はじめに
ネットで物を売る会社は、商品の一覧をそのまま広告やSNSに出せません。色、サイズ、在庫の有無、画像の並び順。出す先ごとに決まった書式があって、そこに合わせて作り直す必要があります。扱う商品が数千点あれば、手作業では追いつきません。この作り直しを自動で回す仕組みを、データフィードと呼びます。
フィードフォースグループは、そのデータフィードの会社として始まり、いまは三つの顔を持っています。広告の運用そのものを引き受ける事業、月額で使ってもらうツール、そしてネット通販の土台であるShopifyに後から足す機能の開発です。
LINEの友だち登録と店の会員情報をつなぐ道具、店をまたいでポイントを使える仕組み、注文と出荷を自動で流す道具。買うのは、自分で店を回している事業者です。表側に名前は出ませんが、通販の裏で動いています。
この決算で何が起きたか
2026年9月29日に出た、2027年5月期の第1四半期です。期間は2026年6月から8月の3か月。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 13億600万円 | 11億9,900万円 | +8.9% |
| 営業利益 | 5億3,600万円 | 4億8,300万円 | +11.1% |
| 経常利益 | 5億3,300万円 | 4億7,800万円 | +11.1% |
| 親会社株主に帰属する四半期純利益 | 3億1,600万円 | 3億3,600万円 | △5.8% |
売上は1割弱増え、営業利益はそれより少し速く増えています。ところが最後の行だけ、前の年を下回りました。
主力が減って、残りの二つが埋めていました
事業ごとの表が、短信の5ページ目にあります。
| 事業 | 売上高 | 増減率 | 営業利益 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| プロフェッショナルサービス | 7億4,500万円 | △0.8% | 3億300万円 | △14.3% |
| SaaS | 3億7,000万円 | +11.5% | 1億5,900万円 | +39.6% |
| DX | 1億9,000万円 | +64.9% | 7,400万円 | +394.6% |
売上がいちばん大きいのは広告運用の代行で、7億4,500万円。ここが減収で、営業利益は1割以上落ちています。
引っかかったのは、利益の出どころが入れ替わっていたことです。前の年、この主力が出していた営業利益は3億5,300万円。全体の4億8,300万円に対して7割強でした。今回は全体5億3,600万円のうち3億300万円で、6割を切っています。
残りの二つが、主力の減った分を埋めて、さらに上へ出ました。 DXの営業利益は1,400万円から7,400万円へ。4倍以上です。SaaSも4割近く増えています。全体の増益は、主力が伸びた結果ではありません。
税金と特別利益のところで、最後の一行が下を向きました
損益計算書(8ページ目)を上から下へたどると、どこで向きが変わったかが分かります。
税金等調整前四半期純利益は5億600万円から5億3,500万円へ、ちゃんと増えています。向きが変わるのはその下です。
特別利益の新株予約権戻入益が、2,700万円から200万円へ減りました。法人税等の合計は1億7,000万円から2億1,800万円へ増えました。そのうち法人税等調整額が2,200万円から6,800万円へ膨らんでいます。この二つで、増えた税引前利益が食われました。
会社は4ページ目で、新株予約権戻入益が2,500万円減ったことを挙げています。もう一つの理由は、借りている建物の資産除去債務の会計処理を変えたことによる税金の増加です。現金が出ていく話ではありません。
後者は貸借対照表にも出ています。固定負債に資産除去債務9,100万円が新しく立ちました。建物の帳簿額は4,100万円から1億800万円へ増えています。事務所を引き渡すときの原状回復費用の見積りを変え、原則どおりの処理に切り替えたためです。純利益を押し下げた額は2,400万円と、6ページ目に書いてあります。
この四半期は、キャッシュ・フロー計算書が作られていません
現金及び預金は47億100万円から44億5,200万円になりました。差は2億4,900万円の減少です。ではどこへ出たのか、と思って10ページ目を開くと、第1四半期のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、とあります。四半期では任意なので、これ自体は珍しくありません。
貸借対照表の負債側に、手がかりがあります。未払法人税等が3億6,500万円から1億4,900万円へ減っています。買掛金も16億1,100万円から14億3,800万円へ減りました。合わせて3億8,900万円が出ていった計算です。一方で売掛金は6,400万円増えただけ。
前の期末にたまっていた支払いを済ませた四半期だった、と私は受け取りました。 利益が現金に変わらなかった、という形ではありません。ただし一本の流れとして追うには計算書が要るので、ここは推定までです。
会社はどう説明しているか
主力の減収減益について、短信に書かれているのは「一部既存顧客との取引状況の変化」の一行だけです。どの規模の取引が、どう変わったのか。そこは短信には書かれていません。
広告運用の代行は、大口の予算が動けば売上がそのまま動く商売です。一行で済まされると、残りの9か月をどう見ればいいのかが分かりません。
SaaSとDXの説明のほうは具体的でした。LINE連携のアプリを中心に需要が堅調で、既存客からの受注が増え、新規も獲れたとあります。DXは前期にやった事業再編の効果が出て、収益性が改善したと書いています。利益が4倍以上になった理由としては、筋が通っています。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期は売上57億4,100万円、営業利益23億6,200万円。6月に出した予想から変更なし、と6ページ目にあります。
第1四半期の売上13億600万円を、通期予想の57億4,100万円で割ります。進み方は約23%です。営業利益も同じで、5億3,600万円を23億6,200万円で割ります。こちらも約23%でした。4分の1の目安には少し足りません。
気になったのは、上期の予想の立て方です。
| 営業利益 | 第1四半期 | 9月〜11月 | 上期累計 | 下期6か月 |
|---|---|---|---|---|
| 実績と会社予想 | 5億3,600万円 | 約5億1,000万円 | 10億4,600万円 | 約13億1,600万円 |
約の付いた二つは、会社の上期予想と通期予想から私が引いた数字です。上期10億4,600万円から第1四半期の5億3,600万円を引きます。9月から11月の3か月は5億1,000万円です。終わった3か月より2,600万円少ない見込みです。
下期は逆です。6か月で13億1,600万円なら、四半期あたり6億5,800万円。第1四半期を1割以上超える水準です。
通期は売上で+16.9%、営業利益で+19.2%の伸びを置いています。終わった3か月は+8.9%と+11.1%。この差は、残りの9か月で埋めることになります。埋める手は二つしかありません。主力が戻るか、SaaSとDXがもっと伸びるか。
私はどう読んだか
私は、主力の弱さよりも、稼ぎ手が入れ替わったことのほうを重く見ています。理由は、SaaSとDXの増益が営業外や特別利益ではなく、それぞれの事業の売上が増えた結果として出ているからです。事業再編で変わった採算は、3か月で元に戻る種類のものではありません。
心配なのは、さきほどの上期の予想です。……いや、通期を据え置くのは分かる。ただ、上期を終わった3か月より低く置いたままにしているのは、何なのか。主力の取引の変化が9月以降も続くと見込んでいるのかもしれませんが、そう書いてあるわけではありません。
財務の側は落ち着いています。借入は短期13億円と長期10億円で、手元の現金のほうが多く残っています。自己資本比率も43.3%から45.7%へ上がりました。現金の減り方は気にしていません。
出典:決算短信(会社発表)
主力の「一部既存顧客との取引状況の変化」が、どの規模の取引でどう変わったのかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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