カネコ種苗(1376)2027年5月期 第1四半期決算分析――増益の多くは前倒しの分と読みました

カネコ種苗(1376)2027年5月期 第1四半期決算分析――増益の多くは前倒しの分と読みました 決算を読む

種と除草剤とハウスの資材を、農家に届ける会社

カネコ種苗は、野菜や牧草の種を作って売る会社です。ネギやキャベツ、タマネギの種は国内の農家だけでなく、海外にも出ています。

種だけの会社ではありません。農薬などの農業資材、花の苗、栽培施設まわりの資材も扱っています。この四半期でいえば、売上の半分以上は種ではなく、除草剤などの資材でした。

農家は、作付けの前に種を買います。育てている途中で除草剤をまき、ハウスの資材を張り替えます。この会社の商品は、そのどの場面にも置いてあります。

一年でいちばん忙しいのは、決算の締めにあたる3月から5月です。会社自身が短信にそう書いています。春の作付けの前に、ものが動くのだと思います。

売上は前年並み、純利益だけが8割近く伸びた

2026年10月5日に出た第1四半期決算です。対象は6月から8月の3か月です。

今回前年同期増減率
売上高156億9,500万円155億3,800万円+1.0%
営業利益4億1,200万円3億8,700万円+6.5%
経常利益4億9,300万円4億3,900万円+12.1%
純利益5億3,500万円3億100万円+77.5%

売上は横ばいです。表の下に行くほど、伸び幅が大きくなっています。

純利益の伸びは、ほぼ有価証券の売却益で説明が付く

損益計算書をたどると、特別利益に投資有価証券売却益3億3,025万円が載っています。前年同期には無かった科目です。

税金を引いたあとに、いくら残るかを確かめました。法人税等は2億6,150万円、税引き前の利益は7億9,698万円です。前者を後者で割ると、税率はおよそ33%です。売却益にこの率を当てると、残るのはおよそ2億2,000万円になります。

会社の説明文では、純利益の増加は2億3,300万円です。その大部分が、この売却益で埋まります。説明文の中でも、売却益が増益の理由に挙げられています。

営業利益の増えた分は、施設材ひとつで足りる

本業の増益がどこから来たのかは、事業ごとの表を見ると分かります。

事業売上 前年同期売上 今回利益 前年同期利益 今回
種苗22億9,960万円23億5,566万円2億5,931万円2億7,107万円
花き14億5,168万円14億3,130万円△6,843万円△7,541万円
農材85億6,983万円82億9,307万円4億5,147万円4億3,544万円
施設材32億1,687万円36億1,536万円5,114万円1億898万円
全社費用△3億587万円△3億2,741万円

会社の説明文では、営業利益の増加は2,500万円です。施設材の利益は、前年同期の5,114万円から今回の1億898万円へ増えました。差は約5,783万円です。ひとつの事業の増益が、全体の増益の2倍を超えている計算です。

ほかの事業を見ると、農材と花きは減益です。種苗の増益は小さく、全社費用も増えています。施設材を除けば、営業利益は前年を下回っていたことになります。

短期借入金が、3か月で8億円から45億円台へ

貸借対照表には、季節の動きでは片付かない数字がありました。

前期末(5月31日)今回(8月31日)
受取手形及び売掛金199億1,216万円148億141万円
買掛金227億7,695万円153億1,062万円
未収入金26億637万円39億4,488万円
短期借入金8億円45億4,000万円
現金及び預金19億962万円22億4,964万円

売掛金と買掛金が減ったのは、繁忙期の第4四半期に伴うもので「毎期同様の状況」だと会社は書いています。春に売り、春に仕入れた分の精算が夏までに進む、という意味です。ここは説明どおりに受け取ります。

引っかかったのは、その説明に入っていない2つです。短期借入金が37億4,000万円増え、未収入金も13億円あまり増えています。支払利息は793万円から1,923万円へ増えました。前年同期の2倍を超えています。

借入が増えた理由は、決算短信には書かれていません。この四半期はキャッシュ・フロー計算書を作成していない、と注記にもあります。……資金の出入りの表が無い四半期に、借入が5倍を超えている。

買掛金の支払いが売掛金の回収より先に出ていき、その差を借りてつないだ、と私は読みました。数字の向きは、それで合います。ただ、この短信の貸借対照表は前期末と並べてあるだけです。前年の同じ時期にも借りていたのかは分かりません。自己資本比率は49.4%から53.8%へ高まっていて、財務が傷んだ形ではありません。

中東情勢が、農材では減収の理由に、施設材では増収の理由に

施設材の増収について、会社は「中東情勢の不透明感より農業資材の確保の動きが顕著となった」と書いています。増益は「適正な価格転嫁が進み採算性が改善」したからだそうです。

同じ短信の農材の欄にも、中東情勢が出てきます。除草剤の減収の理由として、長雨と並んで「中東情勢の影響により前期に一部前倒し需要が発生した」とあります。

前期は農材で先買いが起き、その反動が今期の減収になりました。今期は施設材で、同じ事情による資材の確保が起きています。会社の説明文を2つ並べると、そう受け取れます。

価格転嫁のほうは別の話です。施設材の利益を売上で割ると、利益率は約1.6%から約3.0%へ改善しています。値段が通っていることは、会社の説明どおりだと考えています。

通期予想まで、どこまで来ているか

通期予想第1四半期進み具合残り9か月に必要な額
売上高700億円156億9,500万円約22%543億500万円
営業利益20億円4億1,200万円約21%15億8,800万円
経常利益21億円4億9,300万円約24%16億700万円
純利益16億5,000万円5億3,500万円約32%11億1,500万円

進み具合と残りの額は、表紙の通期予想から私が割り算と引き算をして出したものです。

営業利益の進み具合は、4分の1に届いていません。ただ、繁忙期が第4四半期の会社なので、最初の3か月が小さいのは毎年のことです。前期の営業利益は、第1四半期が3億8,700万円、通期が17億4,900万円でした。割ると、進み具合は約22%です。今期はそこから少し遅れています。

前期の残り9か月の営業利益は、通期の17億4,900万円から第1四半期の3億8,700万円を引いた額です。13億6,200万円でした。今期の予想を満たすには、同じ9か月で15億8,800万円が要ります。前期を16.5%上回る計算です。予想は7月13日に出したまま、変えていません。

純利益が3分の1近くまで進んでいるのは、売却益が入ったからです。

施設材の伸びは、前期の農材と同じ形に見える

本業の数字は、施設材を除けば前年を少し下回っています。その施設材の売上を支えたのは、中東情勢を受けた資材の確保です。ここまでは短信の数字と説明文です。

私は、施設材の売上の伸びの多くは前倒しの分だと考えています。理由は、同じ短信の農材の欄で、会社自身が前期の先買いの反動を減収の理由に挙げているからです。同じ事情で起きた先買いが施設材でだけ続く、と考える材料は、短信の中に見当たりませんでした。

そうだとすると、残り9か月で2割近く上積みする予想は、繁忙期の施設材に反動が出るかどうかにかかっています。利益率の改善が残るかどうかは、次の四半期の施設材の欄で確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

NEWS | カネコ種苗株式会社 | 未来をひらく・・カネコ交配

短期借入金が3か月で37億4,000万円増えた理由と、前年の同じ時期にも同じ程度借りていたのかは、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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