はじめに
アルインコの本業は、工事現場の足場です。ビルや橋の工事で、職人さんが高い所で作業するために組む鉄の通路と柵のことです。足場は工事が終われば外して次の現場へ運びます。そのため建設会社は、自分で持つより仮設機材のレンタル会社から借りることが多いものです。この会社は足場を販売し、自分でも貸し出しています。
ほかに、家庭用の脚立やランニングマシンのような運動器具、警備や消防の現場で使う業務用の無線機、電子部品を載せる基板も作っています。お客は建設会社から家庭まで幅があり、事業ごとの調子もばらばらです。決算は3月20日締めで、今回の中間期は9月20日までの半年です。
営業利益は1割増え、経常利益は減りました
2026年10月20日に出た中間決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 330億2,400万円 | 317億4,800万円 | +4.0% |
| 営業利益 | 14億700万円 | 12億5,600万円 | +12.0% |
| 経常利益 | 13億1,700万円 | 14億2,100万円 | △7.4% |
| 純利益 | 8億9,700万円 | 9億1,800万円 | △2.4% |
売上と営業利益は増えて、経常利益から下が減っています。本業の外で、何かが利益を削ったことになります。
足場の伸びには、急いだ調達が入っています
事業ごとの表を見ます。
| 事業 | 売上高(今回) | 前年同期比 | 利益(今回) | 利益(前年同期) |
|---|---|---|---|---|
| 建設機材 | 143億5,200万円 | +10.8% | 15億6,900万円 | 10億981万円 |
| レンタル | 93億1,300万円 | +5.5% | 6億9,600万円 | 5億7,761万円 |
| 住宅機器 | 68億700万円 | △6.3% | △4億1,500万円 | △7,981万円 |
| 電子機器 | 25億5,000万円 | △5.6% | △3億5,800万円 | △2億3,918万円 |
全社の伸びは、建設機材とレンタルの2つで作られています。住宅機器と電子機器はどちらも赤字で、前年より赤字が広がりました。建設機材の利益は半分以上増えていて、全社の営業利益の1割増を上回ります。
なぜ伸びたのか。短信の4ページ目に、会社自身の説明があります。仮設機材のレンタル会社の一部で「中東情勢の影響による供給制約への懸念から機材の調達を急ぐ動きが生じた」。引っかかったのはここです。足りなくなる前に確保しておく注文は、先の分を今に持ってきた注文でもあります。
同じ表の注記に、もう一つ気になる数字がありました。建設機材の売上のうち、グループ内の別の事業へ回した分です。前年同期の4億1,772万円から、今回は12億9,473万円へ増えています。……3倍か。
グループ内の売上は連結では消えるので、全社の売上高には入っていません。どの事業が引き取ったのかは決算短信に書かれていません。ただ、レンタル事業の説明に「積極的なレンタル資産への投資を継続」とあります。自社のレンタル部門が、自社の足場を多めに仕入れたのだと私は受け取りました。
経常利益を削ったのは為替でした
営業利益から経常利益までの間を、損益計算書で追いました。
| 営業外の項目 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 為替差益・差損 | 4,647万円の差益 | 2億841万円の差損 |
| 支払利息 | 1億517万円 | 1億6,178万円 |
| 作業屑等売却益 | 9,270万円 | 1億7,037万円 |
いちばん大きいのは為替です。前年は4,647万円の差益だったものが、今回は2億841万円の差損になりました。短信は「外貨建て資産の評価による為替差損」と説明しています。本業の外の、帳簿の上での損です。
支払利息も5割ほど増えました。これは次の節の借入とつながる話です。反対に、作業屑の売却益はほぼ倍になっています。鉄くずが前年より高く引き取られたのか、量が多く出たのか、理由は短信に書かれていません。
純利益の前年割れが小さく済んだのは、特別利益に投資有価証券の売却益2億1,017万円があったからです。前年は3,598万円でした。持っていた有価証券を手放した分が、為替の穴をほぼ埋めた形になります。
この短信には、キャッシュ・フロー計算書がありません
私はいつも、添付資料のキャッシュ・フロー計算書まで行きます。今回は目次を見ると、損益計算書と包括利益計算書のあとは注記で終わっていて、キャッシュ・フロー計算書が見当たりませんでした。表紙に半期報告書の提出予定日が11月2日とあるので、そちらに載るのかもしれませんが、まだ読めていません。
仕方がないので、貸借対照表を前期末と並べました。
| 前期末 | 今回 | |
|---|---|---|
| 受取手形及び売掛金 | 116億1,057万円 | 133億6,478万円 |
| 電子記録債権 | 36億9,368万円 | 43億5,826万円 |
| 現金及び預金 | 66億2,512万円 | 66億1,442万円 |
| 借入金の合計 | 約273億円 | 約309億円 |
約の付いた借入金の合計は、短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・長期借入金の3つを私が足したものです。
売上の代金でまだ受け取っていないものが、2つ合わせて約24億円増えました。借入は約36億円増えています。それでも、現金はほとんど同じ額のままです。
半年の間に、自己株式の取得に5億6,451万円、配当に4億3,900万円を払っています。借りたお金の多くは、代金をまだ受け取っていない分と、こうした支払いに回ったと私は考えています。売上が伸びれば売掛金も増えるので、ここだけで悪いとは思いません。ただ、営業でどれだけ現金が入ったのかは、この短信からは分かりません。
会社の説明は、値上げと前倒しの両方を挙げています
建設機材が伸びた理由として、会社は調達の前倒しのほかに3つを書いています。新型足場「アルバトロス」を使うユーザーが増えたこと。子会社の双福鋼器で、物流施設向けの大口受注が期初から続いたこと。原材料の値上がりに合わせて販売価格を改定したことです。レンタルも「レンタル単価の改定(値上げ)」を利益の理由に挙げています。
値上げは一度通れば残ります。こちらはそのまま受け取ります。一方で前倒しの調達は、先の注文を今に持ってきた分なので、下期にも同じ勢いが続くとは考えていません。
住宅機器の説明は少し分かりにくいです。玄米保冷庫や高所作業台は「期初から好調」とありながら、事業全体の売上は6%余り減っています。減った分は運動器具の不振だと考えられますが、品目ごとの金額は短信に出ていません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は、5月1日に出したものから変えていません。
| 通期予想 | 上期の実績 | 進捗 | 残り6か月に必要な額 | 前年の下期比 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 652億円 | 330億2,400万円 | 50.7% | 321億7,600万円 | +4.2% |
| 営業利益 | 30億円 | 14億700万円 | 46.9% | 15億9,300万円 | +66.6% |
| 経常利益 | 32億円 | 13億1,700万円 | 41.2% | 18億8,300万円 | +38.9% |
進捗は上期の実績を表紙の通期予想で割り、残りの額は通期予想から上期の実績を引いて、私が出したものです。前年の下期比は、残りの額を前年の下期の実績と比べた伸び率です。
売上はちょうど半分まで来ていて、残りも前年並みの伸びで足ります。重いのは利益のほうです。下期の営業利益は、前年の下期より3分の2多く稼ぐ計算です。経常利益も4割近い上積みが要ります。
会社がこの数字で届くと考える根拠は、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ開いていません。
私はどう読んだか
建設機材の利益の伸びには、長く残るものと一度きりのものが混ざっています。値上げとアルバトロスの広がりは残る側です。レンタル会社の急いだ調達と、グループ内への売上の増え方は、一度きりの側だと考えています。
私は後者を重く受け止めています。理由は、会社自身が「急ぐ動き」と書いていて、急いだ注文はその次の期の注文を減らすからです。下期に営業利益を3分の2増やす予想は、上期の勢いが続く前提に立っているように思えます。為替が戻れば経常利益は楽になりますが、それは本業の話ではありません。
心配性なので、次の決算では建設機材の売上と、グループ内向けの売上の2つを先に確かめます。
出典:決算短信(会社発表)

営業活動でどれだけ現金が入ったのかは、この短信にキャッシュ・フロー計算書が載っていないため、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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