ナイフ、アジアでの縫合針の出荷増が挙がっています。売上総利益は13.8%増で、売上の伸びを上回りました。ダイヤバーの再開で原価率が下がったためだ、と書かれています。

この説明は、そのまま受け取ります。理由は、3つのセグメントすべてで利益が増え、デンタルは5割以上伸びているからです。ただし、円安が売上をいくら押し上げたのかの金額は、決算短信には書かれていません。営業利益の伸びにも、為替の分がいくらか含まれているはずです。

来期は、上期を前の年より低く見ている

この決算は1年分が締まった数字なので、予想に対する進み具合を測ることはできません。表紙にあるのは、次の2027年8月期の予想です。

来期の予想上期増減率通期増減率
売上高177億円+9.9%365億円+10.5%
営業利益50億円△1.9%108億円+8.6%
経常利益50億円△11.0%109億円+3.3%
純利益35億円△10.2%76億円+5.0%

上期は売上が増えるのに、営業利益はわずかに減る見込みです。来期上期の50億円は、今期の上期より1.9%少ない数字です。そこで0.981で割り戻すと、今期の上期はおよそ51億円になります。通期の99億4,300万円からそれを引くと、今期の下期はおよそ48億円です。来期の通期は108億円です。そこから上期の50億円を引くと、来期の下期は58億円になります。今期の下期のおよそ48億円と比べると、下期で2割ほど伸ばす計画です。この下期の数字は私の引き算です。

想定為替は1ドル150円、1ユーロ175円です。今期の平均の156円73銭と182円37銭より円高に置いています。経常利益の伸びが小さいのは、今期のような為替差益を見込んでいないためだと考えられます。上期だけ利益が減る理由そのものは、決算短信には書かれていません。

私はどう読んだか

私は、この1年の本業の伸びは本物だと考えています。理由は、粗利の伸びが売上の伸びを上回り、3つの部門がそろって増益だからです。為替差益と減損の減少は純利益を大きく見せていますが、営業利益の段階には入っていません。

それでも、中国の1社のことは頭の片隅に置いておきます。回収で一度止まった売上が戻ってきて、売上全体の1割を超えるところまで来ました。来期はJIZAIという製品の中国での販売も始まり、中国のデンタルの比重はもう一段増える計画です。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信 | MANI
マニーの決算短信ページです。各期の業績概要や財務情報をご覧いただけます。

納馳(北京)医療科技有限公司への売上が、中国デンタル全体の売上をわずかに上回っている理由は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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