使い終わったアルミを、もう一度地金にする会社です
大紀アルミニウム工業所は、使い終わったアルミのくずを集めて溶かし、成分を整えた地金にして納める会社です。一度使われたアルミから作り直すので、「二次合金」と呼ばれます。
地金を使うのは、溶けたアルミを型に流して部品を作るダイカストや鋳物の工場です。そこで自動車や二輪の部品になります。軽くて形の込み入ったエンジン回りの部品が多く、街を走る車の中にも、この会社の地金を通った部品が入っています。
国内のほか、インドやタイにも拠点があります。商売の中身は、くずを仕入れる値段と、地金として納める値段の差です。今回の決算も、結局この差の話になりました。
売上は3割増、営業利益は2.5倍近く
2026年8月10日に出た、第1四半期(4月から6月)の決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 976億900万円 | 747億3,400万円 | +30.6% |
| 営業利益 | 37億3,900万円 | 15億1,900万円 | +146.1% |
| 経常利益 | 33億6,600万円 | 10億2,100万円 | +229.5% |
| 純利益 | 23億5,900万円 | 6億5,900万円 | +257.6% |
売上の伸びに比べて、利益の伸びがずっと大きい決算です。売上高に対する営業利益の割合は、前年同期の2.0%から3.8%になりました。
3か月で、商品と原材料が145億円あまり増えた
短信の注記に、この第1四半期はキャッシュ・フロー計算書を作っていないと書いてあります。私はいつも現金の出入りから始めるので、今回は貸借対照表の3月末と6月末を並べて見ました。
| 科目 | 3月末 | 6月末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 90億8,200万円 | 69億2,000万円 | △21億6,100万円 |
| 受取手形及び売掛金 | 744億2,100万円 | 819億9,500万円 | +75億7,400万円 |
| 商品及び製品 | 226億8,100万円 | 328億500万円 | +101億2,300万円 |
| 原材料及び貯蔵品 | 278億8,000万円 | 322億9,100万円 | +44億1,000万円 |
| 短期借入金 | 679億6,800万円 | 805億4,400万円 | +125億7,600万円 |
増減の列は、短信の説明文に書いてある金額です。
引っかかったのは在庫です。商品及び製品は101億2,300万円、原材料は44億1,000万円増えています。2つを足すと、145億3,300万円になります。四半期の営業利益は37億3,900万円でした。……利益の4倍近くが、倉庫に積まれている。
その分を賄ったのは短期借入金で、125億7,600万円増えています。現金はむしろ21億円あまり減りました。自己資本比率も、42.9%から39.3%になっています。支払利息も4億1,100万円から5億2,600万円に増えていて、借入の増加はすでに損益計算書に出始めています。
アルミの価格が上昇すれば、同じ量を持っていても在庫の金額は膨らみます。仕入れて溶かして納める商売なので、値上がりの局面で在庫と借入が一緒に増えるのは、不自然な動きではありません。ただ、量が増えたのか単価が上昇したのかは、短信の数字からは分けられませんでした。
100円の売上で、粗利は6円ほどの商売
損益計算書を上から見ると、利益がどこで増えたかがはっきりします。
| 前年同期 | 今回 | |
|---|---|---|
| 売上総利益 | 35億5,300万円 | 59億9,800万円 |
| 販売費及び一般管理費 | 20億3,300万円 | 22億5,800万円 |
| 営業利益 | 15億1,900万円 | 37億3,900万円 |
売上高976億円に対して、粗利は60億円です。100円売って6円ほどしか残らない商売だということになります。その粗利が24億円あまり増え、経費の増加は2億円あまりにとどまりました。経費の増分も、大半は運搬費です。
粗利の薄い商売では、売値と仕入値の差が少し広がるだけで、利益が大きく動きます。売上が3割増で営業利益が2.5倍近くになった理由は、この薄さにあると考えています。
経常利益の伸びが営業利益より大きいのは、為替差損が2億200万円から9,900万円に減り、持分法の損益が損失から利益に変わったためです。利息の増加を差し引いても、営業外の損失は前年より軽くなっています。
会社は「価格の是正」と「価格差の拡大」を挙げています
短信の4ページ目で、会社は理由を3つ書いています。国内外で、自動車・二輪向けのダイカスト材と鋳物材の販売が大きく伸びたこと。国内では、LME価格の上昇で膨らんだ原料コストに合わせて、製品価格を是正したこと。インドとタイでは、製品の売値と原料の価格差(スプレッド)が広がったこと。
背景として、中東情勢の緊迫で供給の懸念が出たと書いています。アルミの価格が大きく上昇し、くずの価格も高い水準のままだったそうです。電気自動車の伸びが鈍り、ハイブリッド車の需要が堅調で、市場の形が変わりつつある、という一文もありました。
説明の筋はそのまま受け取ります。ただ、販売の量が伸びた分と、価格で稼いだ分の割合は、決算短信には書かれていません。粗利が7割近く増えて売上の伸びを大きく上回っていることからすると、価格の側の比重はかなり大きいはずです。
7月から9月に、83億円の営業利益を置いている
短信の5ページ目に、業績予想は8月5日の「業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」から変えていない、とあります。決算発表の5日前に、予想を直していたわけです。6月末で第1四半期は締まっていますから、この四半期の結果をほぼ知ったうえで出し直した予想になります。
営業利益の進み具合は通期予想の2割ほどで、4分の1には届いていません。ただ、これを遅れとは受け取っていません。理由は、予想の山が7月から9月にあるからです。
| 期間 | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 4月〜6月(実績) | 976億900万円 | 37億3,900万円 |
| 7月〜9月 | 約1,223億9,100万円 | 約83億100万円 |
| 10月〜翌年3月 | 約2,228億円 | 約55億1,000万円 |
約の付いた数字は、上期予想から第1四半期の実績を、通期予想から上期予想を、私が引いたものです。
7月から9月の3か月で、4月から6月の2倍を超える営業利益を見込んでいます。一方で、10月から翌年3月の半年は、その3か月より少なくなっています。……山を一つ作って、下りてくる形だ。売上に対する営業利益の割合も、7〜9月は約7%、後半の半年は約2.5%で、これは私の割り算です。
なぜこの形にしたのかは、決算短信には書かれていません。8月5日のお知らせや、表紙で作成「有」となっている決算補足説明資料に理由があるのかもしれませんが、私はまだ目を通していません。配当は前期の年55円から、年90円の予想です。
価格が運んだ利益だと考えています
私は、この四半期の利益の多くを、アルミの値上がりで売値と仕入値の差が広がった結果だと考えています。理由は、粗利の薄い商売で、経費がほとんど増えないまま粗利だけが大きく増えているからです。後半の半年を控えめに置いた予想の形も、同じ方向を指しています。
そう考えると、在庫と借入の膨らみも同じ根から出ています。価格の上昇は、利益と一緒に在庫と借入を連れてきます。心配性なので、次の決算では、利益より先に在庫と短期借入金が増えたか減ったかを確かめます。この先どうなるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260810/140120260807514336.pdf
在庫の増加のうち、量が増えた分と単価が上昇した分がそれぞれいくらなのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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