マネーフォワード(3994)2026年11月期 第3四半期決算分析――黒字の出どころが気になる

マネーフォワード(3994)2026年11月期 第3四半期決算分析――黒字の出どころが気になる 日本株

はじめに

中小企業や個人事業主のための業務ソフトを作っている会社です。帳簿付け、請求書、給与計算、経費精算を、パソコンやスマホで済ませるためのものです。経理担当が一人しかいない会社や、税理士事務所が顧客の帳簿をまとめて見る場面で使われています。ソフトは買い切りではありません。月ごとに料金を払って使う形です。

個人向けには、銀行口座やカードの明細を自動で集めて家計簿にするアプリがあります。ほかにも事業を抱えています。法人カードや請求書の早期入金のように、お金の流れそのものを扱う事業。金融機関向けのシステム開発。それから、スタートアップに出資するファンドです。今回の決算では、最後のファンドが話の中心になりました。

この決算で何が起きたか

2026年10月15日に出た第3四半期決算です。数字は12月から8月までの9か月の累計です。

今回前年同期増減率
売上高469億800万円353億600万円+32.9%
営業利益16億8,600万円△19億7,900万円―
経常利益3億2,800万円△23億7,500万円―
純利益4億9,800万円△33億8,400万円―

前年は営業段階から赤字でした。今回は4つの利益がそろって黒字に変わっています。表だけを見れば、先行投資で赤字を続けてきた会社が、ついに黒字に届いた決算です。

営業利益の大半は、ファンドが売った株1銘柄から来ていた

会社の説明文の中に、一文だけこう書いてあります。ファンドが持っていた非公開株を1銘柄売り、21億3,400万円を売上高に計上した、と。ベンチャー投資を事業として行っているので、株を売った代金が売上に入る仕組みです。

これを踏まえて、事業ごとの利益の表を前年と並べました。

事業前年同期今回
Business(企業向け)△9億9,000万円20億5,000万円
Home(個人向け)6億8,500万円9億6,600万円
X(金融機関向け)2億3,500万円3億7,500万円
Finance(ファンド)1億8,600万円14億5,900万円
SaaS Marketing(売却済み)3億1,300万円―
全社費用など△24億1,000万円△31億6,600万円
営業利益△19億7,900万円16億8,600万円

出どころは短信のセグメント情報です。100万円未満は切り捨てています。

営業利益16億8,600万円のうち、14億5,900万円がファンドの利益です。16億8,600万円からファンドの分を引きます。残りは2億2,700万円です。ファンドを除けば、全社の営業利益はほぼ収支とんとんです。

一方で、Businessは前年の9億9,000万円の赤字から、20億5,000万円の黒字に変わっています。こちらは株の売却とは関係のない、ソフトの利用料から出た利益です。

営業より下でも、株の売却が利益を支えている

経常利益は3億2,800万円まで縮みます。持分法による投資損失が6億7,300万円、支払利息が3億4,800万円出ているからです。

そのあと、特別利益に投資有価証券売却益が24億2,900万円入ります。ファンドとは別の勘定で、こちらも株を売った利益です。税金を引いた四半期純利益は20億600万円まで戻りました。ここで引っかかりました。

そのうち15億800万円は「非支配株主に帰属する」利益です。親会社の株主に残るのは4億9,800万円でした。……20億600万円のうち4分の3が、外の株主の取り分だ。

どの子会社の利益が外へ回ったのかは、決算短信には書かれていません。

この短信には、キャッシュ・フロー計算書が無い

私はいつもキャッシュ・フロー計算書まで見に行きます。今回の短信の注記には「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とありました。現金の出入りは、貸借対照表の前後を比べて追うしかありません。

前期末今回
現金及び預金409億7,200万円391億4,700万円
借入金(短期・長期の合計)208億4,800万円290億2,700万円
のれん67億3,100万円122億5,000万円

借入金は、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、長期借入金の3つを私が足したものです。

借入れを80億円あまり増やしましたが、現金は少し減っています。のれんが倍近くに増えた理由は、短信の注記に書いてあります。勤怠管理システムの事業や、経理代行の事業を譲り受けたからです。黒字の9か月でも、手元の資金は借入れと一緒に買収へ出ていった、と私は受け取りました。

会社はどう説明しているか

会社が理由として挙げているのは、ほぼBusinessの話です。2025年6月に価格を改定しました。営業体制を広げ、AIエージェントを相次いで出しました。その結果、1社あたりの単価が上がったとあります。6月から8月の3か月では、Businessの売上は前年同期比で5割増えたとも書いています。

この部分は、そのまま受け取ります。理由は、Businessの売上が9か月で249億4,300万円から375億1,900万円へ増え、利益も赤字から黒字に変わっているからです。説明と表の数字が同じ方向を向いています。

一方で、ファンドの売却は事業の紹介の中に一文あるだけです。全社の黒字にどれだけ効いたのかは、決算短信の説明文の中では触れられていません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は幅で出ています。7月13日に修正したあと、今回は変えていません。

通期予想9か月の実績
売上高605億〜623億円469億800万円
営業利益△5億〜15億円16億8,600万円
経常利益△22億〜△2億円3億2,800万円
純利益△32億〜△7億円4億9,800万円

営業利益は、9か月で予想の上限をもう超えています。上限の15億円から、9か月の実績を引きます。答えは△1億8,600万円です。いちばん良い場合でも、9月から11月の3か月は赤字を見込んでいる計算になります。下限なら、その3か月で21億円あまりの赤字です。

経常利益と純利益は、予想の幅そのものが赤字です。9か月で黒字にした分を、残り3か月で吐き出す前提になっています。なぜそう置いたままなのかは、決算短信には書かれていません。表紙には決算補足説明資料と説明会が「有」とあります。理由はそちらにあるのかもしれませんが、私はまだ目を通していません。

売上は、下限の605億円に対して8割近くまで来ています。ただ、この中にはファンドの21億3,400万円が入っています。

私はどう読んだか

全社の黒字と、Businessの黒字。この2つは分けて考えるべき決算です。

私は、Businessの黒字化のほうを重く見ています。理由は、ソフトの利用料が5割伸び、その上で前年の赤字が消えているからです。料金を上げても客が離れていない、という形が表の数字に出ています。

それでも、全社の黒字16億8,600万円をこの会社の実力とは受け取っていません。ファンドの1銘柄を除けば、営業段階でほぼ収支とんとんです。その下の利益は、特別利益の株の売却が支えています。会社自身も、残り3か月を赤字と見込んでいます。心配性なので、来期に株の売却が無い場合の数字のほうを先に考えています。

出典:決算短信(会社発表)

株式会社マネーフォワード
株式会社マネーフォワードのコーポレートサイトです。会社情報、プレスリリース、採用情報などさまざまな情報を掲載しています。

Businessの先行投資の表にある「第3四半期実績」77億700万円が、9か月の累計なのか、6月から8月の3か月分なのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました