企業や役所の仕組みを、作って動かし続ける会社
日鉄ソリューションズは、企業や役所が毎日の仕事に使う業務システムを請け負って作る会社です。何を仕組みにするかの相談から始めて、ソフトウェアを書き、使う機器を選びます。出来上がったあとの運用と保守まで受け持ちます。
親会社は日本製鉄で、鉄鋼の仕事もあります。ただ、顧客はそれ以外にも広がっています。自動車、化学、食品、鉄道といった製造業のほか、小売、金融、官公庁の仕事もしています。
使う側がこの会社の名前を目にすることは、まずありません。工場の生産の段取りや保険会社の契約の処理、役所の手続きの裏側で、この会社が作ったものが動いていたりします。
上期は売上も利益も、前年を上回りました
11月2日に出た中間決算です。売上収益は1割を超えて伸び、営業利益は3割近く増えました。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高(売上収益) | 1,989億7,800万円 | 1,783億7,500万円 | +11.6% |
| 営業利益 | 232億900万円 | 182億7,200万円 | +27.0% |
| 経常利益 | ― | ― | ― |
| 純利益 | 148億5,700万円 | 120億700万円 | +23.7% |
この会社は国際会計基準(IFRS)を使っているので、経常利益の欄がありません。近いのは税引前中間利益です。237億2,800万円で、前年同期から4分の1ほど増えています。純利益の行は、親会社の所有者に帰属する中間利益です。
営業キャッシュ・フローの改善は、税金の払いと戻りの差でした
短信の13ページ目、キャッシュ・フロー計算書を開くと、営業活動によるキャッシュ・フローの合計がまず目に入ります。前年同期は出金超でしたが、今回は312億3,500万円の入金超です。増益で、現金も大きく増えています。きれいな話に見えました。
引っかかったのは、その少し上にある「小計」の行です。税金や利息をやり取りする前の段階で区切った数字で、これが前年同期より減っています。
| 営業キャッシュ・フローの内訳 | 前年同期 | 今回 |
|---|---|---|
| 小計 | 225億1,200万円 | 213億6,400万円 |
| 法人所得税の支払額又は還付額 | △303億6,900万円 | 91億8,000万円 |
| 和解金の支払額 | △50億円 | ― |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △122億9,900万円 | 312億3,500万円 |
表の数字は、すべて短信のキャッシュ・フロー計算書から取っています。
……いや、これは税金の話だ。前年同期は法人所得税を303億6,900万円払い、今回は逆に91億8,000万円が戻ってきています。2つを足すと、この行だけで両期の差は395億4,900万円です。営業キャッシュ・フロー全体の改善435億3,400万円は、大半がこの1行で説明できます。
前年同期には、和解金50億円の支払いもありました。何の和解金なのかは、短信には書かれていません。
貸借対照表も、この動きと合っています。その他の流動資産は、前期末の184億4,300万円から58億9,100万円まで減りました。説明会資料は、3月末に計上していた未収還付税127億円が戻ったためだと書いています。
小計を押し下げたのは、作りかけの案件です
小計が減った理由は、契約資産の増加です。契約資産とは、仕事は進んでいるのにまだ請求していない分の売上のことです。前期末の313億4,100万円から、9月末には403億6,900万円へ増えました。キャッシュ・フロー計算書では、90億3,300万円の出金として効いています。
この科目は、増えると現金化が遅れているように見えるので、心配の種にもなります。説明会資料によると、下期に売上を計上する予定の進行中案件が積み上がったものです。同じ資料には、9月末の受注残高が前年同期より2割近く多いとも出ています。作りかけの仕事が増えたことと受注残の伸びは食い違わないので、私はこの説明を受け取ります。
増えた売上の6割は、防衛の大型案件を含む区分から
短信のセグメント情報は「単一セグメント」で、事業ごとの利益は載っていません。それでも、4〜5ページ目の会社の説明文には、2つの区分の売上が書かれています。
| 区分 | 今回 | 前年同期 | 増加額 |
|---|---|---|---|
| ビジネスソリューション | 1,434億400万円 | 1,350億7,200万円 | 83億3,200万円 |
| コンサルティング&デジタルサービス | 555億7,400万円 | 433億200万円 | 122億7,100万円 |
コンサルティング&デジタルサービスの増加額122億7,100万円を、全体の増収206億300万円で割ると、6割近くになります。この区分の伸びについて、短信は「防衛分野の大型案件が大きく寄与した」と書いています。
利益で比べると、偏りはもっと大きくなります。説明会資料の数字ですが、この区分の営業利益は前年同期より55億円増えていて、全社の増益49億円を上回ります。裏返すと、それ以外の区分は合わせて少し減益でした。
説明会資料はこの案件を「官公庁向け大型案件」と呼んでいて、売上への寄与を111億円としています。短信は防衛、説明会資料は官公庁と、呼び方が違います。同じ案件を指しているのだと思います。
手元の現金の9割近くは、親会社に預けてあります
9月末の現金及び現金同等物は1,273億6,800万円です。短信の6ページ目に断り書きがあります。このうち1,144億5,100万円は日本製鉄のキャッシュマネージメントシステムへの預け入れで、現金同等物に含めて表示している、と書いてあります。
自分の金庫にあるのは1割ほどです。この会社の手元資金は、親会社の資金管理と一体で動いている、と私は読みました。
会社は粗利率の改善を理由に挙げています
短信4ページ目の説明はこうです。中期経営計画の施策で販売費及び一般管理費は増えたが、増収と売上総利益率の改善で売上総利益が増え、増益になった、と書いています。
損益計算書でも、売上総利益は77億4,100万円増え、販売費及び一般管理費の増加は27億7,700万円にとどまっています。説明は数字と合っているので、そのまま受け取ります。
留保が1つあります。粗利率の改善のうち、前年7月に連結したインフォコムによる分がどれだけかは、短信の文章からは分かりません。説明会資料の内訳では、改善分の半分がインフォコムの効果で、案件の中身による改善は4分の1ほどです。
下期の営業利益は、前年の下期とほぼ同じ見込みです
今回、通期予想の営業利益を5億円、純利益を1億円引き上げました。売上収益の予想は据え置きです。
| 項目 | 通期予想 | 上期実績 | 下期の残り | 前年の下期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,190億円 | 1,989億7,800万円 | 約2,200億2,200万円 | 約2,029億6,500万円 |
| 営業利益 | 490億円 | 232億900万円 | 約257億9,100万円 | 約259億7,000万円 |
| 純利益 | 324億円 | 148億5,700万円 | 約175億4,300万円 | 約188億2,500万円 |
約の付いた数字は、通期の数字から上期の数字を引いた私の引き算です。前年の通期実績は、短信6ページ目の数字を使いました。
営業利益の上期実績は232億900万円です。これを予想の490億円で割ると、47%ほどです。半分の少し手前まで来ています。
気になるのは下期の中身です。売上は前年の下期より1割近く多く見込んでいるのに、営業利益は前年の下期とほぼ同じで、純利益は前年の下期を下回る見込みです。説明会資料には、上期に使う予定だった販管費のうち10億円が下期にずれた、とあります。それで説明できるのは一部です。
利益は本業から出ていて、現金の伸びは税金の戻りが大きい
私は、利益は本物で、現金の伸びは割り引いて受け取るべきだと考えています。理由は、増益のもとが売上総利益の増加という本業の数字で確かめられる一方、営業キャッシュ・フローの改善は大半が税金の払いと戻りの差で説明できるからです。
心配性なので、増益が一つの区分に集まっていることは頭の片隅に置いておきます。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)

前期末に127億円もの税金の還付を受ける形になっていた理由は、短信と説明会資料からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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