美容師が独立するときに要るものを、道具から店まで揃えている会社です
美容室の椅子やシャンプー台、業務用のカラー剤やシャンプー。そういうプロ向けの道具と消耗品を、ネット通販と各地のショールームで売っている会社です。買うのは美容室やエステ、ネイルサロンを営む人たちで、なかでも多いのは、独立して自分の店を持とうとする美容師です。
道具だけではありません。子会社が店舗の設計と工事を請け負い、開業の相談、居抜き物件の仲介、保険、さらには会社が借りた物件を開業者に貸すサブリースまで手がけています。
営業利益はほぼ倍ですが、比べる相手が落ち込んだ四半期です
9月9日に出た、2027年4月期の第1四半期決算です。5月から7月の3か月分になります。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 102億5,000万円 | 90億1,200万円 | +13.7% |
| 営業利益 | 4億7,500万円 | 2億3,900万円 | +98.4% |
| 経常利益 | 4億5,600万円 | 2億4,200万円 | +88.2% |
| 純利益 | 2億7,300万円 | 1億6,200万円 | +67.8% |
表紙の業績表には前年の増減率も並んでいて、前年の第1四半期は営業利益が△23.9%でした。落ちた翌年の倍増です。戻っただけなのか、それ以上なのかは、この表だけでは分かりません。
2年前の第1四半期と比べても、5割上にあります
そこで2年前を割り戻してみました。前年の営業利益2億3,900万円は、その前の年から23.9%減った数字です。0.761で割ると、2年前の第1四半期はおよそ3億1,400万円になります。今回の4億7,500万円は、そこから5割ほど上です。落ちる前の水準に戻ったのではなく、超えています。
倍増の中身も損益計算書で追えます。売上総利益は3億9,600万円増え、販売費及び一般管理費は1億6,000万円しか増えていません。差の2億3,600万円が、営業利益の増加額とほぼ一致します。売上が1割強伸びたのに、販管費の伸びは8%ほどで止まっています。8%は私の割り算です。
引っかかったのは、ソリューション事業の伸びの中身です
ここまでなら、良い決算で終わります。引っかかったのは、セグメント情報の細かい行でした。
会社は事業を3つに分けています。道具を売る物販、店舗の設計工事、開業支援やサブリースをまとめたソリューションです。3つ目の売上が4分の1増えていて、物販の1割強より速い伸びです。何が伸びたのかを追うと、収益の分解の行が2つに割れていました。
| ソリューション事業の売上 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 顧客との契約から生じる収益 | 1億8,370万円 | 1億6,766万円 |
| その他の収益(賃貸収入等) | 4億8,822万円 | 6億7,223万円 |
| 外部顧客への売上高 | 6億7,193万円 | 8億3,989万円 |
賃貸収入等とされる「その他の収益」の増加額1億8,400万円が、事業全体の増加額1億6,800万円を上回っています。つまり、開業支援や物件仲介、保険といった契約から生じる収益のほうは、1,600万円ほど減っていることになります。ここまではセグメント情報の数字です。
注記には、その他の収益はリース取引の会計基準に基づく賃貸収入等だとあります。サブリースの家賃だと受け取りました。美容師に道具を売る会社の中で、いちばん速く伸びている行が、店を貸す商売の家賃です。
会社自身が、店を出す開業者は減っていると書いています
4ページ目の業界の説明と重ねると筋が通ります。独立志向は旺盛だが、実店舗を出店する開業者は減り、シェアサロンや業務委託で働くフリーランスが増えている。会社側はそう自分の言葉で書いています。
実際、店舗設計事業は売上が2.6%減り、1,000万円ほどの損失になりました。案件の数は取れたが、単価の高い医療・クリニック案件の比率が下がった、というのが説明です。数が取れて損失が出るのは、値段を下げて受けている形にも映ります。……いや、これは私の勘ぐりか。
店を建てる人が減っても、借りて始める人はいます。売り切りから貸す側へ、商売の芯が少しずつ動いている、と私は読みました。貸す側にまわった分だけ空室や家賃の取りはぐれを抱えるのかどうかは、短信では判断が付きません。
特別損失に、短信では中身の分からない引当金が乗っています
もう一つ、小さいが気になる行があります。特別損失に、情報セキュリティ対策引当金の繰入額1,900万円が計上されています。貸借対照表の残高は前期末の1,000万円から2,900万円に増えました。前期に積み、今期さらに上乗せした形です。
何が起きたのか、対策とは何をすることなのかは、決算短信には書かれていません。表紙には決算補足説明資料が「有」となっていますが、私はまだ読んでいません。利益への影響は小さいのですが、名前が名前なので、頭の片隅に残ります。
キャッシュ・フロー計算書がない四半期なので、貸借対照表で追いました
現金及び預金は35億3,600万円から32億8,500万円へ減りました。減った額は2億5,000万円ほどです。貸借対照表から追う限り、借入の返済が2億円ほど、配当が1億円です。この2つだけで、減った額より多く出ています。利益が現金にならずに消えている気配はありません。ここは心配していません。
会社はどう説明しているか
利益が倍になった理由を、会社は物流費で説明しています。新しい物流拠点の柏FCが本格稼働し、新旧の拠点を並行して動かしていた期間が終わったためです。一時的に増えていた物流費を適正な水準まで抑えられた、と4ページ目にあります。
この説明はそのまま受け取っています。理由は、販管費の伸びが売上の伸びの半分ほどで止まっていて、数字の向きが合っているからです。ただ、並行稼働が前年のいつ終わったのかは短信に書かれておらず、物流費が下がった効果があと何四半期続くのかは分かりません。
通期予想は、倍増が続かない置き方になっています
通期予想は6月9日に出したものから変えていません。売上は4分の1弱、営業利益は2割強まで来ています。3か月分の目安を4分の1とすると、どちらも少し手前です。
第2四半期累計の予想も出ているので、8月から10月をどう見込んでいるかが分かります。上期の営業利益予想は8億7,500万円です。そこから第1四半期の4億7,500万円を引くと、4億円になります。
前年の上期は、8億7,500万円を上期予想の増減率+62.3%で割り戻して出します。1.623で割ると、およそ5億3,900万円でした。そこから前年の第1四半期2億3,900万円を引くと、前年の8月から10月はおよそ3億円だったことになります。
| 営業利益 | 第1四半期 | 8月〜10月 | 上期累計 |
|---|---|---|---|
| 前年 実績 | 2億3,900万円 | 約3億円 | 約5億3,900万円 |
| 今年 会社予想 | 4億7,500万円 | 4億円 | 8億7,500万円 |
約の付いた数字は、表紙の上期予想の増減率+62.3%から私が割り戻したものです。
前年に3億円だった3か月を、今年は4億円と置いています。3割増で、第1四半期の倍増からははっきり減速します。残り9か月に要る営業利益は17億4,200万円で、前年の同じ期間より3割半ほど多い額です。物流費の効果が丸ごと乗り続けるとは、会社側も見込んでいません。
私はどう読んだか
戻っただけなのか、稼ぐ力が付いたのか。私は後者の見方をしています。理由は、2年前の第1四半期と比べても営業利益が5割上にあり、増えた場所が営業外や特別利益ではなく、粗利と販管費という本業の中だからです。
ただ、頭に残ったのは利益ではなく、会社が自分で書いた「実店舗を出店する開業者は減っている」の一行です。この商売は、美容師が店を持つところから始まります。その入口が細り、代わりに物件を借りて貸す行が伸びています。伸びていること自体より、伸びている場所が動いていることのほうが、私には大きく映りました。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
その他の収益の増加が、貸している店舗の数が増えたためなのか、1店あたりの家賃が上がったためなのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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