はじめに
テクノアルファは、海外の装置メーカーの機械を日本の工場や研究所に届ける商社です。軸は半導体です。チップが出来上がったあと、それが正しく動くかを確かめる検査装置を半導体の工場に納めています。海外製の装置に自社で組んだ装置を組み合わせて、工場の自動化もまとめて請け負っています。
変わった柱がもう一つあります。船の甲板に載せるクレーンのような、特殊な機械です。売ったあとの手入れまで引き受けていて、2026年4月には石垣島に整備の拠点を開いています。
ほかに、研究所で成分を分ける分析機器の販売と、試験や計測のソフトを作る事業があります。どれも数が出る商品ではありません。1件ずつ、大きな機械を納める商売です。
売上は動かず、利益は3分の1になりました
2026年9月30日に出た第3四半期決算です。累計9か月の数字を前年同期と並べます。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 30億3,200万円 | 30億3,000万円 | +0.1% |
| 営業利益 | 1億4,700万円 | 4億6,600万円 | △68.3% |
| 経常利益 | 1億5,800万円 | 4億7,900万円 | △66.9% |
| 純利益 | 1億500万円 | 3億3,200万円 | △68.3% |
売上はほぼ同じなのに、どの段の利益も3分の1ほどに減っています。費用が膨らんだのか、儲けの薄いものを売ったのか。業績の表だけでは分かりません。
利益を落としたのは、船の機械の事業ひとつでした
損益計算書を開くと、販売費及び一般管理費は3,101万円増えただけでした。大きく減ったのは売上総利益で、11億1,608万円から8億2,857万円へ下がっています。減った額は2億8,750万円です。売上が同じで粗利がこれだけ減るなら、売ったものの中身が変わったはずです。
そこで事業ごとの表を開きました。
| 事業 | 売上 今回 | 売上 前年同期 | 利益 今回 | 利益 前年同期 |
|---|---|---|---|---|
| エレクトロニクス | 19億4,253万円 | 13億8,786万円 | 1億6,204万円 | 9,324万円 |
| マリン・環境機器 | 2億9,528万円 | 9億6,994万円 | 2,828万円 | 4億4,213万円 |
| SI | 7億1,000万円 | 5億6,775万円 | 1億935万円 | 6,438万円 |
| サイエンス | 8,491万円 | 1億464万円 | △2,302万円 | △1,244万円 |
売上は外部のお客への売上です。出どころは短信の9〜10ページ目のセグメント情報です。
前年のマリン・環境機器は、9億6,994万円を売って4億4,213万円を残していました。売上の半分近くが利益です。今年はその利益が2,828万円まで減り、差は4億1,385万円になります。
反対側の数字も足してみます。エレクトロニクスの増益は6,880万円、工場の自動化を請け負うSIの増益は4,496万円です。合わせると1億1,376万円になります。船の事業で消えた4億1,385万円は、ほかの事業の伸びの3倍以上あります。
エレクトロニクスは4割増収でも、利益は売上の1割に届きません。薄い利益の商品を多く売り、厚い利益の商品が減りました。粗利が減った理由はこれで説明がつきます。
伸びた事業の受注残が、2割減っています
ここで引っかかりました。エレクトロニクスの4割増収は、新しい注文が増えたからなのか。14ページ目の受注状況を見ると、違う絵が出てきます。
| 事業 | 受注高 | 前年同期比 | 受注残高 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| エレクトロニクス | 23億6,600万円 | △16.8% | 17億4,840万円 | △21.1% |
| マリン・環境機器 | 1億8,067万円 | △30.1% | 3億1,761万円 | △35.8% |
| SI | 9億7,853万円 | +101.1% | 4億9,292万円 | +161.2% |
| サイエンス | 2億380万円 | +47.4% | 1億2,840万円 | +192.2% |
| 合計 | 37億2,900万円 | +0.0% | 26億8,733万円 | △8.7% |
エレクトロニクスは、新しい注文が2割近く減り、受注残は2割減っています。積んであった注文を納めて売上にした、という形です。
船の事業の受注残は3億1,761万円です。前年の9か月で9億円以上を売った事業にしては少なく、次の大型案件はまだ残高に入っていないように見えます。
受注残が倍以上になったのは、SIとサイエンスです。ただ、2つ合わせても6億円ほどで、エレクトロニクスの受注の減り方を埋める大きさではありません。
この短信には、キャッシュ・フロー計算書がありません
13ページ目には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。表紙には、決算補足説明資料も説明会も「無」と書いてあります。この決算について読める書類は、この短信だけです。
仕方がないので、貸借対照表の動きから現金の流れを追いました。
| 科目 | 前期末(2025年11月末) | 今回(2026年8月末) |
|---|---|---|
| 受取手形、売掛金及び契約資産 | 10億6,256万円 | 5億7,637万円 |
| 商品 | 4億9,636万円 | 7億4,628万円 |
| 仕掛品 | 1億8,748万円 | 2億8,462万円 |
| 買掛金 | 1億1,130万円 | 2億6,490万円 |
| 未払法人税等 | 1億9,173万円 | 2,559万円 |
| 現金及び預金 | 7億2,511万円 | 7億1,058万円 |
売掛金などは、4億8,619万円減っています。前期末に納めた分の代金が入ったのでしょう。一方で、商品と仕掛品は合わせて3億4,706万円増えています。
回収したお金は、次に納める機械の仕入れと前期分の税金の支払いに回った、と私は読みました。現金がほぼ横ばいなのは、そのためです。受注残が減っているのに在庫が積み上がっている。……順番が逆じゃないか。
ただ、この会社の在庫は、決まった納め先がある機械であることが多いはずです。検収前の機械が倉庫に置いてあるだけなら、心配は要りません。どの注文に紐づく在庫なのかは、短信には書かれていません。
会社はどう説明しているか
4ページ目の説明文は、事業ごとに理由を書いています。エレクトロニクスは「順調に案件の検収が進んで」いる。船の事業は、前年に大型案件があった反動で、受注から納めるまでが長いため、以前の注文を予定どおり納めている、という説明です。
船の事業の説明は、そのまま受け取ります。前年の利益の大きさと、今年の受注残の薄さを並べると、書いてあることと数字が合っています。
留保を付けたいのはエレクトロニクスの側です。決算短信の4ページ目の説明文には、受注高と受注残が2割前後減ったことへの言及がありません。売上が伸びた話だけが書かれています。
通期予想は、出していません
表紙の3番には、2026年11月期の業績予想は「合理的な算定が困難なため、開示しておりません」とあります。5ページ目の理由は、エレクトロニクスと船の事業の案件が大きく、納める時期で業績が大きく振れるから、というものです。
ですから、どこまで来たかを測る物差しがありません。会社が示したのは、配当予想の35円だけです。前期と同じ額で、修正はありません。
残り3か月に何が要るかも、推測で埋めることはしません。言えるのは、通期の数字が、受注残26億8,733万円のうちこの3か月でどれだけ納めるかで決まる、ということまでです。
私はどう読んだか
減益の中身は、船の大型案件の反動だと考えています。理由は、船の事業だけで消えた4億1,385万円が、会社全体の減益額より大きいからです。会社全体の営業利益は、4億6,600万円から1億4,700万円に減りました。本業が崩れたわけではありません。
それでも、心配性なので次の期のほうが気になります。エレクトロニクスは受注残を使って伸び、船は次の山が残高に見えません。今の増収は、前の期の注文を納めた結果です。
自己資本比率は71.8%あり、借入は短期の3億円だけです。すぐに困る会社ではありません。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
営業外費用の損害賠償金556万円と、新しく積まれた受注損失引当金291万円が、どの取引から出たものかは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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