TSIホールディングス(3608)2027年2月期 中間決算分析・続報――前回の心配は外れました

TSIホールディングス(3608)2027年2月期 中間決算分析・続報――前回の心配は外れました 日本株

TSIホールディングスは、たくさんの服のブランドを抱え、自分たちで作って売っている会社です。メンズでは「アヴィレックス」「ショット」「ステューシー」、ウィメンズでは「ジルバイジルスチュアート」「ナチュラルビューティーベーシック」を持っています。ゴルフの「ニューバランスゴルフ」もこの会社のブランドです。

売る場所は、駅ビルや路面の店と、自社の通販サイト「mix.tokyo」です。普段着や週末の一着を探す人に売っています。

前の期には、セレクトショップ「フリークスストア」を運営する会社と、傘を企画して売る会社を傘下に入れました。この夏には、アメカジの服を作る会社をさらに買っています。

2026年7月14日に出た第1四半期の短信を読み、9月に前の記事を書きました。そのとき引っかかったのは、上期の会社予想から逆算した夏の3か月の数字です。経常の赤字が、営業の赤字より深く見込まれていました。その差の中身を中間決算で確かめる、と書いています。

上期の利益は、どの段も第1四半期より小さい

2026年10月14日に、3月から8月までの中間決算が出ました。

今回前年同期増減率
売上高889億500万円661億6,700万円+34.4%
営業利益9億9,500万円6億4,000万円+55.5%
経常利益19億2,900万円13億3,300万円+44.7%
純利益11億1,700万円13億1,300万円△14.9%

増減の並び方は第1四半期と同じです。ただ、どの段も金額は第1四半期より小さくなりました。夏が赤字だったからです。

夏の3か月に、営業外の費用は出ていなかった

中間の数字から第1四半期の数字を引くと、6月から8月だけを取り出せます。第1四半期の短信の表紙に載っていた上期の会社予想と並べました。

第1四半期 実績6月から8月上期 実績上期 会社予想
営業利益25億1,200万円約△15億1,700万円9億9,500万円12億円
営業外収益10億5,300万円約3億7,900万円14億3,200万円―
営業外費用2億4,900万円約2億4,900万円4億9,800万円―
経常利益33億1,600万円約△13億8,700万円19億2,900万円10億円
純利益21億200万円約△9億8,500万円11億1,700万円7億円

約の付いた列は、上期の実績から第1四半期の実績を私が引いたものです。

営業外は、夏の3か月でも差し引きでプラスです。前の記事で気にした「営業外で10億円ほどのマイナス」は、損益計算書には出ていません。

……出ていないのか。前の記事で私は、この10億円を夏の赤字そのものより重く受け取ると書きました。その読みは外れています。会社がなぜ上期の経常利益を10億円と見込んでいたのかは、決算短信には書かれていません。結果として、経常利益は上期予想のほぼ2倍で着地しました。

外れなかったのは、本業の夏のほう

営業利益は逆でした。前の記事で上期予想から第1四半期の実績を引いた夏の営業赤字は約13億1,200万円でしたが、実際は約15億1,700万円です。会社の予定より2億円ほど深くなっています。

粗利の説明も変わりました。第1四半期の短信では、売上総利益率の悪化を、新しく連結した2社のせいだと書いていました。中間の短信では、そこに「既存事業において輸入ブランドの為替悪化影響」が加わっています。悪化の幅も、第1四半期の1.2ポイントから2.1ポイントへ広がりました。

買った会社の粗利が低いのは、事業の組み立ての話です。為替のほうは、もともと持っていたブランドの採算の話になります。販管費率の改善も、第1四半期の2.4ポイントから2.2ポイントへ少し縮みました。夏の3か月で、心配の場所が営業外から本業へ移った、と私は受け取りました。

のれんの償却が、夏にほとんど増えていない

前の記事では、第1四半期ののれん償却額を5億7,400万円と書きました。中間のキャッシュ・フロー計算書では、半年分で7億4,100万円です。引くと、夏の3か月は1億6,700万円しかありません。……これは変だ。

注記に手がかりがありました。デイトナ・インターナショナルを買ったときに仮で済ませていた会計処理が、この半年で確定しています。のれんは102億1,600万円減り、代わりにのれん以外の無形固定資産が157億100万円増えました。減価償却費も、前年同期の15億7,300万円から23億5,200万円へ増えています。

のれんとして償却していた分の一部が、別の無形資産の償却に移ったのだと考えています。前の記事の、のれんの金額を使った説明は、確定前の数字に基づいたものでした。

自社株買いと配当は、借りたお金で払った

前の記事では、計算書が無かったので、現金の減り方のうち自社株買いがどこまでかを切り分けられませんでした。中間決算にはキャッシュ・フロー計算書があります。

上期
営業活動によるキャッシュ・フロー77億8,100万円
うち法人税等の還付額32億300万円
投資活動によるキャッシュ・フロー△75億8,600万円
うち子会社株式の取得△43億4,200万円
短期借入金の純増減額102億7,100万円
長期借入金の返済△29億3,100万円
自己株式の取得△29億9,900万円
配当金の支払額△23億6,300万円

営業と投資を足すと、残るのは1億9,500万円ほどです。東洋エンタープライズの買収と店や設備への支出で、ほぼ使い切っています。自社株買いと配当を合わせた53億6,200万円は、短期の借入で払った形です。

しかも、営業の数字には税金の還付が入っています。前年の同じ半年は、税金を75億700万円払って、営業キャッシュ・フローがマイナスでした。還付が何の分なのかは、短信には書かれていません。営業と投資の合計1億9,500万円から、還付の32億300万円を引いてみました。私の足し算では、30億円ほどのマイナスになります。

会社は、6月からの天候を挙げています

会社は短信の中で、春は記録的に暖かく、春物が早く動いたと書いています。一方で6月以降は天候が安定せず、夏物の需要に大きく響いたそうです。良い材料には実質賃金の改善とインバウンドの客単価の上昇を、悪い材料には円安と物価高による生活防衛の意識を挙げています。

ブランド別では、メンズが引き続き売上を引っ張り、ウィメンズの主力も持ち直しています。「mix.tokyo」は前年同期から2割を超える増収です。

夏が予定より悪かった理由として、天候の説明はそのまま受け取ります。ただ、為替の悪化は天候では説明できません。輸入ブランドの採算がどこまで下がったのかは、ブランド別の数字が短信に無いので確かめられませんでした。通期予想は、4月10日に出したものから変えていません。

下期に、営業利益65億円が要る

上期 実績通期 会社予想進み具合下期に要る額前年の下期比
売上高889億500万円2,000億円44.5%1,110億9,500万円+10.1%
営業利益9億9,500万円75億円13.3%65億500万円+76.9%
経常利益19億2,900万円72億円26.8%52億7,100万円+28.7%
純利益11億1,700万円77億円14.5%65億8,300万円+152.8%

右の3列は、上期の実績と通期の会社予想、前年の数字から私が出したものです。

下期には、営業利益で前年の下期より8割近く多く稼ぐことが前提になっています。上乗せとしては、7月末に買った東洋エンタープライズがあります。今回は貸借対照表だけの連結で、損益に入るのは下期からです。

予想の並びには、利益の出どころを示すものがもう一つあります。純利益の予想77億円は、経常利益の予想72億円より大きいのです。税金を払ったあとの利益が経常利益を上回るには、下期に大きな特別利益が必要です。上期の特別利益は2億6,600万円でした。下期に何を見込んでいるのかは、決算短信には書かれていません。

心配の場所が、本業に移りました

私は、下期の営業利益65億円は重いと考えています。理由は、夏の3か月が会社自身の予定より悪く終わったのに、予想が変わっていないからです。

自社株買いと配当を借入で払っていることも、頭の片隅に置いておきます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.tsi-holdings.com/pdf/261014_ZENBUN.pdf

純利益の予想が経常利益の予想を上回るほどの特別利益を、下期に何で見込んでいるのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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