サイゼリヤ(7581)2026年8月期 通期決算分析――積み上がった在庫が気になりました

サイゼリヤ(7581)2026年8月期 通期決算分析――積み上がった在庫が気になりました 日本株

安いイタリアンの店を、材料から自分で回している会社

サイゼリヤは、イタリアの家庭料理を手ごろな値段で出すレストランを、自分の会社で直接運営しています。平日の昼の会社員、学生の集まり、子ども連れの家族が、気軽に入れる店です。私も休みの日に娘を連れて行きます。

この会社は、料理の材料を他人任せにしていません。オーストラリアに食材の工場を持ち、そこで作ったものを日本の店へ回しています。中国を中心にアジアにも店を広げ、ベトナムやマレーシアにも出ています。テーブルのQRコードを客が自分の携帯で読んで注文する方式も、日本の全店に入れ終えました。

売上は2割近く伸び、利益の伸びは小さめ

2026年10月14日に出た、2026年8月期の通期決算です。

今回前の期増減率
売上高3,014億8,300万円2,567億1,400万円+17.4%
営業利益164億1,900万円154億9,900万円+5.9%
経常利益168億3,000万円158億500万円+6.5%
純利益110億4,600万円111億6,400万円△1.1%

営業利益の伸びは、売上の伸びの3分の1ほどです。純利益が少し減った理由は、前の期にあった固定資産の売却益5億8,100万円が、今期は1,500万円まで減ったことが大きいからです。

日本の本体で、在庫が1年で5割増えていました

連結の貸借対照表で引っかかったのは、商品及び製品です。150億1,100万円から224億4,000万円へ増えています。キャッシュ・フロー計算書では、棚卸資産の増加で74億5,100万円の現金が出ていきました。前の期のこの欄は12億7,300万円です。

どこで増えたのかは、日本の本体だけの決算(個別の数字)で分かります。

日本の本体前の期今期
売上高1,729億800万円2,033億3,600万円
当期商品仕入高607億6,900万円814億200万円
商品及び製品(期末)124億3,000万円187億1,800万円
現金及び預金(期末)339億4,400万円278億3,700万円

出どころは、短信の個別の損益計算書と貸借対照表です。

売上が2割近く伸びたところへ、仕入は3割以上伸びています。本体の在庫は124億3,000万円から187億1,800万円へ増えました。連結で増えた在庫のうち、60億円あまりが日本の本体の分です。その本体の手元の現金も、339億4,400万円から278億3,700万円へ減りました。減った額は、在庫の増えた額と同じく60億円あまりです。……売った以上に買って、その分の現金が棚に載っている。

現金の増加は、為替の換算差額より小さかった

連結の現金は、1年で4億9,800万円増えました。

前の期今期
営業キャッシュ・フロー262億8,000万円286億800万円
投資キャッシュ・フロー△187億4,100万円△223億3,500万円
財務キャッシュ・フロー△100億5,200万円△112億7,300万円
現金の換算差額△22億8,300万円54億9,800万円
現金の増減△47億9,600万円4億9,800万円

増えた分には、為替の換算差額が54億9,800万円入っています。海外の子会社が持つ現金を、円に直したときに膨らんだ分です。4億9,800万円から54億9,800万円を引いて、換算差額の分を除きます。残る営業・投資・財務を合わせた動きは、50億円の減少です。

財務の側の大半は、リース債務の返済96億4,700万円です。短信の会計方針の注記によると、海外の一部の子会社は、借りている物件を資産と負債の両方に載せる国際基準の方式を使っています。そのため物件への支払いは、営業ではなく財務の側に出てきます。私は営業キャッシュ・フローの大きさを、その分割り引いて受け取っています。

利益をいちばん稼ぐアジアだけが、減益でした

地域売上高前期比営業利益前期比
日本2,033億3,600万円+17.6%60億900万円+19.4%
豪州141億1,600万円+26.6%7億4,900万円+130.3%
アジア981億4,700万円+17.1%97億1,200万円△4.2%

豪州の売上は、すべてグループの中への販売です。

アジアの売上は日本の半分ほどですが、営業利益は日本より多く出ています。そのアジアだけが、売上を伸ばしながら減益になりました。店の資産の価値を切り下げる減損損失も、アジアでは2億4,300万円から4億9,100万円へ倍になっています。

短信の説明文は、アジアの売上が増えた理由を「新規出店を継続的に進め、店舗数が増加したことなどにより」と書いています。利益が減った理由は、決算短信には書かれていません。1月に中国広州の新工場が竣工し、武漢で1号店を開いているので、立ち上げの費用が重なったのかもしれません。短信からは確かめられませんでした。

会社は日本の伸びを、店の組織と注文の仕組みで説明しています

日本の増益について、会社は店の状態を保てる組織作り、メニューの施策、デジタル化の効果を挙げています。QRコードの注文が全店に入ったのは2025年12月末で、今期の大半に効いていたことになります。日本の利益が売上と同じくらい伸びているので、この説明はそのまま受け取ります。

在庫については、財政状態の説明で「商品及び製品の増加」と額を挙げているだけです(短信の5ページ目)。なぜ積んだのかは、決算短信には書かれていません。表紙によると機関投資家向けの説明会は開いていますが、その資料は読んでいません。

書き方が変わった箇所も一つあります。これまで「メニュー価格維持という方針」と書いてきたところを、今回は「メニュー価格改定は状況に応じて行う方針」と書きました。値上げするとは、決算短信には書かれていません。ただ、方針の書き方が変わったのは事実です。

来期は、上期を横ばいにして下期に大きく寄せた計画です

通期決算なので、今期の数字はこれで確定です。今期のはじめの予想は今回の短信に載っていないため、予想に届いたかはここでは比べられません。

代わりに、来期の予想には上期の数字があります。上期の営業利益は86億円で、増減率は△0.6%です。0.6%減った結果が86億円なので、0.994で割り戻せば今期の上期が出ます。86億円を0.994で割ると、今期の上期はおよそ86億5,000万円になります。

営業利益上期下期通期
今期 実績約86億5,000万円約77億7,000万円164億1,900万円
来期 会社予想86億円約126億円212億円

約の付いた数字は、上期の増減率から割り戻したものと、通期から上期を引いたものです。

上期は横ばい、下期は今期より6割ほど多い計画です。

直近の3か月は、明るい数字ではありません。7月に出た第3四半期決算の累計営業利益は133億2,700万円でした。164億1,900万円から引くと、6月から8月の3か月は30億9,200万円です。同じ3か月の売上は、通期の3,014億8,300万円から第3四半期累計の2,213億3,200万円を引いて出します。答えは801億5,100万円です。売上に対する利益は4%に届かず、9か月累計の6%ほどを下回っています。

そのうえで、来期の下期に6割増を見込んでいるわけです。なぜ下期に寄せたのかも、決算短信には書かれていません。

在庫は、値上がりに備えた買い込みだと考えています

在庫の受け取り方は2つあります。売れ行きが落ちて残ったものか、食材の値上がりに備えて先に買ったものか。

私は後者だと考えています。理由は、売上が2割近く伸びている最中に積み上がったからです。もう一つ、会社は短信の中で、商品の開発から調達・加工・保管・物流までをまとめて扱う組織に変えたと書いています。売れ残りなら、売上が伸びている時期には積み上がりにくいはずです。

それでも、その分の現金は日本の本体から出ていきました。連結の現金が増えたのは、為替の換算差額があったからです。利益をいちばん稼ぐアジアは減益で、来期は下期に大きく寄せています。心配性なので、来期の数字は下期の中身が見えるまで控えめに受け取ります。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

IRライブラリ

アジアが売上を伸ばしながら減益になった理由と、積み上げた在庫の中身は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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