障害のある人の、学ぶ場所と働く場所をつくっている会社
LITALICOは、障害のある人や発達に特性のある子どもに向けた施設を、全国で運営している会社です。主力は、働くことに障害のある人の就職を支える通所の施設です。利用者はパソコンの訓練や履歴書の準備をしながら就職をめざし、就職したあとの職場への定着も支えてもらえます。
もう一つの主力は、発達が気になる子どもが就学前や放課後に通う教室です。費用は一部を利用者が負担し、大半は公費でまかなわれます。
このほか、同じ業界の施設が請求や採用に使うソフトと求人の仲介も手がけています。米国ネブラスカ州では、強度行動障害のある人の住まいと支援も運営しています。
売上が2割、営業利益は4割近く増えた半年
2026年11月2日に出た中間決算で、4月から9月までの半年分です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 221億200万円 | 184億7,300万円 | +19.6% |
| 営業利益 | 28億2,600万円 | 20億6,200万円 | +37.0% |
| 経常利益 | — | — | — |
| 純利益 | 18億2,100万円 | 12億3,600万円 | +47.3% |
IFRSの会社なので、経常利益の欄はありません。前年同期の数字は、売却した子会社2社の分を除いて組み替えてあります。短信の1ページ目に、その注記があります。
この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった
利益が伸びた決算ほど、私は先にキャッシュ・フロー計算書を開きます。今回は、その表がありませんでした。添付資料の目次は、損益計算書、包括利益計算書、持分変動計算書、セグメント情報までです。キャッシュ・フロー計算書は、この短信には載っていません。
代わりに貸借対照表を開いて、引っかかりました。現金及び現金同等物は、3月末に80億9,500万円ありました。9月末は48億8,700万円です。この2つを引き算すると、半年で32億800万円減っています。手元の現金のおよそ4割です。
……営業利益が28億円出た半年で、これか。
現金の行き先は、施設と自己株式
貸借対照表の行を、3月末と9月末で並べました。
| 3月末 | 9月末 | |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 80億9,500万円 | 48億8,700万円 |
| 営業債権及びその他の債権 | 68億8,700万円 | 76億5,500万円 |
| 有形固定資産 | 70億6,800万円 | 102億2,500万円 |
| のれん | 113億4,300万円 | 121億1,400万円 |
| 借入金(流動) | 42億1,500万円 | 55億5,700万円 |
| 借入金(非流動) | 131億1,500万円 | 138億6,800万円 |
| 自己株式 | △13億円 | △22億8,800万円 |
有形固定資産が31億5,700万円、のれんが7億7,100万円増えています。短信の説明は「主に、事業及び設備への投資によるもの」です。ここで引き算したのは残高の差で、実際に払った額とは一致しません。理由は、減価償却を差し引いたあとの残高だからです。
残りは株主に戻したお金です。持分変動計算書を見ると、自己株式の取得及び処分で9億8,900万円、配当の支払いで3億8,200万円、資本が減っています。合わせて13億円を超えます。
その一方で、借入金は20億9,400万円増えました。1年以内に返す分が大きく増えたことには、財務の仕事をしている身として目が止まります。流動資産と流動負債が、ほぼ同じ大きさまで近づきました。
営業債権も増えています。説明会資料の図では、報酬の9割が公費です。会社が利用者に代わって、国民健康保険団体連合会に請求する仕組みです。売上が伸びれば、請求中の残高も伸びます。相手が公的な機関なので、回収を心配する種類の残高ではないと考えています。
事業の利益は12億円増え、本社の費用が5億円増えた
セグメント情報まで行くと、営業利益の伸びがどこから来たのかが分かります。
| セグメント利益 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 就労支援 | 21億2,900万円 | 28億4,800万円 |
| 児童福祉 | 1億7,000万円 | 7億300万円 |
| プラットフォーム | 10億円 | 10億9,500万円 |
| 海外 | 4億2,900万円 | 4億6,600万円 |
| その他 | 1億7,400万円 | 5,400万円 |
| 調整額 | △18億3,900万円 | △23億4,100万円 |
| 営業利益 | 20億6,200万円 | 28億2,600万円 |
事業の合計は12億6,500万円増えました。いちばん効いたのは就労支援の7億1,900万円で、児童福祉の利益は前年の4倍に増えています。プラットフォームは売上が4分の1増えたのに、利益は1割弱の伸びです。
この伸びの一部を、本社の費用が吸っています。調整額は、報告セグメントに帰属しない一般管理費が中心だと注記にあり、前年同期から5億200万円増えました。5億200万円を12億6,500万円で割ると、事業で増やした利益の4割ほどにあたります。何に使われたのかは、短信にも、私が読んだ範囲の説明会資料にも書かれていませんでした。
営業利益の下にも動きがあります。金融収益が1,500万円から1億9,000万円に増え、税引前中間利益は営業利益より大きく伸びました。金融収益の内訳は、短信には書かれていません。
会社の説明は「既存施設の運営改善」
短信の説明文は、事業ごとに理由を挙げています。就労支援は12施設を新しく開いて183施設になり、人材投資を吸収しながら既存施設の運営改善が進んだ、と書いています。児童福祉は「短時間中心の支援プログラムへの回帰」で施設稼働率が安定した、という説明です。
この説明は、そのまま受け取っています。理由は、利益の伸びが売上の伸びを上回っていて、新しい施設より既存の施設が稼いでいる形と合うからです。
一つ、言葉の違いに気づきました。児童福祉について、短信は短時間中心への「回帰」と書いています。説明会資料は、長時間支援や訪問支援の「拡充」で収益性が上がったと書いています。別のページには「短時間を中心としつつ」とあるので、矛盾ではなく力点の違いです。ただ、どちらが利益を押し上げたのかは切り分けられませんでした。
上方修正した予想は、営業利益に5億円の幅がある
会社は通期予想を引き上げました。売上高は440億円から455億〜460億円へ引き上げています。営業利益は55億円から58億〜63億円へ。配当予想も20円にしています。
| 上期 実績 | 通期予想(今回) | 下期に要る分 | 前年の下期 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 221億200万円 | 455億〜460億円 | 約233億9,800万〜238億9,800万円 | 約197億7,400万円 |
| 営業利益 | 28億2,600万円 | 58億〜63億円 | 約29億7,400万〜34億7,400万円 | 約25億1,400万円 |
約の付いた数字は、通期予想と前期実績から上期の実績を私が引いたものです。
営業利益は、予想の下限に対して半分近く、上限に対しては4割台半ばまで来ています。上期の営業利益28億2,600万円を、予想の下限の58億円で割りました。上限の63億円でも割った、私の割り算です。下期に要る分は、前年の下期を2割弱から4割弱上回る水準になります。
この会社は前年も下期のほうが稼いでいるので、下期が重い予想そのものに不自然さはありません。説明会資料では、下期に6億〜9億円程度の先行投資を実行中だとしています。短信は、予想に幅を持たせた理由も書いています。追加投資の時期と規模、それに米国の新しい施設の業績で、利益が変わりうるからだそうです。
私はどう読んだか
現金の減り方は、本業が悪くなったせいではなく、施設への投資と株主還元によるものだと考えています。理由は、減った分の行き先を書類の行で追えるからです。有形固定資産、のれん、自己株式と、どれも貸借対照表か持分変動計算書に出ています。営業債権の相手も、公的な機関です。
心配性なので、気になるのは来期のほうです。説明会資料には、来期に就労支援で40施設を開く計画が載っています。借入で投資をまかなう形が続けば、手元の現金はさらに薄くなります。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
この半年に営業活動でいくらの現金が入ってきたのかは、この短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント