ケーズホールディングス(8282)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置きに反動を読みました

ケーズホールディングス(8282)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置きに反動を読みました 決算を読む

ケーズデンキの店を運営している会社です。北関東で始まって、いまは全国に店があります。売っているのはエアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、スマートフォン。引っ越しや買い替えで大きな家電を買うとき、郊外の広い駐車場のある店に車で行く、あの店です。

この会社らしいのは、ポイントを付けずにその場で現金値引きをすることと、長い無料保証を付けることです。短信の説明文にも「がんばらない経営」という言葉が出てきます。無理な売り方をしない、という意味で使っているようです。

今年は、この会社にとって少し特別な年です。来年の春にエアコンの省エネ基準が引き上げられ、値段が上がるのではないかという話が広がっています。買い替えるなら今のうちに、と考えるお客さんが店に来ている。その始まりの季節が、この決算です。

この決算で何が起きたか

8月6日に出た第1四半期決算です。4月から6月の3か月で、売上が1割増え、営業利益は2倍を超えました。

今回前年同期増減率
売上高1,999億900万円1,777億8,700万円+12.4%
営業利益124億8,100万円52億7,000万円+136.8%
経常利益133億9,600万円59億5,500万円+125.0%
純利益91億6,100万円45億6,500万円+100.7%

営業利益率は、前年同期の3.0%から6.2%へ。家電量販店で利益率が3か月で倍になるのは、ふつうのことではありません。何が起きたのかは、この表には書いてありません。

増えた売上の半分以上が、エアコンでした

短信の最後のページに、品種別の売上があります。ここを開くと、増えた分がどこから来たのかがすぐに分かります。

品種今回前年同期前期比
エアコン445億1,000万円324億8,400万円137.0%
携帯電話240億1,200万円210億400万円114.3%
冷蔵庫165億6,000万円164億円101.0%
パソコン・情報機器100億5,900万円107億9,600万円93.2%
その他(保証サービス等を含む)187億100万円143億4,500万円130.4%

エアコンだけで120億2,600万円増えています。445億1,000万円から324億8,400万円を引いた数字です。会社全体の売上の増加は221億2,200万円です。1,999億900万円から1,777億8,700万円を引いた数字で、半分以上がエアコンです。冷蔵庫や洗濯機は、ほぼ前年並みでした。

会社は4ページ目で、この伸びを「エアコン2027年問題」の駆け込み需要だと書いています。基準が変わる前に買っておこう、というお客さんの動きが、この3か月の売上の中心にあったわけです。

売上が増えた分だけ、利益が増えました

営業利益が2倍を超えた理由は、損益計算書の販管費の欄にありました。売上が221億円増えました。売上総利益は504億9,100万円から592億2,800万円へ。増えたのは87億3,700万円です。一方の販売費及び一般管理費は、452億2,000万円から467億4,600万円へ。増えたのは15億2,600万円だけです。

内訳を見ると、地代家賃が80億6,200万円で、短信の桁では前年とぴったり同じです。減価償却費と水道光熱費は、むしろ減っています。同じ店で、同じ家賃で、エアコンをたくさん売った。……いや、これは強い。売上が伸びたときに費用がついてこなかったのが、利益率が倍になった正体です。

ここまでは損益計算書の数字です。裏返せば、駆け込みが終わって売上が戻ったときにも、家賃と人件費は同じだけかかります。この利益率が続くとは、私は考えていません。

現金は増えましたが、前受けも増えています

キャッシュ・フロー計算書は8ページ目にあります。営業活動による現金の収入は194億3,500万円で、前年同期は25億3,400万円でした。ただ、この数字には運転資金の動きが大きく入っています。

営業キャッシュ・フローの中身今回前年同期
税金等調整前四半期純利益133億8,100万円64億9,400万円
売上債権の減少102億3,300万円81億5,700万円
棚卸資産の増加△128億5,200万円△111億3,500万円
仕入債務の増加87億2,600万円51億8,300万円
契約負債の増減40億9,500万円△4億800万円

在庫が128億円増えていますが、前年の同じ時期にも111億円増えています。夏に向けて商品を積む、毎年の形と受け取っています。売掛金の減少も、前年と同じ向きです。

引っかかったのは契約負債です。前年の4月から6月は4億円ほど減っていたのに、今年は40億9,500万円増えました。貸借対照表では316億9,000万円から357億8,500万円になっています。

何の前受けが増えたのかは、短信には書かれていません。売れたけれど取り付けが済んでいないエアコンの代金が、6月末にまとまって残っていた、と私は読みました。

もう一つ、借入の話を短く。3月末にあった短期借入金25億円は、この3か月で返して残高がゼロになっています。現金及び預金は286億7,300万円。配当37億1,900万円を払ったうえでこの形なので、お金の面で心配していることはありません。

会社はどう説明しているか

短信の説明文は、はっきりしています。「エアコン2027年問題の駆け込み需要が全体を牽引し、好調に推移」。増収増益の理由を、会社側は短信の中で自分の実力とは書いていません。一時的な需要だと、自分で言っています。

この説明は、そのまま受け取っています。理由は、品種別の表がそのとおりの数字になっているからです。留保を付けるとすれば一点だけで、駆け込みが「いつまで」続くのかは、短信のどこにも見当たりませんでした。来年の春まで続くのか、夏の前に一巡するのか。そこまでは書いてありません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

5月8日に出した予想を、会社は通期も上期も据え置きました。営業利益の通期予想は305億円で、第1四半期だけで4割まで来ています。目安は4分の1です。第1四半期が124億8,100万円と分かったあとも、変えていません。

据え置きの意味は、上期予想と並べるとはっきりします。上期の営業利益予想は175億円です。そこから第1四半期の124億8,100万円を引くと、7月から9月の3か月は50億1,900万円という置き方になります。

前年の同じ3か月と比べてみます。表紙には上期予想の増減率が+34.3%と載っています。175億円を1.343で割り戻すと、前年の上期の営業利益はおよそ130億3,000万円です。前年の第1四半期は52億7,000万円でしたから、前年の7月から9月はおよそ77億6,000万円の黒字だったことになります。

営業利益第1四半期7月〜9月上期累計
前年 実績52億7,000万円約77億6,000万円約130億3,000万円
今年 会社予想124億8,100万円50億1,900万円175億円

約の付いた数字は、表紙の増減率+34.3%から私が割り戻したものです。

前年に77億円稼いだ3か月を、今年は50億円と置いています。3割5分ほど減る数字です。7月から9月は、エアコンがいちばん売れる季節です。その季節を、前年より弱いと見込んでいることになります。残り9か月で見ても同じです。通期予想の305億円から第1四半期の124億8,100万円を引きます。残り9か月に必要な営業利益は180億1,900万円で、前年の同じ9か月より1割6分ほど少ない計算です。

私はどう読んだか

見方は2つあります。5月に出した予想が古いままで、上方修正を後に回しているのか。それとも、駆け込みの反動を本気で見込んでいて、この据え置きがその表れなのか。

私は後者だと考えています。理由は、駆け込みだと自分で書いたうえで、夏の3か月を減益と置いているからです。7月と8月にエアコンを買うはずだった人の一部が、すでに4月から6月に買ってしまった。それを店で毎日見ているのだ、と考えました。

心配性なので、頭に残っているのは営業利益率6.2%のほうです。家賃も人件費も動かない商売で、売上だけが戻ったら、利益率も戻ります。それが11月の中間決算でどう出るかを、次に確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260805509965.pdf

パソコン・情報機器の売上が前年の93.2%にとどまった理由は、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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