日置電機(6866)2026年12月期 第3四半期決算分析・続報――足りないのは部品だと読みました

日置電機(6866)2026年12月期 第3四半期決算分析・続報――足りないのは部品だと読みました 日本株

日置電機は、電気を測る道具を作っている会社です。配電盤の電線を挟んで電流を確かめる計測器があります。電子部品が決められた値どおりに出来ているかを、工場で一つずつ確かめる測定器もあります。ほかに、電池が安全かどうかを試す試験器と、基板の量産ラインで不良を自動で見つける検査装置も作っています。買うのは、電気工事や設備点検の現場の人と、部品や電池を大量に作って出荷する工場です。

いま注文が増えているのは、データセンターと、電気を貯めておく蓄電システムの周りだと短信にあります。サーバーが増えれば、中の部品を作る工場で検査が増えます。電源設備を点検する人も増えます。

7月15日に出た中間決算は、9月18日の前の記事で読みました。受注が売上より先に積み上がっていることに引っかかりました。遅れた装置が下半期に納まるか、部品代が利益率を削らないかを確かめる、と書いています。今回はその答え合わせです。

9か月で、売上は2割強、営業利益は5割増えています

10月15日に出た、第3四半期までの9か月の決算です。

今回前年同期増減率
売上高358億7,100万円292億1,900万円+22.8%
営業利益71億8,800万円47億6,100万円+51.0%
経常利益73億9,100万円48億6,600万円+51.9%
純利益58億2,700万円35億6,100万円+63.6%

増え方の形は、半年の時点とあまり変わっていません。

注文と売上の差は、7月からの3か月でさらに開きました

短信の5ページ目に、製品群ごとの受注高と売上高の表があります。9か月の受注高は416億5,865万円で、前年同期から4割増えました。ここから売上高の358億7,100万円を引くと、差はおよそ58億円です。中間決算の時点では、この差はおよそ31億円でした。

7月から9月だけを取り出すと、こうなります。

1月〜6月7月〜9月
受注高272億5,008万円約144億857万円
売上高241億2,900万円約117億4,200万円
差約31億2,100万円約26億6,600万円

約の付いた数字は、9か月の累計から中間決算の数字を引いた、私の引き算です。

3か月で、また27億円近い注文が売上より先に積み上がりました。注文の勢いは、この3か月では落ちていません。

遅れていた自動試験装置は、7月から9月に納まり始めました

前回いちばん引っかかったのは、自動試験装置でした。注文が2倍を超えたのに、半年の売上は前年より減っていた製品群です。

9か月の売上は30億6,901万円になりました。半年の時点は16億5,356万円でしたから、引くと7月から9月の3か月で14億1,545万円です。半年かけて売った額に近いものを、3か月で売ったことになります。後ろにずれていた注文は、下半期に入ってきました。ここは前回の読みどおりでした。

ただ、同じ製品群の説明に新しい一文があります。この3か月に受けた案件の多くは、納入が来年度以降になる見通しだそうです。9か月の受注は51億4,349万円、半年の時点では31億7,683万円でした。引くと、この3か月で19億6,666万円の注文です。このうち今期の売上になるのは、ごく一部ということになります。

利益率が低くなった理由は、部品代ではありませんでした

前回、私は「部品代が高くなれば、下半期の利益率は削られる」と書きました。7月から9月の営業利益率は、たしかに低くなっています。ところが分けてみると、削れた場所が違いました。

1月〜6月7月〜9月
売上総利益率約52.2%約52.5%
販管費が売上に占める割合約31.3%約34.4%
営業利益率約20.9%約18.2%

この表は、損益計算書の累計から中間決算の数字を引き、それぞれを売上で割って出しました。

売上総利益率は、ほとんど動いていません。部品価格の上昇は、少なくともこの3か月の粗利には出ていないことになります。低くなったのは、販売費及び一般管理費の割合のほうです。前回の心配は、筋が違っていました。ここまでは損益計算書の数字です。

販管費の中身は、短信には書かれていません。手がかりは2つあります。1つは、7月に新しい基幹システムを動かし始めたことです。もう1つは、ソフトウエアが前期末の4億6,629万円から9億6,563万円へ倍になったことです。9か月の減価償却費も、前年の13億2,728万円から17億914万円へ増えました。システムの償却が始まって費用が膨らんだ、と私は読みました。

作りかけの在庫が、5割近く増えています

前期末9月末
商品及び製品14億1,069万円19億4,466万円
仕掛品10億4,372万円15億2,442万円
原材料及び貯蔵品39億7,022万円44億2,550万円

目立つのは仕掛品です。年初からの9か月で5割近く増えました。製品の在庫は、前回見た6月末の18億1,984万円から少ししか増えていません。

……作り終えたものより、作りかけのものが溜まっている。

これは短信の説明と合います。4ページ目に、半導体などの部品の入荷が不安定で、計画どおりに製品を作れない状況が続いている、と書いてあります。部品がそろわない装置は、仕掛品のまま工場に残ります。

現金の流れは、今回は確かめられません。この9か月のキャッシュ・フロー計算書は作成していない、と注記にあります。現金及び預金は、年初からほぼ横ばいでした。

会社は、遅れの理由を部品の不足に言い換えています

中間決算の短信では、自動試験装置の売上が遅れた理由は、作るのに時間がかかることと、顧客の指定する納期でした。今回は、全体の説明の冒頭にこうあります。「部品の供給逼迫により、一部受注案件の売上計上が翌四半期以降となっており」。遅れの理由が、注文する側の都合から、作る側の制約に移っています。

利益については、売上が大きく増えたことで、部品価格の上昇による原価の増加を吸収した、と書いています。この説明はそのまま受け取ります。理由は、上の表で売上総利益率がほとんど動いていないからです。遅れが部品のせいだという説明も疑っていません。注文と売上の差の広がりと仕掛品の増え方が、同じ方向を指しています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

6月5日に出した予想を、今回も動かしていません。

通期予想9か月の実績進捗率残り3か月に必要な額残りの前年比
売上高477億円358億7,100万円約75.2%約118億2,900万円約+4.5%
営業利益95億円71億8,800万円約75.7%約23億1,200万円約+13.9%
純利益75億4,000万円58億2,700万円約77.3%約17億1,300万円約△9.6%

進み具合は、9か月で4分の3という目安どおりです。売上は、残り3か月で118億円あれば届きます。これは7月から9月に売った額とほぼ同じです。営業利益は、同じ3か月の21億3,500万円より少し多い、23億円が要ります。

純利益の予想は、残り3か月が前年を割る前提になっています。9か月の中に、投資有価証券の売却益2億285万円という一度きりの利益が入っていることは、頭に入れておきます。据え置いた理由として挙がっているのは、部品の供給の制約と為替の振れです。

私はどう読んだか

売上は届くと考えています。理由は、残り3か月に要る額が7月から9月の実績とほぼ同じで、その手前に、売上を58億円近く上回る注文があるからです。いま売上の上限を決めているのは注文ではなく、部品が入るかどうかです。予想の据え置きも、需要ではなく供給を心配した数字だと受け取りました。

営業利益は、販管費しだいです。前回は部品代を心配して、外しました。今回は心配の向きを販管費に移します。システムの償却は、来年も続く費用だからです。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

System Maintenance

9月末の時点で、受けたのにまだ納めていない注文がいくら残っているかは、今回も読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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