関西電力(9503)2027年3月期 中間決算分析・続報――電気事業の利益がほぼ消えたと読みました

関西電力(9503)2027年3月期 中間決算分析・続報――電気事業の利益がほぼ消えたと読みました 日本株

はじめに

関西電力は、近畿一円の家庭や工場に電気を届けている会社です。発電所で電気をつくり、送電線と配電線でメーターの手前まで運び、毎月の料金を受け取るところまでを、グループの中で手がけています。夏の冷房も工場の生産ラインも、この会社の電気で動いている場面が多いはずです。

発電の中では原子力の比重が大きいのが特徴です。原発がどれだけ動いたかと、代わりに焚く燃料の値段が、そのまま損益に響きます。電気のほかに、ガスの販売、通信、データセンター、不動産の事業も持っています。

8月23日の前の記事では、7月31日に出た第1四半期決算を取り上げました。純利益を押し上げたのがきんでん株の売却益だったこと、売却代金が入ったはずの四半期に現金が減っていたことに引っかかりました。現金の行き先は、そのとき追いきれずに残した宿題です。

この決算で何が起きたか

2026年10月29日に出た中間決算短信で、4月から9月までの半年分です。

項目今回前年同期増減率
売上高2兆2,351億600万円2兆81億1,800万円+11.3%
営業利益832億2,500万円2,765億5,200万円-69.9%
経常利益1,115億5,000万円3,149億8,800万円-64.6%
純利益1,829億9,500万円2,329億3,100万円-21.4%

売上は1割増え、営業利益は7割減りました。第1四半期と同じ形が、半年分になっても崩れていません。

電気を売った収入と、かかった費用が、ほぼ同じ額だった

損益計算書(短信の7ページ目)は、営業収益と営業費用を、電気事業とその他の事業に分けて載せています。それぞれ収入から費用を引くと、次のようになります。

前年同期今回
電気事業営業収益1兆5,944億5,800万円1兆7,737億3,100万円
電気事業営業費用1兆3,941億4,100万円1兆7,706億7,100万円
電気事業の差し引き約2,003億1,700万円約30億6,000万円
その他事業の差し引き約762億3,600万円約801億6,600万円

約の付いた行は、短信の収益と費用から私が引いたものです。

電気事業は半年で1兆7,000億円を超える収入がありながら、手元に残ったのは30億6,000万円です。……ほとんど何も残っていない。

収入は前年同期より約1,792億円増えましたが、費用は約3,765億円増えています。費用の増え方が、収入の増え方の2倍です。半年の営業利益832億2,500万円は、ほぼ全部が電気以外の事業で稼いだ分ということになります。

前年は逆でした。電気事業が2,000億円を稼ぎ、その他の事業は800億円弱。損益の上で、主役と脇役が入れ替わっています。

7月から9月の3か月は、第1四半期より稼いでいる

前回の記事は4月から6月の3か月が対象でした。そこで今回の半年の数字から第1四半期を引いて、7月から9月だけを取り出します。

第1四半期7月〜9月上期累計
営業利益 前年1,289億4,900万円約1,476億300万円2,765億5,200万円
営業利益 今年203億7,100万円約628億5,400万円832億2,500万円
純利益 前年991億6,300万円約1,337億6,800万円2,329億3,100万円
純利益 今年1,370億6,100万円約459億3,400万円1,829億9,500万円

約の付いた数字は、上期累計から第1四半期を引いて出しました。

7月から9月の営業利益は、第1四半期の3倍あります。夏は電気がよく使われる時期なので、ここで増えること自体は前年も同じです。ただ、前年の同じ3か月と比べると、まだ半分に届いていません。

純利益は、7月から9月だけなら前年同期の3分の1ほどです。半年で2割減にとどまって見えるのは、第1四半期の売却益があるからです。

現金はさらに減り、この中間決算短信にもキャッシュ・フロー計算書は載っていない

前回の宿題に戻ります。短信3ページ目の目次を見ると、並んでいるのは貸借対照表と損益計算書、包括利益計算書です。この中間決算短信にも、キャッシュ・フロー計算書は載っていません。現金の行き先を直接たどる表は、今回も手に入りませんでした。

代わりに、貸借対照表(短信の5ページ目と6ページ目)で、3月末から大きく動いた行を並べます。

3月末9月末
現金及び預金7,374億1,100万円4,587億6,600万円
受取手形、売掛金及び契約資産4,392億4,100万円5,934億7,200万円
建設仮勘定及び除却仮勘定3,941億3,500万円5,565億900万円
関係会社長期投資7,761億4,700万円6,670億4,200万円
未払税金1,033億5,300万円527億6,000万円
1年以内に期限到来の固定負債6,316億1,000万円7,949億500万円

現金及び預金は、7,374億円から4,587億円へ減りました。差し引きで2,786億円ほどの減少です。第1四半期末の水準からも、さらに下がっています。

増えた側では、売掛金などと、工事中の設備を表す建設仮勘定が目立ちます。9月末は夏の電気代をまだ回収しきっていない時期なので、売掛金の増加には季節による差も入っているはずです。建設仮勘定のほうは、発電所や送電設備にお金を投じている途中だ、と私は受け取りました。税金の支払いで未払税金も半分になっています。

売却代金を含めた現金が、このあたりに出ていったと考えれば、金額の大きさは合います。ただ、これは貸借対照表の増減を並べただけで、現金の流れを示す表ではありません。表紙には、半期報告書を11月12日に出す予定とあるので、そちらを待ちます。

返済の側にも、この半年で変わったところがあります。1年以内に期限が来る固定負債が膨らみ、支払利息も205億8,200万円から258億3,400万円へ増えました。社債が減った分の一部が、1年以内の枠へ移ってきたものと考えています。

利益が減った理由は、この中間決算短信には書かれていない

短信4ページ目の「経営成績等の概況」は、今回も中身が1行です。内容は10月29日にホームページへ載せる決算説明資料に記載している、とだけ書いています。会社が自分の言葉で書いた説明は、9ページ目の追加情報にあるきんでん株の売却の1件だけで、第1四半期と同じ文面です。

第1四半期の短信には事業ごとの利益の表がありましたが、今回の短信の注記には見当たりませんでした。電気事業の利益が消えた理由を、事業の区分ごとにたどることもできません。

前回は決算説明資料のほうで、燃料費の増加と原子力の稼働低下という理由を確かめました。今回の決算説明資料は、まだ開いていません。上期全体でも同じ理由なのかは、短信だけでは言えません。理由を短信に書かず、説明資料にだけ載せるやり方は、前回と同じく気になっています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

通期予想は据え置きです。中間配当は前年の30円から40円に増えました。年80円の予想も変わっていません。

半年の実績を通期予想で割り、通期予想から実績を引くと、次のようになります。

項目通期予想上期実績進捗率残り6か月に必要な額
売上高4兆5,000億円2兆2,351億600万円49.7%2兆2,648億9,400万円
営業利益2,500億円832億2,500万円33.3%1,667億7,500万円
経常利益2,900億円1,115億5,000万円38.5%1,784億5,000万円
純利益3,100億円1,829億9,500万円59.0%1,270億500万円

売上は半分まで来ていますが、営業利益は3分の1です。残り6か月で1,667億7,500万円の営業利益が要り、これは上期の2倍、前年の下期と比べても少し多い額です。

第1四半期の時点では、残りの期間に要る営業利益は、前年の同じ期間より少なくて済む計算でした。半年たって、前年の下期を上回らないと届かない水準に変わっています。純利益が6割まで来ているのは、売却益が先に入っているからです。

私はどう読んだか

私は前回に続いて、悪いほうの見方をしています。理由は、7月から9月に持ち直したとはいえ、電気事業の収入から費用を引くとほとんど残らない状態が、半年分の数字として出てきたからです。

会社は下期に、前年の下期を上回る営業利益を見込んでいます。燃料の値段が下を向くか、原発の稼働が戻るか、どちらかが起きなければ届きにくい数字だと考えています。

前回の見方が外れたかといえば、外れてはいません。当たったとも言いません。悪い数字が、そのまま続いただけです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

Access Denied

電気事業の費用が、なぜ収入の2倍の速さで増えたのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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