はじめに
日本国土開発は、建物と土木の両方を請け負う建設会社です。もともとは、重機で大量の土を動かす工事を得意にしてきました。山を削って宅地や工業団地の土地を作る仕事や、道路や堤防の土台を作る仕事です。発注するのは国や自治体で、工場や住宅地を開発する民間の会社も施主になります。
いまの売上の中心は建物のほうです。マンション、オフィス、倉庫などを、不動産会社や事業会社から請け負って建てています。太陽光発電所を持って電気を売る事業と、不動産の開発も手がけています。
ゼネコンの売上は、その期に工事がどれだけ進んだかで決まります。そのため、来年以降を考えるときは、受注の表と、手元に残っている工事の表を見ることになります。
粗利は増えたのに、営業利益は前年並みでした
2026年10月15日に出た、第1四半期(6月から8月)の決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 320億5,600万円 | 345億1,500万円 | △7.1% |
| 営業利益 | 19億4,200万円 | 19億4,700万円 | △0.2% |
| 経常利益 | 19億5,400万円 | 19億7,100万円 | △0.8% |
| 純利益 | 15億8,700万円 | 13億200万円 | +21.9% |
売上は1割近く減り、営業利益と経常利益は横ばいです。純利益だけが2割増えています。この形を見て、損益計算書の下のほうに何かあると考えました。
純利益の増加は、本業の外から来ています
まず本業の部分です。売上が減ったのに、粗利は増えています。
| 今回 | 前年同期 | |
|---|---|---|
| 完成工事総利益 | 36億6,600万円 | 32億8,000万円 |
| 売上総利益合計 | 44億1,200万円 | 40億8,300万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 24億6,900万円 | 21億3,600万円 |
増えた粗利を、増えた販管費がほぼそのまま打ち消しています。営業利益が横ばいになった理由はこれです。販管費が何で増えたのかは、決算短信には書かれていません。
純利益を押し上げたのは、営業利益より下の項目です。特別利益に、固定資産の売却益1億4,300万円が入っています。補助金収入4億6,900万円も特別利益に入っていますが、同じ額の固定資産圧縮損が特別損失に計上されていて、差し引きはゼロです。
もう一つは税金です。法人税等の合計が、前年の6億5,800万円から5億600万円に減りました。この売却益と、税金が前年より減った分を足すと、純利益の増え方とほぼ同じになります。ここまでは損益計算書の数字です。
建物の受注は3倍、土木の受注は4割減
この決算でいちばん気になったのは、補足情報の受注の表です。単体の数字ですが、事業によって差がかなりあります。
| 受注高(単体) | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 建築・国内民間 | 260億3,000万円 | 84億5,500万円 | +207.9% |
| 建築・海外 | △1億7,100万円 | 72億7,800万円 | △102.4% |
| 土木・合計 | 26億6,200万円 | 43億9,800万円 | △39.5% |
| 受注高・合計 | 294億8,800万円 | 226億5,200万円 | +30.2% |
全体の受注は3割増えています。ただ、増えたのは建築の国内民間で、前年の3倍になりました。建築の海外はマイナスで載っています。契約の減額か取り消しがあったはずですが、それが何なのかは決算短信には書かれていません。
土木の受注は4割減りました。会社は今期の土木の受注予想を400億円としていて、前期の実績から倍以上に増やす計画です。第1四半期の26億6,200万円は、その1割にも届いていません。……いや、最初の3か月だけで通期と比べるのは、少し酷か。
手元に残っている工事も、土木だけが減っています。土木の繰越高は601億7,400万円です。前年同期は720億7,300万円だったので、16.5%減りました。土木事業のセグメント利益も、前年の8,000万円から2,500万円になっています。
キャッシュ・フロー計算書は、この四半期は作られていません
いつもは添付資料をめくってキャッシュ・フロー計算書を確かめますが、この短信には「作成しておりません」とあります。第1四半期は省略が認められているので、珍しいことではありません。
代わりに貸借対照表を見ました。工事代金の未収分(受取手形・完成工事未収入金等)は、5月末の564億9,600万円から471億5,600万円へ減りました。現金預金は199億1,900万円から223億1,700万円に増えています。期末にたまっていた代金が回収された動きです。気になるところはありません。
会社はどう説明しているか
建築事業の利益が増えた理由について、会社は「複数現場での採算改善」と書いています。土木事業は、連結子会社の収益が伸び悩む一方で、親会社の採算は改善したという説明です。粗利の数字とは食い違いません。ただ、どの現場で何が改善したのかまでは短信に書かれていないので、この説明はそのまま受け取るしかありません。
注記には、2024年9月26日に広島市西区の下水道工事で起きた道路陥没事故の件が、今回も載っています。業績への影響は「現時点では合理的に見積もることは困難」のままです。共同企業体の一員として受けた工事で、土木の数字に関わる話です。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は7月に出したものから変えていません。
| 通期予想 | 進捗率 | 残り9か月に必要な額 | 残り9か月の前年比 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,370億円 | 約23.4% | 約1,049億4,400万円 | 約+4.2% |
| 営業利益 | 63億円 | 約30.8% | 約43億5,800万円 | 約△16.3% |
| 経常利益 | 57億円 | 約34.3% | 約37億4,600万円 | 約△18.5% |
| 純利益 | 40億円 | 約39.7% | 約24億1,300万円 | 約△41.8% |
約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を引いて私が出したものです。
売上は4分の1に少し届かない進み具合で、利益は3割を超えています。残り9か月の営業利益は、前年の同じ時期より16%ほど少なくてよい計算です。売上は残りの期間で4%増やす予定なのに、利益は減らす。この予想は控えめに見積もられていると考えています。
私はどう読んだか
私は、建築の採算改善は本物で、通期予想は慎重に置かれている、という見方をしています。理由は、増えた粗利が建物の工事代金の中から出ているからです。資産の売却益や税金の減少とは性質が違い、受注も同じ建築で大きく増えています。
一方で、純利益の2割増は、今後も続くものとしては受け取っていません。気になっているのは土木のほうです。受注が少なく、手元の工事も減り、事故の影響もまだ見積もれていません。会社が利益予想を据え置いた理由が、この3つのどれかにあるのかどうかは分かりません。心配性なので、次の四半期は土木の受注の表から開くつもりです。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

建築の海外受注がマイナスになった理由と、販管費が増えた中身は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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