レーザーテック(6920)2027年6月期 第1四半期決算分析――減収は時期の問題と読みました

レーザーテック(6920)2027年6月期 第1四半期決算分析――減収は時期の問題と読みました 日本株

半導体の「原板」に欠陥がないかを確かめる装置

半導体は、シリコンの板に回路を焼き付けて作ります。そのとき光を通す原板がマスクです。写真でいえばネガにあたります。ネガに小さな傷やごみが一つあると、そこから焼いた半導体のすべてに同じ欠陥が写ります。

この会社は、そのマスクと、マスクになる前の材料の板を検査する装置を作っています。欠陥を探す装置です。買うのは半導体メーカーやマスクを作る会社で、回路をいちばん細かく焼く EUV という工程向けの検査装置も扱っています。

短信の説明文には、AIデータセンター向けの投資や、HBM という高速なメモリの名前が出てきます。生成AIのサーバーに載る半導体を作る現場で、最初の工程の品質を受け持つ会社、と私は理解しています。

この決算で何が起きたか

10月30日に出た第1四半期決算です。7月から9月の3か月分になります。

今回前年同期増減率
売上高403億6,900万円541億7,100万円△25.5%
営業利益157億6,900万円267億2,800万円△41.0%
経常利益147億1,100万円271億4,100万円△45.8%
純利益107億3,400万円190億5,700万円△43.7%

表紙だけ見れば、売上が4分の1減り、利益は4割ほど減った決算です。ここで閉じれば、それで終わる話でした。

作った装置は、売れた装置の3倍近くあった

最後のページに、品目別の生産実績と販売実績が並んでいます。私はここで引っかかりました。

半導体関連装置前年同期今回
生産実績328億4,300万円723億2,600万円
販売実績417億5,200万円238億4,900万円

生産実績は販売価格で表示されている、と注記にあります。つまり売値に直して、この3か月で723億円分の装置を作ったことになります。前年同期の2倍を超えています。

一方、売上になった装置は4割以上減りました。

……作っているのに、売れていない。いや、売上にしていないだけだ。

貸借対照表の仕掛品は、期首の1,224億4,900万円から、9月末に1,380億5,000万円へ増えています。会社の説明文では156億円の増加です。作りかけ、またはお客様に引き渡す前の装置が積み上がっている形です。

在庫が増える決算は、ふつうは心配の種になります。今回そう考えなかった理由は、次の負債の側にあります。

お客様から先に受け取ったお金が、3か月で倍近くに

貸借対照表の負債に、前受金という科目があります。装置を引き渡す前に、お客様から受け取ったお金です。

期首9月末
前受金442億8,400万円870億7,500万円
仕掛品1,224億4,900万円1,380億5,000万円
現金及び預金915億300万円1,107億6,800万円

前受金は427億9,000万円増えました。お客様は、まだ受け取っていない装置にお金を払っています。売れない在庫が溜まっているのであれば、こうはなりません。

キャッシュ・フロー計算書も同じ向きを示しています。営業活動によるキャッシュ・フローは391億200万円の収入で、前年同期の59億3,700万円から大きく増えました。いちばん大きい収入は前受金の増加の435億7,700万円です。棚卸資産の増加176億9,600万円と、法人税の支払106億3,400万円を差し引いても、まだ余っています。

減益の四半期に、現金は増えている。中身は先払いのお金です。

自己資本比率は73.3%から65.4%に下がりました。これも前受金が負債に計上されたためで、借入は貸借対照表に見当たりません。配当金の支払176億5,700万円も、営業キャッシュ・フローの内側に収まっています。

費用の側で目に付いたのは、為替と販管費

経常利益は、営業利益より10億円ほど小さくなっています。損益計算書の営業外費用に、為替差損12億6,000万円が計上されているからです。前年同期は為替差益でした。

もう一つは販売費及び一般管理費です。60億7,900万円から82億6,600万円へ増えました。8,266から6,079を引くと、増えた額は21億8,700万円です。売上が減った四半期に、費用は増えています。

なぜ増えたのかは、決算短信には書かれていません。貸借対照表では賞与引当金と株式給付引当金が動いていて、人件費の計上時期が関係しているのかもしれません。ただ、そう書いてある箇所は見つけられませんでした。

売上の中身も少し変わりました。サービスの売上は160億1,100万円で、前年同期より3割増えています。装置が減った分の一部を、保守のほうが埋めた形です。地域別では、韓国と米国向けの装置が減り、台湾向けは増えています。

会社は「想定通り」と書いている

短信の4ページ目で、会社は売上について「概ね当初の想定通り進捗し」と書いています。前年同期比の減少は括弧の中に添えてあるだけです。

需要については「今期の受注見通しも従来の想定を上回るもの」と書いています。デバイスメーカーの設備投資計画は「さらに積極化しました」とも書いてあります。

前段の「想定通り」は、そのまま受け取ります。理由は、前受金と生産実績という、会社の言葉とは別の数字が同じことを示しているからです。

後段の受注見通しには、留保を付けます。受注額そのものは、決算短信には書かれていません。短信の表紙に決算補足説明資料と説明会の案内があるので、そちらに出ているのかもしれませんが、私はまだ開いていません。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は8月6日に出したものから変えていません。

通期予想今回進捗率残り9か月に必要な額
売上高2,900億円403億6,900万円13.9%2,496億3,100万円
営業利益1,250億円157億6,900万円12.6%1,092億3,100万円
純利益900億円107億3,400万円11.9%792億6,600万円

3か月で4分の1が目安だとすると、どの段もその半分ほどです。

前年と並べると、残り9か月の重さがはっきりします。前期の通期売上は2,304億8,500万円でした。そこから前年の第1四半期の541億7,100万円を引くと、前年の10月から6月は1,763億1,400万円です。今年の残り2,496億3,100万円は、その4割増しにあたります。これは私の引き算です。

前年に稼いだ9か月を、4割上回る前提で予想が組まれています。

私はどう読んだか

減収を需要の落ち込みと見るか、引き渡しの時期のずれと見るか。私は後者の見方をしています。

理由は、お客様が装置の代金を先に払い、会社が装置を倍以上作っているからです。需要が冷えた会社で、この2つが同時に起きることは考えにくい。損益計算書に出てこないだけで、仕事は増えています。

それでも、通期予想は残り9か月に大きく偏っています。積み上がった仕掛品が予定どおりの時期にお客様に引き渡され、売上に変わるかどうか。そこが崩れれば、この予想は動きます。為替の振れも、すでに一度利益を削りました。心配性なので、上振れよりそちらを先に見ています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

IR資料室 | レーザーテック株式会社
レーザーテックの「IR資料室」ページです。レーザーテックは「世の中にないものをつくり、世の中のためになるものをつくる」を経営理念とする研究開発に特化したファブライト企業。半導体・FPD向けをはじめとした検査・計測分野でソリューションを提供。

販管費が増えた理由と、今期の受注額は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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