運送会社の集まりから、通販の倉庫とオフィスの引っ越しへ
ヒガシホールディングスは、大阪の運送会社がいくつも集まってできた物流の会社です。トラックで荷物を運ぶだけでなく、荷物を預かって保管し、注文に合わせて出していく倉庫の仕事も多く手がけています。いま伸ばしているのは、大手の通販会社向けの倉庫です。
もう一つの柱は、会社の事務所の引っ越しです。机や棚を運び、パソコンなどの機器の販売や入れ替えまで請け負います。このほか、介護で使う福祉用具の貸し出しや、人材の派遣もしています。ネットで頼んだ荷物も、職場の移転で運ばれた机も、この会社の倉庫やトラックを通っていることがあります。
この決算で何が起きたか
10月23日に出た中間決算です。4月から9月までの半年で、売上も利益もそろって1割以上伸びました。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 300億4,600万円 | 267億9,900万円 | +12.1% |
| 営業利益 | 20億4,600万円 | 18億5,800万円 | +10.1% |
| 経常利益 | 22億2,800万円 | 19億2,900万円 | +15.5% |
| 純利益 | 13億8,000万円 | 12億2,300万円 | +12.8% |
通期の予想は、5月8日に出したものから変えていません。
利益が増えた半年に、営業で入ってきた現金が減った理由
短信の10ページ目、キャッシュ・フロー計算書まで来たところで引っかかりました。税引前の利益は前年より増えているのに、営業活動によるキャッシュ・フローは9億3,267万円から6億2,622万円へ減っています。
2023年に見た、利益は出ているのに現金が入ってこない会社を思い出しました。……ただ、中身は違う。
内訳を前年同期と並べると、こうなります。
| 営業活動によるキャッシュ・フローの主な項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 税金等調整前中間純利益 | 19億2,775万円 | 22億2,191万円 |
| 売上債権の増減額 | 6億450万円 | 10億5,217万円 |
| 仕入債務の増減額 | △10億1,075万円 | △14億1,322万円 |
| 未払消費税等の増減額 | 2億2,824万円 | △7億8,275万円 |
| 法人税等の支払額 | △7億2,071万円 | △10億2,030万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 9億3,267万円 | 6億2,622万円 |
売上債権は前年以上に回収が進み、現金を押し上げています。売上の代金は、きちんと入ってきています。現金を減らしたのは、払う側の項目です。
期首に残っていた仕入先への支払いと消費税を、この半年でまとめて済ませています。法人税も、前期の利益が大きかったぶん多く納めました。前年同期にも仕入債務は10億円減っていて、3月末に払いが残る形は前年も同じでした。消費税の未払いがここまで動いた理由は、決算短信には書かれていません。
減った30億円の行き先は、倉庫の設備でした
現金及び預金は、この半年で30億584万円減りました。いちばん大きい使い道は有形固定資産の取得で、31億330万円です。前年同期は3億362万円でしたから、10倍を超える規模です。
| 貸借対照表の科目 | 3月末 | 9月末 |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 91億4,011万円 | 61億3,427万円 |
| 建物及び構築物 | 54億5,887万円 | 60億7,199万円 |
| 機械装置及び運搬具 | 13億5,351万円 | 32億1,085万円 |
短信は、これを倉庫増床に伴う設備投資と説明しています。建物よりも、機械装置及び運搬具のほうが大きく増えました。床を広げただけでなく、中に入れる機械にお金を使った、と私は受け取りました。何の機械なのかは、決算短信には書かれていません。
減価償却費は、すでに5億7,745万円から7億3,878万円へ増えています。短期借入金を8億円増やし、支払利息も前年より膨らみました。投資の費用は先に出て、回収はこれからです。
運送は、売上ほど利益が伸びていません
事業ごとに並べると、伸び方にばらつきがあります。
| 事業 | 売上高 | 増減率 | セグメント利益 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 運送 | 152億9,019万円 | +11.0% | 18億7,933万円 | +2.5% |
| 倉庫 | 98億6,696万円 | +21.1% | 9億2,740万円 | +14.4% |
| 商品販売 | 26億2,521万円 | −2.9% | 1億5,830万円 | +3.5% |
| ウエルフェア | 6億6,619万円 | +8.6% | 1億2,635万円 | +24.4% |
| その他 | 15億9,801万円 | +2.2% | 3億2,467万円 | +47.7% |
倉庫は売上が2割増え、利益も1割以上伸びました。広げた設備のぶんが、そのまま売上に出ています。
気になるのは運送です。売上の半分を占める事業で、売上は1割増えたのに、利益はほぼ横ばいでした。売上の伸びは移転業務とIT関連の大型案件で説明されていますが、利益が伸びなかった理由は決算短信には書かれていません。
その他の利益が5割近く増えたのは、大手製鋼所グループ会社の工場移転に伴う業務を受注したからです。経常利益が営業利益より伸びたのも、営業外収益が倍以上に増えたためです。その中には保険解約返戻金7,193万円が入っています。どちらも、毎年続く種類の収入ではありません。
会社はどう説明しているか
会社は増収増益の理由として、大手EC会社向けの流山ロジスティクスセンターで増床部分が動き出したこと、既存センターの取扱量の増加、オフィスサービスの伸び、IT関連の大型案件の受注を挙げています。
倉庫の話は、そのまま受け取ります。理由は、設備への支出と倉庫事業の売上の伸びが、同じ方向を向いているからです。大型案件と工場移転のほうは、続くものとしては数えません。
先行きの心配として、会社は原油価格の高止まり、物価上昇による個人消費の低迷、人手不足を挙げています。燃料と運転手は、運送の利益に直接響く項目です。
上期は半分まで来て、下期は前年より少なく見込んでいます
上期の時点で、売上も各利益も通期予想のほぼ半分に届いています。
| 通期予想 | 上期実績 | 進捗率 | 下期に必要な額 | 前年の下期比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 590億円 | 300億4,600万円 | 約50.9% | 約289億5,400万円 | 約−7.1% |
| 営業利益 | 41億円 | 20億4,600万円 | 約49.9% | 約20億5,400万円 | 約−6.0% |
| 経常利益 | 42億5,000万円 | 22億2,800万円 | 約52.4% | 約20億2,200万円 | 約−9.0% |
| 純利益 | 27億300万円 | 13億8,000万円 | 約51.1% | 約13億2,300万円 | 約−4.0% |
約の付いた数字は私の引き算と割り算です。前年の下期は、前期の通期実績から前年同期の上期を引いたものです。前期の通期実績は、表紙にある通期予想の増減率から逆算しました。
上期を1割以上伸ばした会社が、下期は前年より減ると見込んでいることになります。その理由は、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
私はどう読んだか
現金が30億円減った半年ですが、私は前向きの投資の半年だと考えています。理由は、減った現金の大半が倉庫の設備に変わっているからです。営業キャッシュ・フローの減りも、期首に残っていた支払いと税金で説明が付きます。
心配性なので、気になる点も残しておきます。運送の利益が伸びていないこと。増えた減価償却費と利息が、この先の費用として続くこと。そして会社自身が、下期を減ると見込んでいることです。
上がるかは知りません。新しい設備が営業で入る現金に変わっていくかは、次の決算で確かめます。
出典:決算短信(会社発表)
下期を前年より少なく見込んでいる理由と、増えた機械装置が何なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント