アークス(9948)2027年2月期 中間決算分析――営業CFの「その他」が気になりました

アークス(9948)2027年2月期 中間決算分析――営業CFの「その他」が気になりました 日本株

はじめに

アークスは、北海道を地盤にした食品スーパーのグループです。持株会社の下に、札幌、道内の各地方、東北、北関東と、地域ごとのスーパー会社が並んでいます。売っているのは野菜、魚、肉、惣菜、牛乳やパンです。仕事帰りに夕飯の材料を買いに寄る、あの店です。

扱う品は、どの家庭も毎日買うものです。そのため、値上げが続いた半年に客がどう動いたかが、ほとんどそのまま数字に出ます。今回読んだのは、2026年10月13日に出た中間決算の短信です。

増収なのに、営業利益は少し減りました

今回前年同期増減率
売上高3,186億8,500万円3,136億9,300万円+1.6%
営業利益77億6,600万円79億8,100万円-2.7%
経常利益85億1,700万円87億5,800万円-2.7%
純利益53億7,500万円57億1,300万円-5.9%

売上は増えて、利益は全段で少しずつ減っています。表だけなら「静かな減益」で終わる決算です。

減益幅を小さく見せていた、退職給付費用

販管費の内訳を前年と並べていて、引っかかった行があります。退職給付費用です。前年同期の4億5,500万円から、今回は1億1,200万円へ下がっていました。前年の4分の1ほどの金額です。

一方で、給料及び手当は293億3,200万円から307億600万円へ増えています。増えた額は13億7,400万円です。人の費用は重くなっているのに、退職給付の行だけが軽くなっている形です。

仮に退職給付費用が前年と同じ4億5,500万円だったとします。費用が増えた分だけ、利益は減ります。前年と今回の退職給付費用の差は3億4,300万円です。今回の営業利益77億6,600万円からこれを引くと、74億2,300万円になります。前年の79億8,100万円との差は5億5,800万円です。減益幅は表の2倍以上になる、というのが私の引き算です。

なぜ退職給付費用がこれだけ下がったのかは、短信には書かれていません。補足説明資料の販管費の表にも、金額と前年比が並ぶだけでした。

営業CFの減り方を、行ごとに分けました

営業キャッシュ・フローは、228億7,800万円から144億8,000万円へ、4割近く減っています。会社は短信の4ページ目で、減った理由に「未払消費税等の減少」「法人税等の支払額の増加」「仕入債務の減少」の3つを挙げています。

その3つを含めて、前年との差が大きい行を並べました。

営業CFの行前年同期今回前年との差
その他40億2,000万円9億9,400万円約△30億2,600万円
未払消費税等の増減5億6,300万円△8億6,800万円約△14億3,100万円
法人税等の支払額△22億9,400万円△35億9,700万円約△13億300万円
仕入債務の増減72億2,200万円64億300万円約△8億1,900万円
営業CF合計228億7,800万円144億8,000万円約△83億9,800万円

約の付いた数字は、短信のキャッシュ・フロー計算書の前年と今回を私が引いたものです。

……いちばん大きいのは、会社が挙げていない「その他」でした。30億2,600万円の差は、法人税と消費税の2行を足した27億3,400万円より大きい金額です。この行に何が入っているのか、内訳は短信にも、補足説明資料のキャッシュ・フローの表にもありませんでした。

挙げられた3つが間違っているわけではありません。どれも本当に減っています。ただ、83億9,800万円の減少のうち30億2,600万円は「その他」です。減った分の3分の1以上は、説明の外側にあります。

会社はどう説明しているか

短信の説明文には、客の動きがかなり細かく書かれています。

既存店(前年同期比)
既存店売上高+1.4%
客数-0.6%
一点単価+2.9%
一人当たり買上点数-0.8%
客単価+2.0%

客数は6月から8月まで3か月続けて前年を下回った、と会社自身が書いています。品物の値段が上がり、買う点数と来店の回数が少し減った。それでも単価の上がり方が勝って、売上は前年を上回りました。

利益については、粗利率が原材料費や資材価格の高騰で0.1ポイント下がった、と説明しています。費用の側では電気料を2億8,000万円減らし、売上に対する販管費の比率を前年並みに抑えた、とあります。

この説明は数字と合っています。水道光熱費は63億5,600万円から60億4,400万円へ下がっていました。ただ、「販管費の比率が前年並み」には、先ほどの退職給付費用の下げも入っています。電気料の削減より大きい金額です。そこには触れていないので、私は留保を付けて受け取りました。

通期予想には、下期の増益が要ります

営業利益金額
通期予想180億円
上期の実績77億6,600万円
下期に必要な額102億3,400万円

通期予想の180億円から、上期の77億6,600万円を引きます。下期に要るのは102億3,400万円です。前年の下期より6%ほど多い額で、上期はマイナス2.7%でした。進み具合は通期予想の4割強で、半分には届いていません。

第1四半期の営業利益は41億400万円でした。上期の77億6,600万円から引くと、6月から8月の3か月は36億6,200万円です。客数が減り続けたと書かれている3か月と、ちょうど重なっています。会社は予想を変えていません。

私はどう読んだか

営業CFの減少は、税金の払い方や消費税の時期のずれによる分が大きいです。本業が現金を生まなくなったとは考えていません。手元の資金は891億8,200万円あり、借入金も減っています。財務の心配は小さいです。

それより、損益の側は表の数字より弱い、と私は判断しています。理由は、退職給付費用の減少を戻すと減益幅が2倍以上になり、そのうえ直近の3か月で客数が減り続けていたからです。単価の上昇で売上は守れていますが、利益を守った分には、本業の外から来た助けが混じっています。

上がるかは知りません。下期に6%の増益をどう作るのかは、次の短信で確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.arcs-g.co.jp/vc-files/arcs-g/ir/pdf/2026/arcs_202702-2qfinancialsummary_2026101302.pdf

営業CFの「その他」で30億円あまり減った中身と、退職給付費用が下がった理由は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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