福山通運(9075)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置いた上期予想が腑に落ちない

福山通運(9075)2027年3月期 第1四半期決算分析――据え置いた上期予想が腑に落ちない 決算を読む

会社から会社へ、小口の荷物を全国に運ぶ会社

福山通運は、路線トラックの会社です。家に届く宅配便ではなく、会社から会社へ送られる荷物が中心です。たとえば、メーカーが問屋へ送る段ボール数箱や、工場へ届く部品の小箱です。トラック1台を借り切るほどではない量を何社分も集め、拠点から拠点へ夜のうちに運び、翌日に届け先の近くで配ります。

荷主の側から見ると、自前のトラックを持たなくても全国へ出荷できる仕組みです。製造業の出荷担当には、毎日の足のようなものです。ほかにも、1台を丸ごと貸す貸切便、倉庫で荷物を預かって出荷まで面倒を見る流通加工、タイとマレーシアの間などを走る国際輸送を手がけています。

4〜6月の営業利益は2倍を超えました

2026年8月6日に出た、4月から6月までの第1四半期決算です。

今回前年同期増減率
売上高842億7,900万円774億5,400万円+8.8%
営業利益55億2,700万円25億4,800万円+116.9%
経常利益60億500万円33億3,600万円+80.0%
純利益44億4,800万円27億1,900万円+63.6%

売上は1割弱の伸びなのに、営業利益は倍以上です。この差がどこから来たのかを探しに、後ろのページへ進みました。

運賃の見直しは、粗利にはっきり出ていました

添付資料6ページの損益計算書から見ます。売上は前年より68億2,500万円増えました。一方で、売上原価の増加は35億700万円にとどまっています。売上総利益、つまり粗利は49億7,900万円から82億9,800万円へ増えました。増えた売上の半分ほどが、原価に消えずに残った計算です。

どの事業で起きたのかは、添付資料9ページのセグメント表で分かります。

事業売上の伸び前年の利益今回の利益
運送+6.1%19億6,400万円44億8,900万円
貸切+14.0%5億600万円7億3,500万円
流通加工+7.5%9億2,500万円10億7,200万円
国際+64.2%8,400万円2億2,400万円

運送事業は、売上が6%ほどしか伸びていないのに利益が2倍を超えています。貸切と流通加工も利益の伸びが売上を上回りますが、金額で効いているのは運送事業です。利益の増え方のほとんどが、ここで説明できます。

利益が倍になっても、現金の入りは前年並みでした

添付資料7ページのキャッシュ・フロー計算書で、少し引っかかりました。営業活動によるキャッシュ・フローは90億4,400万円で、前年の95億7,900万円をわずかに下回っています。

中身を見ると、理由は支払いの時期でした。法人税等の支払額が44億2,600万円と、前年より9億円近く多くなっています。未払消費税等の増減も、前年はプラス21億9,400万円、今年はマイナス2億6,000万円です。受取手形及び売掛金はむしろ減っているので、売上が現金にならずに溜まっている形ではありません。

もう一つ、設備への支出が小さい四半期でした。有形固定資産の取得は27億4,500万円で、前年の61億7,900万円の半分以下です。減価償却費の47億300万円も下回っています。ただ、1四半期で判断できる話ではありません。

会社は「適正運賃の収受」と書いています

添付資料2ページの説明文によると、運送事業では前期に新規顧客の獲得とシェアの拡大で量を伸ばしました。そのうえで今期は、荷物を輸送形態に応じて5つのカテゴリーに分け、適正運賃の収受に取り組んだとあります。去年は量を取りにいき、今年は値段を取りにいった、という順番です。

この説明は粗利の動きと合っているので、そのまま受け取ります。ただ、決算短信には書かれていないこともあります。5つのカテゴリーの中身と、運賃をどれだけ上げたか、そのぶん荷物の数が減ったかどうかです。

山陰地方の組み直しもありました。セイノーホールディングスとの合弁会社「TGL山陰」を2026年4月に設立し、山陰福山通運が連結から外れています。有形固定資産が37億4,700万円減った理由として、会社は連結範囲の変更などを挙げています。

7月から9月の見込みが、前年の6分の1です

通期予想への進み具合です。

通期予想4〜6月進み具合
売上高3,346億円842億7,900万円25.2%
営業利益125億円55億2,700万円44.2%
経常利益137億円60億500万円43.8%
純利益170億円44億4,800万円26.2%

売上は4分の1で、ちょうど予定どおりです。営業利益は、3か月で通期の半分近くまで来ています。

上期の予想と並べると、この決算の変わったところがはっきりします。

営業利益4〜6月7〜9月上期累計
前年 実績25億4,800万円約10億6,400万円約36億1,200万円
今年(4〜6月は実績)55億2,700万円1億7,300万円57億円

約の付いた数字は私の計算です。表紙に、上期予想の57億円は前年より57.8%多いとあるので、そこから前年の上期を逆算し、4〜6月の実績を引きました。今年の7〜9月は、57億円から55億2,700万円を引きました。

……1億7,300万円。前年の同じ3か月の6分の1だ。

添付資料3ページには、5月14日に出した予想から変更はないとあります。5月14日は、この四半期のちょうど半ばです。会社は6月末までを見終え、55億円と分かったあとも、上期57億円を動かしませんでした。

通期の純利益予想も気になります。予想の純利益は170億円です。経常利益の予想は137億円なので、それより33億円大きい数字です。純利益が経常利益を上回るには、大きな特別利益が要ります。上期の予想は純利益55億円、経常利益62億円で、純利益のほうが小さいままです。つまり、その特別利益は下期に見込んでいる形です。理由は決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、そちらに説明があるのかもしれませんが、私はまだ目を通していません。

予想は5月のまま、という見方をしています

予想が古いまま残っているのか、7月以降に悪い材料を見込んでいるのか。私は前者の見方をしています。理由は、増えた利益が営業外や特別利益ではなく、運送事業の粗利から生まれているからです。運賃の見直しは、3か月で元に戻る種類のものではありません。

とはいえ、1億7,300万円は低すぎます。前年も7〜9月は4〜6月の半分以下だったので、夏場に利益が落ちる形があるのは数字から分かります。それでも6分の1です。心配性なので、この差は頭の片隅に残しておきます。上がるかは知りません。

出典

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260806/140120260806511184.pdf

7月から9月をここまで低く見込む理由と、下期に入る特別利益の中身は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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