三井ハイテック(6966)2027年1月期 中間決算分析――一時的な分を外してから読みました

三井ハイテック(6966)2027年1月期 中間決算分析――一時的な分を外してから読みました 決算を読む

三井ハイテックは、金型の会社です。金属の薄い板を型で打ち抜き、それを何百枚も重ねて円筒にしたものが「モーターコア」。ハイブリッド車の駆動用モーターの芯になる部品で、車1台に何個も入ります。もう一つの柱が「リードフレーム」で、半導体のチップを載せて外の回路につなぐ金属の骨組みです。エアコンや車の中の、目に触れない場所で使われています。

どちらも店で買うものではありません。ただ、ハイブリッド車を買えば、家電を買えば、その中に入っている。どちらの製品も、勝負は打ち抜く型の精度で決まります。だからこの会社は、金型そのものも自社で製造し、外部に販売しています。

9月9日に出た中間決算です。上方修正が付いていて、1ページ目は明るい数字が並びます。私はその明るさの中身を、先に選り分けました。

この決算で何が起きたか

今回前年同期増減率
売上高1,306億7,200万円1,083億3,400万円+20.6%
営業利益118億1,800万円63億4,700万円+86.2%
経常利益133億1,900万円59億7,800万円+122.8%
純利益99億4,300万円41億8,900万円+137.3%

売上が2割増えて、営業利益は9割近く増えました。営業利益率は5.9%から9.0%へ。短信の説明文によれば4年ぶりの増収増益で、3つの事業すべてが増収増益です。ここまでは表のとおりです。

引っかかったのは、営業利益と経常利益の増え方の差です。営業が+86%なのに、経常は+122%。この差は営業外にあります。

経常利益を押し上げた、為替差益14億4,000万円

損益計算書の営業外収益を見ると、合計が前年の4億9,300万円から20億2,600万円へ増えています。その中身の大半が為替差益14億4,000万円です。前年の同じ欄は為替差損2億2,600万円でした。

経常利益の増分は約73億4,100万円です。133億1,900万円から59億7,800万円を引きました。そのうち為替に関わる分は16億6,600万円です。今年の差益14億4,000万円に、前年にあった差損2億2,600万円が無くなった分を足しました。増分の2割強が、商売ではなく為替の動きで出たことになります。これは私の引き算です。

短信の説明文にも「主に外貨建て金融資産の為替差益の影響により」と書かれています。会社側はここを隠していません。増分のうち営業利益の増加が54億7,100万円で、こちらが本体です。

説明会資料にだけある「一時的な利益計上」

その本体の中に、もう一つ気になる言葉があります。説明会資料のサマリーに、電機部品の増益理由として「一時的な利益計上等」とあるのです。決算短信の説明文には、この言葉はありません。金額も、短信にはなく、説明会資料の私が読んだ範囲にも載っていませんでした。

そして会社側は、下期を上期より減益と見込んでいます。理由の一つに「一時的な利益の反動減」を挙げています。つまり営業利益118億1,800万円のうち、いくらかは下期に戻ってこない分だと、自分で言っているわけです。

説明会資料の3か月ごとの数字では、営業利益率が第1四半期の7.2%から第2四半期の10.7%へ跳ねています。この跳ねの中に、その一時的な分が入っているのかもしれません。……いや、そう決めつけるのは早い。電子部品の利益率も5.5%から9.5%へ上がっていて、こちらには一時的という言葉が付いていません。上がった分の全部が一時的ではないはずです。

利益は増えたが、現金は借入と設備に向かっている

貸借対照表も見ました。

期首中間期末
売掛金301億2,600万円370億4,700万円
買掛金233億2,500万円303億6,700万円

貸借対照表の数字です。売上が2割増えれば売掛金も増えるので、これは珍しくありません。買掛金がほぼ同じ幅で増えているので、運転資本の面で引っかかるものはありませんでした。

現金の流れは、中間決算の短信にはキャッシュ・フロー計算書が無いので、説明会資料の数字です。営業キャッシュ・フローは101億3,200万円で、前年の153億6,100万円から減っています。投資キャッシュ・フローは173億8,300万円のマイナス。設備に使ったお金が、商売で稼いだお金を上回っています。

その差を埋めたのが借入です。貸借対照表で1年内返済の借入金と長期借入金を足すと、期首の866億8,300万円から948億6,000万円へ。約82億円の増加です。建設仮勘定は213億7,300万円から255億400万円へ。まだ稼働していない設備が積み上がっている、ということです。ここまでは貸借対照表の数字です。投資が先に出て、回収はこれから、と私は受け取りました。

もう一つ、小さい話ですが、欧州事業損失引当金が減っています。流動と固定を合わせて28億3,500万円から20億300万円へ。8億3,200万円の減少です。特別利益に戻入益は載っていないので、実際の損失に充てられたのだと考えています。ただ、何にいくら使われたのかは、短信には書かれていません。

会社はどう説明しているか

短信の4ページ目にある説明文は、需要の話です。ハイブリッド車の需要が堅調で、電機部品の売上が増えたこと。生成AIのデータセンター投資でレガシー半導体が回復し、電子部品が車載・民生ともに伸びたこと。それに為替の円安です。説明会資料には、期中平均レートが1ドル146円97銭から159円15銭へ動いたとあります。12円ほどの円安です。

需要の説明は、そのまま受け取っています。3事業が揃って増収増益で、電子部品は売上+34.8%、電機部品も+16.1%と、数字が説明と合っているからです。

留保を付けるのは、利益率の側です。短信の説明文には「一時的」という言葉が無く、説明会資料にだけある。金額も無い。営業利益率9.0%のうち、どこまでが続く力なのかは、この2つの資料からは分かりませんでした。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は2度目の上方修正です。売上高は2,720億円、営業利益は195億円へ引き上げられました。

上期実績通期予想残り6か月に必要な額残りの前年比
売上高1,306億7,200万円2,720億円約1,413億2,800万円約+28.5%
営業利益118億1,800万円195億円約76億8,200万円約+21.8%
経常利益133億1,900万円200億円約66億8,100万円約−14.7%
純利益99億4,300万円145億円約45億5,700万円

約の付いた数字は、通期予想から上期実績を引き、前年の下期と比べて私が出したものです。

営業利益は上期で6割まで来ています。残りの76億8,200万円は前年の下期より2割多い水準ですが、上期の118億円からは大きく落ちる置き方です。会社側が下期を減益と見込んでいるのは、この表のとおりです。

引っかかったのは経常です。残り6か月の営業利益76億8,200万円に対して、経常は66億8,100万円。引き算すると、営業外を10億100万円の赤字と置いていることになります。上期に14億4,000万円あった為替差益が、下期はほぼ打ち消される想定だと私は受け取りました。説明会資料の下期想定レートは1ドル158円で、7月末の160円72銭より円高です。

私はどう読んだか

本業の伸びは本物で、下期の減益も会社の言うとおりになる。私はその見方をしています。理由は、営業利益率の改善が電機部品と電子部品の両方で起きていて、片方の一時的な利益だけでは説明が付かないからです。

ただ、上期の営業利益率9.0%を実力とは考えていません。実力として持っておくのは、通期予想から出した約7.2%のほうです。営業利益195億円を売上高2,720億円で割りました。心配性なので、下から見ています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.mitsui-high-tec.com/news/files/62b6e3e77bec9eb9a7303148e41614b1a2c50a20.pdf

電機部品の「一時的な利益計上」がいくらなのかと、欧州事業損失引当金が8億円減った中身は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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