早稲田アカデミー(4718)2027年3月期 中間決算分析――下期だけ減益の予想が気になる

早稲田アカデミー(4718)2027年3月期 中間決算分析――下期だけ減益の予想が気になる 日本株

首都圏で、中学受験の子どもが通う塾

早稲田アカデミーは、首都圏で私立中学や高校の受験をめざす子どもが通う、集団授業の進学塾です。中心は小学生で、受験学年になると夏や冬に合宿や特訓の講座が加わります。お金を払うのは親で、子どもが志望校に受かるまでの数年間、月謝と季節の講座代を払い続けます。

個別指導の教室もあり、大学受験向けには衛星授業の予備校を運営しています。子会社には、医学部・歯学部・薬学部をめざす高校生と浪人生のための予備校もあります。

塾の商売は、生徒が増えるかどうかと、1年のどの時期にお金が入るかで決まります。今回の決算は、その両方がよく見える回でした。

生徒が増えて、利益は5割増えました

11月2日に出た中間決算です。4月から9月までの半年分にあたります。

項目今回前年同期増減率
売上高200億6,600万円182億7,200万円+9.8%
営業利益25億3,800万円16億6,700万円+52.3%
経常利益25億3,400万円16億7,800万円+51.1%
純利益15億7,000万円10億5,900万円+48.2%

売上が1割増えて、営業利益は5割増えています。利益の伸びが売上の5倍あります。

利益のほとんどは、7月から9月に出ています

7月末に出た第1四半期の短信では、営業損益は8,900万円の赤字でした。中間の営業利益は25億3,800万円です。4〜6月の赤字を埋めたうえでこの額なので、7月から9月の3か月だけで26億2,700万円の営業利益を計上したことになります。

営業利益4〜6月7〜9月上期累計
今年△8,900万円約26億2,700万円25億3,800万円

約の付いた数字は、上期累計から第1四半期を私が引いたものです。

夏期講習と夏期合宿がある時期です。会社は、合宿と特訓の参加者が前年を上回ったと書いています。春は赤字で、夏の3か月に通期予想の営業利益の半分以上を稼ぐ形です。前年の7〜9月の数字は手元に無いので、夏の伸びが前年と比べてどれほどかまでは分かりません。

売上の伸びの半分は、生徒あたりの金額でした

短信の最後のページに、学部ごとの平均生徒数と売上の表があります。私はここを見て引っかかりました。生徒数は5.1%しか増えていないのに、売上は9.8%増えているからです。売上を生徒数で割ってみました。

学部生徒数(前年)生徒数(今回)生徒あたり売上(前年)生徒あたり売上(今回)
小学部29,518人31,135人約37万8,000円約39万9,000円
中学部16,994人17,443人約35万8,000円約36万9,000円
高校部2,870人3,268人約32万3,000円約32万8,000円
合計49,535人52,039人約36万9,000円約38万6,000円

生徒数は4〜9月の平均です。約の付いた数字は、学部ごとの半年分の売上を平均生徒数で私が割ったものです。

生徒数の伸び5.1%は、売上の伸び9.8%のほぼ半分です。売上が1割伸びたうち、半分ほどは生徒が増えた分で、残りの半分は生徒あたりの金額が増えた分ということになります。いちばん増えたのは小学部で、生徒1人あたり半年で2万円ほど上がっています。

合宿の参加者が増えたことは、短信に書かれています。授業料を改定したのかどうかは、決算短信には書かれていません。

増えた粗利が、ほとんど営業利益に残っています

損益計算書を見ると、利益が5割増えた仕組みがはっきりします。売上総利益は55億8,000万円から65億8,300万円へ増えました。増えた額は10億2,700万円です。一方で販売費及び一般管理費は、1億3,100万円しか増えていません。

人気漫画6作品とコラボした広告を打った、と会社は書いています。それでも販管費の増え方は小さく、粗利の増加分のほとんどが営業利益に残りました。

教室も講師も、生徒が少し増えたくらいでは増やさずに済みます。同じ教室に生徒が増え、単価も上がったので、営業利益率が9.1%から12.6%に上がったわけです。ここまでは損益計算書の数字です。

売掛金の回収は、前年と同じ季節の動きです

営業キャッシュ・フローは34億900万円の収入で、前年同期より10億3,600万円増えました。このうち15億4,200万円は売上債権が減った分です。3月末に残っていた営業未収入金が、9月末には3分の1以下になっています。

ただ、前年同期も14億7,500万円減っていました。毎年春に回収が進む形で、今年だけの動きではありません。

この半年で、自己株式を17億2,700万円分取得し、配当に6億4,900万円を払いました。それでも手元の現金は、100億3,800万円あります。

会社はどう説明しているか

今春の合格実績が多くの難関校で過去最高を更新し、評判が上がったそうです。そこに漫画とのコラボ広告が加わって、問い合わせが前年を上回った、と会社は書いています。その結果、塾生数が計画を上回って伸び、夏期合宿と夏期集中特訓の参加者も前年を上回ったそうです。

生徒数が全学部で増えたことは、販売実績の表で確かめられます。説明はそのまま受け取ってよいと考えています。

ひとつだけ足りないのは、生徒あたりの売上が上がった理由です。合宿の参加者が増えた話はありますが、それだけで小学部の単価が半年で2万円上がるのかどうかは、短信からは分かりません。

ほかに、子会社の野田学園を2027年4月1日付で吸収合併すると決めたことが、後発事象の注記に載っています。医歯薬系の大学受験指導を強めるためだそうです。

夏を越えて半分、下期は減益の見込み

通期予想は10月26日に上方修正されています。修正の中身は別の発表に出ていて、私はそちらを読んでいません。修正後の予想に対する進捗率はこうなります。

項目上期実績通期予想進捗率下期に必要な額
売上高200億6,600万円409億円49.1%208億3,400万円
営業利益25億3,800万円47億7,000万円53.2%22億3,200万円
純利益15億7,000万円30億8,000万円51.0%15億1,000万円

半年でほぼ半分です。夏を越えた時点の数字としては、予想どおりの位置です。

引っかかったのは、前年の下期と並べたときです。

下期(10月〜3月)前年実績今年の会社予想
売上高約193億8,900万円208億3,400万円
営業利益約22億9,500万円22億3,200万円

約の付いた前年の数字は、通期予想の増減率から前期の通期を割り戻し、前年の上期を引いた私の計算です。

下期の売上は7.5%増やす前提なのに、営業利益は2.8%減る前提になっています。……売上が伸びて、利益だけ減るのか。

私はどう読んだか

この減益予想が何を意味するのか、2つの見方があると思います。下期に費用を積む予定があるのか、それとも単に控えめに見積もっているのか。

私は前者の見方をしています。理由は、下期の売上を前年より増やす前提にしているからです。生徒が減ると見込んでいるなら、売上の側が減るはずです。そうではなく、売上は伸ばして利益だけ減らしている以上、差は費用の側にあります。

短信には、処遇改善の継続、新しい教室の開校、既存校舎の移転と増床を進めると書かれています。投資キャッシュ・フローでは、差入保証金の支出が2億7,300万円で、前年の3,100万円から大きく増えました。教室を増やす準備は、もう始まっています。

それでも、会社は上期の結果をほぼ見たうえで、1週間前に予想を直しました。そのときに下期を減益と見込んだことは、心配性の私には軽くありません。何の費用なのかは、決算短信からは分かりません。上がるかは知りません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

【早稲アカ】決算短信 | IR・投資家情報
早稲アカの「決算短信」を掲載しています。

下期の営業利益を前年より低く見込んだ理由と、生徒あたりの売上が上がった理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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