ファーストブラザーズ(3454)2026年11月期 第3四半期決算分析――前半で稼ぐ年と読みました

ファーストブラザーズ(3454)2026年11月期 第3四半期決算分析――前半で稼ぐ年と読みました 日本株

はじめに

ファーストブラザーズは、自分のお金で賃貸用の建物を買い、手を入れて貸す会社です。値打ちが高まったところで、別の投資家に譲ります。狙うのは都心の大型ビルではありません。件数の多い中小型の物件で、首都圏の外にも買いに行っています。

入居している人から見れば、ただの大家さんです。その建物を最後に引き取るのは、家賃収入が欲しい投資家です。

ほかに、投資家のお金を預かって大型の不動産を運用する仕事と、ホテルや旅館を切り盛りする仕事があります。建物と一緒に引き継いだ、飲み物を醸造する小さな事業まで抱えています。地域のために残した、と短信にあります。

下の段ほど伸びが大きい9か月

10月9日に出た第3四半期決算です。12月から8月までの9か月を並べます。

今回前年同期増減率
売上高127億8,200万円103億1,400万円+23.9%
営業利益29億3,900万円15億7,700万円+86.3%
経常利益23億800万円9億2,500万円+149.5%
純利益25億5,400万円6億5,900万円+287.2%

純利益が経常利益より大きい決算です。普通は逆なので、そこから調べ始めました。

利益の3分の1は、長く持っていた物件の売却益

純利益を押し上げたのは、特別利益に入った固定資産売却益11億7,400万円です。前年の同じ時期は1億5,137万円でした。

税金を引く前の利益は34億7,998万円です。そのうち3分の1ほどがこの売却益です。11億7,400万円を34億7,998万円で割って出しました。

引っかかったのは、売った物件の帳簿上の置き場所です。この会社の本業で扱う物件は、貸借対照表の「販売用不動産」に入っています。それを譲れば売上になります。今回の11億7,400万円は、そちらの話ではありませんでした。

短信の4ページ目によると、長期保有のつもりで固定資産にしていた賃貸不動産を手放した利益です。貸借対照表でも、土地が16億5,800万円減っています。持ち続けるはずだった物件を、この期に譲ったことになります。

本業の利益の4分の1が、利息に消えている

営業利益から経常利益まで、6億円ほど減っています。中身はほとんど支払利息です。

前年同期今回
営業利益15億7,700万円29億3,900万円
支払利息5億9,246万円7億542万円
経常利益9億2,500万円23億800万円

利息は前年より2割近く増えました。営業利益の4分の1ほどにあたります。これは利息を営業利益で割って出した数字です。

借りたお金で建物を持つ商売なので、利息は原価に近いものです。長期借入金は514億2,176万円あります。会社は、借入の基準になる短期の金利は上昇傾向にあるが、ペースは落ち着いてきた、と書いています。現時点で大きな影響は出ていない、とも書いています。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

私はいつもキャッシュ・フロー計算書から確かめます。今回は短信の10ページ目に「作成しておりません」とあり、減価償却費とのれんの償却額の2行だけでした。……ここで終わりか。

第3四半期は作らなくてよい決まりなので、ここだけの話ではありません。ただ、不動産を回す会社ほど、利益と現金の動きがずれます。物件を買えばお金が出ていき、譲るまで利益になりません。

代わりに貸借対照表を、期首の11月末と8月末で並べました。

2025年11月末2026年8月末
現金及び預金68億3,034万円75億9,942万円
販売用不動産463億495万円462億2,963万円
土地128億4,783万円111億8,941万円
長期借入金536億418万円514億2,176万円

現金が増えて、借入が減っています。固定資産を譲ったお金を返済に回したのかもしれません。

販売用不動産の残高は、ほとんど動いていません。9か月の売上原価は80億1,763万円あります。原価の分だけ物件が出ていったのに残高が変わらないのは、同じくらいの額を買い直しているからだ、と私は考えました。何にいくら払ったのかは、この短信では確かめられません。

会社はどう説明しているか

会社は短信の4ページ目でこう書いています。物件の売却が第2四半期までに集中したので、6月から8月の3か月は利益が相対的に低い。業績は売却の時期で大きく振れるので、計画は1年単位で立てて管理している。

この説明は、そのまま受け取ります。理由は、通期予想を1月9日に出したまま一度も変えていないからです。売却が前半に固まることを最初から計画に組み込んでいたなら、8月末までに純利益が積み上がっているのは計画どおりです。

留保が1つあります。短信にあるのは9か月の累計だけで、6月から8月の3か月が単独でどれだけ低かったのかは、ここにある数字からは出せません。表紙には「決算補足説明資料作成の有無:有」とあります。そちらに四半期ごとの数字があるのかもしれませんが、私はまだ読んでいません。

ファンドの仕事のほうは、主体的に組成するファンドでの新規取得はなかった、と書かれています。売上は9,100万円と小さく、全体を動かす話ではありません。

経常利益は残り3か月で6億円、純利益は6,600万円

9か月の実績通期予想残り3か月
売上高127億8,200万円177億3,000万円約49億4,800万円
営業利益29億3,900万円41億5,000万円約12億1,100万円
経常利益23億800万円29億2,000万円約6億1,200万円
純利益25億5,400万円26億2,000万円約6,600万円

約の付いた数字は、通期予想から9か月の実績を引いて出したものです。

純利益は通期予想のほぼ全部、売上と営業利益は7割ほどまで来ています。残り3か月の営業利益は、前年の同じ時期より3分の2以上減る計画です。

いちばん引っかかったのは下の2行です。経常利益は残りが6億1,200万円あるのに、純利益の残りは6,600万円しかありません。売却益は9か月のうちに出ています。残り3か月の6億円の経常利益から税金を引いても、6,600万円までは減りません。

1月の予想を、売却益が積み上がったあとも直していない形に見えます。なぜこの差をそのままにしているのかは、決算短信には書かれていません。

私はどう読んだか

この9か月は、計画どおりに前半で物件を譲った結果だと考えています。勢いがついたのではなく、売却の時期が前半に偏っただけです。理由は、会社が1月から予想を変えていないこと、そして譲ったあとの財務の動きが素直だからです。自己資本比率は29.1%から31.8%になり、借入は減りました。

その見方で言うと、純利益の予想は控えめなまま残してある、と私は読みました。経常利益の予想どおりに残り3か月を積めば、純利益は予想を超える計算になります。

心配性として気になるのは2つです。利息が増え続けていること、そして現金の動きをこの短信では追えないことです。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算資料(アーカイブ)|ファーストブラザーズ株式会社
ファーストブラザーズ株式会社の過去のI決算情報を掲載しています。

6月から8月の3か月だけの利益も、経常利益と純利益の予想の差をそのままにしている理由も、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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