はじめに
パチンコホールの広告を手がける会社です。ホールが新台入れ替えやイベントでお客さんを呼びたいとき、新聞に挟む折り込みチラシ、スマートフォンに出すネット広告、店頭に置く販促物を作り、届けるところまで引き受けます。業界で名前の知られた人を店に呼ぶ来店企画も扱っています。
お客さんはホールの経営者です。最近はパチンコ以外にも広げていて、フィットネス施設、買取店、住宅の塗装やリフォームの会社が広告を頼んでいます。ほかに小さな不動産の事業があり、千葉県柏市に持っている土地を貸しています。
減収で、営業利益は3割減でした
10月16日に出た中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 36億4,500万円 | 39億2,100万円 | △7.0% |
| 営業利益 | 2億6,600万円 | 3億9,800万円 | △33.1% |
| 経常利益 | 2億6,700万円 | 3億9,800万円 | △32.7% |
| 純利益 | 1億5,400万円 | 2億6,100万円 | △41.2% |
売上の落ち方に比べて、利益の落ち方が大きい決算です。
折込広告が6割に縮んでも、粗利はほぼ同じでした
短信の最後のページに、広告の売上を種類ごとに分けた表があります。
| 種類 | 今回 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| インターネット | 17億7,000万円 | 107.3% |
| 折込広告 | 5億7,200万円 | 61.0% |
| 販促物 | 4億5,700万円 | 105.0% |
| クリエイティブ | 2億9,300万円 | 93.1% |
| 媒体 | 8,100万円 | 93.2% |
| その他 | 4億3,000万円 | 101.5% |
折込広告が前年の6割まで縮みました。5億7,200万円を0.61で割り戻すと、前年はおよそ9億3,800万円あったことになります。これは私の割り算です。今回の5億7,200万円と比べると、チラシだけで3億円台の売上が消えています。
引っかかったのは損益計算書のほうです。売上高は39億2,100万円から36億4,500万円へ減りました。減った額は2億7,600万円です。ところが売上総利益は13億8,500万円から13億8,400万円へ。減ったのは100万円です。
……売上が3億円近く消えて、粗利が動いていない。
ここまでは損益計算書の数字です。会社は折込広告を「取扱高の大きい」ものと説明しています。チラシは印刷代と配布代が売上に乗るぶん金額が大きく、手元に残る割合は小さくなります。消えたのは、もともと利益の薄い売上だったと私は受け取りました。
利益を削ったのは、粗利の下の経費でした
粗利が同じなら、減益の原因はその下にあります。販売費及び一般管理費が9億8,700万円から11億1,800万円へ増えていました。増えた額は1億3,100万円です。
このうち6,100万円は中身が分かります。事務所を借りるときの「出るときに元に戻す費用」の見積りを引き上げ、その差を減価償却費として一度に計上しています。注記にそう書いてあり、キャッシュ・フロー計算書でも減価償却費が2,500万円から9,000万円へ跳ねています。お金が出ていかない費用です。
この6,100万円を足し戻すと、営業利益は3億2,700万円です。それでも前年の3億9,800万円には届きません。6,100万円を除いても、販管費の増加にはまだ7,000万円が残ります。この7,000万円が何の経費の増加なのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
現金の減り方は、行き先を追えば落ち着いています
現金及び現金同等物は半年で6億2,200万円減り、25億9,700万円になりました。数字だけ見ると大きな減り方です。
キャッシュ・フロー計算書を追うと、5億円は有価証券を買ったもので、形を変えて手元に残っています。自社株の買い入れに1億9,300万円、前期末の配当に1億3,200万円。どちらも株主に返した分です。
営業キャッシュ・フローは2億8,900万円から2億1,600万円へ減りました。法人税等の支払いが5,900万円から1億9,700万円に増えたのが効いています。前期によく稼いだ分の税金を、今期に払ったわけです。
一つだけ、預り敷金及び保証金が7,800万円増えていました。何の預かりなのかは短信からは分かりません。
会社はどう説明しているか
減益の理由として会社が挙げているのは3つです。紙の広告の減り方が「期初の想定を大きく上回って」進んだこと。住宅関連の広告主が、ナフサ不足で塗料の調達が不安定になり、出稿を控えたこと。そして先ほどの6,100万円です。
下期については、不動産事業の大型案件の獲得、年末商戦の広告需要、高い値を付けられるネット広告の拡販で、通期計画を目指すとしています。4月17日に出した予想は変えていません。
説明そのものは数字と合っていて、そのまま受け取れます。引っかかるのは予想の扱いです。4月の予想を作ったときの前提、つまりチラシの減り方は、会社自身の言葉で外れています。それでも数字を変えず、足りない分は、まだ「獲得」をめざしている段階の案件で埋めるとしています。不動産事業の上期の売上は3,800万円でした。
通期予想に対して、どこまで来ているか
| 通期予想 | 上期の実績 | 残り6か月に要る額 | 前年の下期 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 80億円 | 36億4,500万円 | 43億5,500万円 | 約36億1,400万円 |
| 営業利益 | 8億円 | 2億6,600万円 | 5億3,400万円 | 約2億7,700万円 |
約の付いた数字は、表紙にある通期予想の増減率から前期の通期を割り戻し、前年の上期を引いたものです。
売上は半分近くまで来ていますが、営業利益は3分の1です。通期の8億円から上期の2億6,600万円を引くと、下期に要る額が出ます。その5億3,400万円を、下期の半年で稼ぐ必要があります。前年の下期の倍近くです。上期のうち7月から9月だけを取り出すため、2億6,600万円から第1四半期の1億3,700万円を引きます。残る7月から9月の営業利益は1億2,900万円でした。下期は3か月ごとに、この足取りの倍を続けることになります。
私はどう読んだか
減益の決算ですが、私はこれを「紙が減っても粗利が残る形に入れ替わりつつある」決算だと考えています。理由は、3億円近い売上が消えた半年で、売上総利益が100万円しか減っていないからです。ネット広告と販促物は前年を上回っていて、粗利の割合はむしろ上がっています。
一方で、心配性なので悪いほうも書いておきます。通期の8億円は、上期の足取りから見るとかなり重い数字です。それを支える柱が、まだ取れていない不動産の案件です。上がるかは知りません。下期の短信で、不動産の売上が本当に立ったかどうかを確かめます。
出典
出典:決算短信(会社発表)
販管費のうち一度きりの6,100万円を除いた7,000万円の増加が何の経費なのか、下期に見込む不動産の大型案件がどんな案件なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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