NANKAI(9044)2027年3月期 中間決算分析――最高益は売却と償却変更頼みと読みました

NANKAI(9044)2027年3月期 中間決算分析――最高益は売却と償却変更頼みと読みました 日本株

なんばから空港へ線路を持つ会社

大阪のなんばを起点に、大阪の南部から和歌山まで線路を延ばしている私鉄です。関西国際空港にも乗り入れています。毎朝の通勤や通学の人と、飛行機に乗りに行く旅行者の両方を運んでいます。

鉄道のほかにも、沿線でマンションを分譲し、オフィスや物流施設を貸しています。駅の中の店やショッピングセンターも営んでいます。バス、建設、ビル管理、それに通天閣も、このグループの事業です。

今年の春、鉄道の事業を子会社に切り分けました。この半年は、その形になって最初の中間決算です。

過去最高でも、利益は売上ほど伸びていない

11月2日に出た中間決算です。営業収益(売上高にあたるもの)も、各段階の利益も、前年同期を上回りました。

今回前年同期増減率
営業収益1,437億5,900万円1,265億1,600万円+13.6%
営業利益233億6,700万円216億8,300万円+7.8%
経常利益217億7,200万円207億4,100万円+5.0%
純利益146億8,500万円140億8,400万円+4.3%

売上は1割以上伸びました。営業利益の伸びはその半分ほどで、純利益はさらに小さくなっています。この差がどこから来たのかを追いました。

増益の6割は、減価償却の計算方法を変えた分

最初に引っかかったのは、短信の11ページ目にある注記です。この半年から、鉄道事業の設備(建物と構築物を除く)の減価償却を、定率法から定額法に変えています。

定率法では、買ってすぐの年に費用を重く計上し、年を追うごとに軽くなります。定額法では、毎年同じ額を計上します。新しい設備が多い時期に定額法へ移すと、初めのうちは費用が軽くなります。

注記によると、この変更で営業利益は10億7,400万円増えています。営業増益は16億8,300万円でしたから、その6割強がこの変更によるものです。233億6,700万円から、償却変更の10億7,400万円を引きます。残りは222億9,300万円です。前年同期の216億8,300万円と比べると、伸びは3%弱にとどまります。

会社は変更の理由を次のように書いています。分社化のあと新型車両の導入など大きな設備投資を計画しており、設備は長く安定して使われる見込みだ、という説明です。筋は通っています。ただ、同じ電車を同じように走らせていても、帳簿の上の利益は増えることになります。

鉄道の会社で、いちばん稼いだのは不動産

短信のセグメント情報から、事業ごとの営業利益を並べます。

事業前年同期今回増減率
運輸業98億9,000万円85億6,300万円−13.4%
不動産業65億3,700万円95億800万円+45.5%
流通業23億8,100万円24億4,700万円+2.8%
レジャー・サービス業19億8,900万円19億6,400万円−1.3%
建設業10億9,000万円11億7,000万円+7.3%
その他の事業△7,300万円△2億400万円―

運輸業の85億6,300万円には、先ほどの10億7,400万円が含まれています。それを引くと74億8,900万円です。前年同期の98億9,000万円より、4分の1近く少なくなります。……鉄道の会社なのに、この半年でいちばん稼いだのは鉄道ではない。

短信の説明文によると、特急料金の改定で増収効果はありました。一方で、前年の大阪・関西万博の反動で利用が減り、バスでは車両の入れ替えで減価償却費が増えています。

ここからは説明会資料の数字で、不動産業の増益の中身を見ます。分譲と物件売却を担う不動産販売業の営業利益は35億4,600万円で、前年同期は1億4,000万円の赤字でした。赤字から黒字に転じたので、増益幅は2つを足した36億8,700万円です。賃貸業はむしろ減益です。マンションの販売戸数は、前年同期より195戸増えています。

営業増益は16億8,300万円です。ここから、不動産販売の増益36億8,700万円と償却変更の10億7,400万円を引きます。結果は、およそ30億円のマイナスになります。これは私の引き算です。残りの事業は、合わせると減益だったことになります。

営業で入った現金の4倍を、設備に払っている

キャッシュ・フロー計算書は短信の10ページ目にあります。営業活動で入った現金は92億5,300万円で、前年同期より少し減りました。税引前の利益は220億円ありましたが、仕入債務の減少で120億2,400万円が出ていっています。

一方で、固定資産の取得に392億600万円を支払っています。営業で入った現金のおよそ4倍です。足りない分は、長期借入れの311億3,000万円と、社債の発行による198億8,200万円でまかないました。

借入れが増えれば、利息も増えます。支払利息は19億6,300万円から27億7,300万円へ、4割ほど増えました。説明会資料は、理由として金利の上昇と有利子負債の増加を挙げています。営業利益の伸びに比べて経常利益の伸びが小さいのは、主にこの利息の分です。

会社の説明は「売却益の上振れと、費用の期ズレ」

短信の説明文は、万博の反動減をマンション販売と物件売却が上回った、という書き方です。期初の予想とどこが違ったのかは、短信には書かれていません。補足説明資料を参照するように、とだけあります。

その補足説明資料によると、上期の営業利益は期初の予想を21億円上回りました。理由として挙げているのは2つです。物件の売却益が想定より多かったこと。運輸業と不動産業で、費用の計上が下期にずれたこと。鉄道については、通期でインバウンド客が想定を下回る見込みだとしています。

この説明は、そのまま受け取りました。費用が後ろにずれただけなら、下期に戻ってきます。上期が予想を上回ったのに通期の営業利益を据え置いたこととも、つじつまが合います。

通期予想は、下期の減益を見込んでいる

通期予想進捗率下期に必要な額前年下期比
営業収益2,888億円約49.8%約1,450億4,100万円約+5.0%
営業利益400億円約58.4%約166億3,300万円約−9.0%
経常利益354億円約61.5%約136億2,800万円約−20.0%
純利益238億円約61.7%約91億1,500万円約−17.5%

通期予想は短信に載っている数字です。約の付いた数字は、通期予想と中間期の実績から私が出したものです。

利益の進捗率は、どれも半分を大きく超えています。それでも会社は営業利益の予想を据え置きました。経常利益の予想は、359億円から354億円に下げています。

下期の営業利益は、前年の下期より1割近く少なくても通期予想に届きます。経常利益なら2割少なくても届きます。会社自身が下期を弱く見込んでいるので、進捗率の高さを上振れの兆しとは受け取っていません。

売却がどこまで続くか

私は、この半年の最高益は物件の売却と減価償却の変更に支えられたものだと考えています。理由は、その2つを除くと、残りの事業は合わせて減益になるからです。運輸業の落ち込みは、帳簿の上の変更で薄まって見えています。

売れる不動産を持ち、それを利益に換えられるのは、この会社の力です。ただ、借入れが増えて利息が重くなっている時期です。毎期同じように売れるとは限りません。心配性なので、私は下期の売却の規模のほうが気になっています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.nankai.co.jp/lib/company/ir/library/tanshin/pdf/261102.pdf

期初の予想に、償却方法の変更による増益分がもともと含まれていたのかどうかは、短信からも説明会資料からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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