ファナック(6954)2027年3月期 中間決算分析・続報――持分法の利益に、現金の裏付けを読みました

ファナック(6954)2027年3月期 中間決算分析・続報――出資先の利益は現金で来たと読みました 日本株

はじめに

工作機械に「どこを、どれだけ削るか」を指示する数値制御装置を作っている会社です。金属の塊から部品を削り出す機械の、頭脳にあたる部分です。工作機械メーカーがこれを自社の機械に組み込みます。その機械を、自動車や航空機、半導体装置の部品を作る工場が買います。

もう一つの柱は産業用ロボットです。車体を溶接したり、部品をつかんで並べたりする腕です。ほかに小型の切削加工機、電動の射出成形機、ワイヤ放電加工機も売っていて、売った機械の保守も一つの部門になっています。自動車部品の会社で財務をしている私も、工場でこの名前を見ない日はありません。

9月14日の前の記事では、7月31日に出た第1四半期決算を取り上げました。引っかかったのは2点です。経常利益の伸びの一部が持分法による投資利益だったこと。ロボットの受注が売上ほど伸びていなかったこと。この2つを頭に残したまま、記事を終えています。

上期は、どの段も前年同期を大きく上回りました

10月23日に出た中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高4,737億800万円4,075億6,800万円+16.2%
営業利益1,166億6,200万円859億6,400万円+35.7%
経常利益1,490億4,500万円1,079億500万円+38.1%
純利益1,125億7,600万円798億2,000万円+41.0%

売上は2割に届かない伸びですが、純利益は4割増えています。下の段ほど伸びが大きいのは、第1四半期と同じ形です。

増益のうち、持分法の分は2割に下がりました

損益計算書の営業外収益では、持分法による投資利益が147億2,500万円から229億7,700万円へ増えています。増えたのは82億5,200万円です。経常利益の増え分は411億4,000万円です。82億5,200万円をこれで割ると、およそ2割になります。第1四半期のときは3割弱でした。

割合が下がった理由は、営業利益そのものが大きく伸びたからです。上期の営業利益は1,166億6,200万円です。ここから第1四半期の534億9,200万円を引くと、7月から9月の3か月の営業利益が出ます。631億7,000万円です。前の記事では、会社がこの3か月を第1四半期より少なく見込んでいると書きました。結果は逆で、第1四半期を上回っています。

持分法の利益は、現金でも入ってきていると考えています

持分法による投資利益は、損益計算書に載っても、その時点では現金になっていません。相手先が配当を払ったときに、初めて入金になります。そこで、キャッシュ・フロー計算書(短信の10ページ目)の受け取りの行を確かめました。

前年同期今回
持分法による投資利益147億2,500万円229億7,700万円
利息及び配当金の受取額297億8,000万円388億9,800万円
損益計算書の受取利息と受取配当金64億4,000万円76億4,000万円
差約233億4,000万円約312億5,800万円

約の付いた数字は、受取額から損益計算書の受取利息と受取配当金を引いた、私の引き算です。

実際に受け取った額は、損益計算書に載っている受取利息と受取配当金を、どちらの期も大きく上回っています。その差は、持分法による投資利益よりも大きい金額です。ここまではキャッシュ・フロー計算書と損益計算書の数字です。

この差の大半は、持分法の相手先から受け取った配当だと私は読みました。この差の内訳は、短信には書かれていません。……前回の心配は、半分外れたか。

現金同等物が減ったのは、定期預金に移したからでした

短信の4ページ目には、現金及び現金同等物が638億9,000万円減ったと書かれています。ところが貸借対照表では、現金及び預金が7,180億7,100万円から7,462億8,500万円へ増えています。

食い違いの元は定期預金です。投資活動の欄では、定期預金の預入が2,395億6,300万円、払戻が1,417億200万円でした。預入から払戻を引くと、978億6,100万円を新たに定期預金へ回したことになります。預入期間の長い定期預金は現金同等物に数えないので、帳簿の上では「減った」側に入ります。

上期の主な出入り金額
営業活動によるキャッシュ・フロー1,558億5,800万円
配当金の支払額△520億1,800万円
自己株式の取得による支出△500億1,100万円
有形固定資産の取得による支出△166億300万円

本業で稼いだ現金で、配当と自己株式の取得をまかなえています。中間配当は前年同期の51.33円から72.54円に増えました。10月23日には、上限500億円の自己株式の取得も新たに決めています。

ロボットの受注は、売上を上回るようになりました

ここからは説明会資料の数字です。7月から9月の3か月で、受注高は3,060億円、売上高は2,427億円でした。受注が売上を600億円あまり上回っています。とくにFA部門の受注は、前年同期の2倍を超えました。

前の記事で気にしたロボットは、この3か月で受注が前年同期から1割強増えました。売上の伸びは1割に届いていません。第1四半期とは逆の並びです。

短信の貸借対照表では、仕掛品が789億8,600万円から940億100万円へ増えています。受注が売上を上回った分が、作りかけの製品として工場に積み上がっている形です。

会社はどう説明しているか

短信4ページ目の説明文では、FA部門は中国とインドの需要が強く、国内も工作機械メーカーの輸出向けが引っ張ったとしています。欧州にも回復の兆しがあるそうです。ロボットは、米州と国内で自動車向けが持ち直し、中国も一般産業向けが好調で増えたとあります。

FAについては、受注の数字とも合うので、そのまま受け取ります。ロボットの中国には留保を付けます。説明会資料の地域別の数字では、7月から9月のロボットの中国向け売上は前年同期より1割強減り、前四半期と比べると3割減っています。短信の説明は上期全体の話で、足元の3か月とは温度が違います。

通期予想に対して、どこまで来ているか

会社は通期予想を引き上げました。

通期予想進捗率残り6か月に必要な額残り6か月の前年比
売上高1兆137億円46.7%5,399億9,200万円+20.0%
営業利益2,407億円48.5%1,240億3,800万円+26.9%
経常利益3,088億円48.3%1,597億5,500万円+33.5%
純利益2,283億円49.3%1,157億2,400万円+33.5%

進捗率と残りの額は、表紙の予想から私が割り出したものです。

どの段も半分近くまで来ています。下期には、上期よりも多くの売上と営業利益が必要です。しかも為替は1ドル150円と、上期の実績より円高を前提にしています。引き上げ幅は営業利益より経常利益、経常利益より純利益のほうが大きく、第1四半期のときと同じ形でした。

私はどう読んだか

下期の予想は、無理のない前提だと考えています。理由は、7月から9月だけで受注が売上を大きく上回り、その分が仕掛品として貸借対照表にも出ているからです。持分法の利益も、配当として現金で戻ってきています。前回より、安心して受け止めています。

それでも心配性なので、ロボットの中国向けが足元で減っていることと、150円の為替前提は気になったままです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.fanuc.co.jp/ja/ir/announce/pdf/2026/financialresult202609.pdf

持分法による投資利益の相手先がどの会社なのか、受け取った配当のうちいくらがその相手先からなのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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