リゾートトラスト(4681)決算分析――営業利益8割増の四半期に、キャッシュ・フロー計算書が無かった

8月12日に決算を発表したリゾートトラスト(4681)――営業利益8割増の四半期に、キャッシュ・フロー計算書が無かった 決算を読む

はじめに

リゾートトラストは、会員制リゾートホテルの会社です。ホテルを一棟建てて、その部屋を使う権利を「会員権」として売る。買った人は、自分の別荘を持つ代わりに、全国のホテルを別荘のように使えます。1室を複数の会員で分け合う仕組みなので、別荘を丸ごと買うよりずっと安い。買うのは、余裕のある個人や、福利厚生に使う法人です。

もうひとつの柱が医療で、会員制の人間ドックを運営しています。高い会費を払って、精密な検診を毎年受ける。ホテルの会員と客層が重なる商売です。

つまりこの会社は「先にお金を預かって、あとからサービスを返す」商売を、ホテルと医療の両方でやっています。この構造が、今回の決算の読み方をややこしくも、面白くもしていました。

この決算で何が起きたか

第1四半期として過去最高の売上高・営業利益だった、と会社は書いています。

項目今回前年同期増減率
売上高61,26152,796+16.0%
営業利益8,1164,548+78.4%
経常利益8,0344,504+78.4%
純利益5,4673,053+79.1%

(単位:百万円)

売上が16%伸びて、利益は8割近く増えました。営業利益率は前年同期の8.6%から13.2%へ。……8割増か。いや、この会社の四半期でこの数字は、そのまま受け取ってはいけない気がする。理由は下に書きます。

最初の表では分からなかったこと

キャッシュ・フロー計算書が、そもそも無い

13ページ目の注記にこうあります。「当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」。第1四半期にCF計算書を作らない会社は珍しくなく、制度上の問題もありません。ただ、利益が8割増えた四半期に、現金がどう動いたかを確かめる書類が無い。私にとっては、ここがこの短信のいちばんの空白でした。

代わりに貸借対照表を見ました。前受金が107,803百万円から113,343百万円へ、5,540百万円増えています。会社は「未開業物件のホテル会員権販売が増加したことに伴い」と書いています。まだ開いていないホテルの会員権が売れて、現金だけ先に入ってきている。この商売は、お金が先に入る側の商売です。

一方で、短期借入金が7,852百万円増え、仕掛販売用不動産が8,787百万円、建設仮勘定が5,905百万円増えています(いずれも会社が印字した増加額です)。借りて、建てている。開発が先行する局面だということも、同じ貸借対照表に出ています。

8割増の正体は、会計のタイミング

4ページ目の説明文を読むと、利益急増のからくりが書いてあります。この会社では、未開業ホテルの会員権を売っても、代金のうち不動産代金は開業時まで収益に計上されません。前年同期は未開業ホテル(金沢・淡路島)の販売が中心だったので、売れても利益が繰延べられた。今期は既存ホテルの会員権販売が集中したので、売れた分がそのまま利益になった。つまり前年と今年で、売れ方ではなく「利益になるタイミング」が違います。

会社はこの歪みを均すために「評価営業利益」という自前の指標を出しています。繰延べられた利益を当期間に計上したと仮定した数字です。これが前年同期の7,871百万円から10,583百万円へ、+34.5%。8割増ではなく3割強の増加――これが会社自身の言う実力値です。それでも十分に強い数字だと思います。

3つの事業が全部増収増益

セグメント売上高増減率利益増減率
会員権事業18,892+46.8%6,920+72.7%
ホテルレストラン等27,476+5.0%1,093+20.6%
メディカル14,701+8.3%2,218+21.8%

(単位:百万円)

会員権の派手さに目が行きますが、私が引っかかったのはメディカルのほうです。会員の増加に伴う年会費収入の積み上がり、と会社は書いています。会費収入は、いったん積み上がると毎年入り続けます。四半期ごとに振れる会員権販売の隣に、振れない収入が育っている。地味ですが、こちらのほうが長い話です。

会社はどう説明しているか

会社は、価格改定、日光の新ホテルの通期稼働、6月に募集を始めた外房雀島の新規発売効果、人件費増を吸収した生産性向上、を増益の理由に挙げています。読んだ限り、説明と数字の間に不自然な隙間はありません。ただし「既存ホテルの販売が集中したことで会計上の収益性が向上した」と会社自身が書いている以上、この四半期の利益率13.2%が続く前提では読めません。集中は、次の四半期には集中しないかもしれない。

通期予想に対して、どこまで来ているか

項目通期予想進捗率
売上高255,00024.0%
営業利益31,00026.2%
純利益21,00026.0%

(単位:百万円。予想は会社発表、修正なし)

進み具合は4分の1を少し超えたところで、この時期の目安どおりです。ただ、通期予想から今回の実績を引き算すると(これは私が引き算したのではなく、機械が出した数字ですが)、残り9ヶ月の純利益は前年の同じ9ヶ月より1割強減る置き方になっています。派手な第1四半期のあとに、静かな9ヶ月を会社は置いている。通期売上を前年比3.0%減としているのも、「開業するホテルの物件規模の影響」と説明されています。2027年3月に八ヶ岳が開業し、繰延べられてきた不動産収益がそこで一括計上される。期末に山が来る設計です。

私はどう読んだか

私は良いほうに寄せて読んでいます。理由は、前受金です。利益の8割増は会計のタイミングの産物ですが、前受金の5,540百万円の増加は、まだ利益になっていない販売が現金として先に入ってきた跡です。繰延べの仕組みは、利益を隠すことはあっても、前受金を膨らませることまではできません。売れているから、預かりが増える。

ただし、CF計算書が無い以上、現金の全体の出入りは確かめられていません。借入も増えています。私の読み違いかもしれません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.resorttrust.co.jp/ir/cms/wp-content/uploads/tanshin20260812.pdf

営業キャッシュ・フローの実額は、四半期のCF計算書が作成されていないため読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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