レゾナック・ホールディングス(4004)2026年12月期 中間決算分析――半導体材料一本と読みました

レゾナック・ホールディングス(4004)中間決算分析――営業利益は前年同期の2.2倍、なのに通期の売上予想は1,450億円引き下げられていた 決算を読む

はじめに

半導体の材料と、石油化学を二本の柱にしてきた化学の会社です。前者は、チップを樹脂で包む封止材、基板に貼り付けるフィルム、ウェハーを磨く研磨材、高純度ガスといった、半導体を組み立てる工場が買うものです。買い手は半導体メーカーと、その先にいるデータセンターです。

後者は、ナフサを分解して樹脂の原料を作る事業で、いまはクラサスケミカルという子会社になっています。ほかに黒鉛電極、自動車の摩擦材や樹脂部品、塗料や接着剤の原料もあります。

8月6日に出た中間決算は、その二本柱のうち片方が、この秋に会社から出ていくことが決まった決算でもあります。

この決算で何が起きたか

今回(1〜6月)前年同期増減率
売上収益6,768億5,200万円6,420億5,400万円+5.4%
コア営業利益887億5,300万円345億9,800万円+156.5%
営業利益733億1,000万円326億1,100万円+124.8%
税引前中間利益727億5,400万円304億1,500万円+139.2%
純利益484億5,100万円196億5,400万円+146.5%

IFRSなので経常利益の行はなく、税引前中間利益を入れました。コア営業利益は、営業利益から一時的な損益を除いた、会社が本業の物差しにしている数字です。

売上の伸びに対して、利益の伸びが大きすぎます。その差がどこから来たのかは、短信の1ページ目には書かれていません。

コア営業利益887億円のうち、815億円が一つの部門です

短信の4ページ目から5ページ目に、部門ごとの数字があります。

部門今回 コア営業利益前年同期
半導体・電子材料814億8,500万円424億8,600万円
モビリティ42億8,200万円13億800万円
イノベーション材料63億400万円49億4,600万円
ケミカル△6億1,200万円△81億5,100万円
クラサスケミカル38億3,800万円△8億600万円
その他32億6,700万円21億4,700万円
調整額△98億1,100万円△73億3,200万円
合計887億5,300万円345億9,800万円

引っかかったのは、合計から半導体・電子材料を引いた残りです。887億5,300万円から814億8,500万円を引きます。残るのは72億6,800万円です。半導体以外の部門と本社の費用を全部足しても、これだけです。

半導体・電子材料の売上収益は2,989億6,200万円で、前年同期から3割増えました。中でも封止材やフィルムの「後工程材料」が伸びた、と短信にあります。この部門だけで売上が682億8,200万円増えていて、全社の増収額を上回ります。ほかの部門の減収を吸収してなお余っている、ということです。

10月からは、この形がそのまま会社の形になります

もう一つ、この偏りが会社の作りとして固定される話です。短信の15ページ目の後発事象に、クラサスケミカルのパーシャル・スピンオフが書かれています。10月1日に、クラサス株の8割超を株主に現物配当で分け、手元に残すのは2割未満です。連結からも持分法からも外れます。

第3四半期からは、クラサスは「非継続事業」として損益計算書の一行にまとめられ、通期予想もクラサス抜きの数字に組み替えられました。決算要約によると、継続事業のコア営業利益1,960億円のうち、半導体・電子材料が1,950億円です。

残りを足してみます。

部門通期予想 コア営業利益
モビリティ50億円
イノベーション材料120億円
ケミカル40億円
その他・調整額△200億円

数字は決算要約の、継続事業ベースの通期予想からです。足すと10億円です。……いや、これは偏りというより、ほぼ一本だ。

現金は、利益についてきています

ここは心配のほうを先に確かめました。利益が伸びた年に現金が減る会社を、私は何社も読んできたからです。

短信の12ページ目、キャッシュ・フロー計算書です。営業活動のキャッシュ・フローは844億300万円の収入で、中間利益490億4,000万円を上回っています。減価償却が457億6,100万円乗る会社なので、それ自体は普通の形です。

中では棚卸資産が386億8,400万円の流出でした。ナフサの価格が1キロリットル69,850円から92,300円に上がった半年なので、石化の在庫が金額で膨らんだ分が入っているはずです。ただ、どの部門の在庫が増えたのかは、短信にも説明会資料にも書かれていません。

営業利益がコア営業利益より154億円少ない理由も、ここで確かめられます。短信は「退職給付制度の改定に伴う損失」とだけ書いていて、金額は、説明会資料に95億円とあります。キャッシュ・フロー計算書では、退職給付に係る資産及び負債の増減額が88億5,900万円の足し戻しです。損失は立ったが、現金は出ていない、という種類のものです。

会社はどう説明しているか

半導体・電子材料は、後工程材料が「AI等の先端半導体向けの販売数量増加」、前工程材料が「メモリ市況が回復基調」、記録媒体が「データセンター向け需要が堅調」で増収と書いています。数量が増えた、という説明で、値上げの話は出てきません。

私はこれをそのまま受け取っています。理由は、営業キャッシュ・フローが利益についてきていて、売上債権の増え方も165億9,300万円と売上の伸びに見合っているからです。

クラサスケミカルは別です。減収の理由は「4年に一度の大型定期修繕」、増益の理由は「ナフサ価格の上昇による在庫受払差のプラス影響」です。安く仕入れた在庫を高い価格で売った差益で、価格が下を向けば逆に出ます。ただ、この部門は10月に出ていくので、この増益がどれだけ本物かを気にする意味は薄くなりました。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想2月13日の予想今回(8月6日)増減
売上収益1兆3,100億円1兆1,650億円△1,450億円
コア営業利益1,400億円1,960億円+560億円
営業利益1,050億円1,600億円+550億円
純利益770億円1,125億円+355億円

売上の減り方は、クラサスを予想から外したせいです。中間期の実績はクラサスを含んだままなので、単純に割っても進捗率は出ません。

そこで、影響を受けない半導体・電子材料だけで見ます。上期のコア営業利益815億円に対して、通期予想は1,950億円です。引くと、下期に1,135億円が要る計算です。

四半期の推移は、第1四半期340億円、第2四半期475億円です。1,135億円を2で割るとひと四半期あたり約567億円で、第2四半期からさらに2割増しの水準が続く置き方です。会社側は伸びが止まらないことを前提にしています。

もう一つ、予想に入っていないものがあります。スピンオフ実行時にクラサスを連結から外す損益は「精査中」で、通期予想の純利益1,125億円に含まれていません。残す2割の株を時価で評価し直す処理も入るので、金額は動きうるものです。

私はどう読んだか

この中間決算を、私は「半導体材料の会社になった決算」だと考えています。理由は、利益の伸びが数量で説明され、現金がついてきていて、一本足であることを会社側が通期予想の形で隠していないからです。

だから心配は、業績の中身より、形のほうにあります。10月以降、利益は一つの部門の需要にほぼ丸ごと乗ります。その需要がどれだけ続くかは、短信には書いてありませんし、私にも分かりません。上がるかは知りません。ただ、10億円という残りの数字は、頭の片隅に残しておきます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260806511574.pdf

増えた在庫386億8,400万円のうち、半導体材料の分がどれだけあるのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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