ANAホールディングス(9202)2027年3月期 中間決算分析・続報――下期の見込みが気になる

ANAホールディングス(9202)2027年3月期 中間決算分析・続報――下期の見込みが気になる 日本株

はじめに

ANAホールディングスは、飛行機で人と荷物を運ぶ会社です。国内線と国際線を飛ばす全日空のほかに、関西や成田から安い運賃で飛ぶピーチと、貨物専用機を持つ日本貨物航空(NCA)を傘下に抱えています。

乗るのは、出張の会社員、夏休みの家族、それに海外から日本へ来る旅行者です。床下や貨物機には、半導体の部品のような、軽くて急ぐ荷物が積まれます。空港の免税店や土産物の卸、海外の航空会社から請け負う機内食の仕事もあります。運賃と荷物の代金で稼ぎ、いちばん大きな費用は燃料です。

9月2日に、7月29日に出た第1四半期決算について前の記事を書きました。売上原価が売上より速く増えたことと、会社の言うフリー・キャッシュ・フローの中身に引っかかりました。燃油価格をいくらと見込んでいるのかは、分からないままでした。

売上は2割近く増え、利益は1割減りました

2026年10月29日に出た中間決算です。4月から9月の半年分になります。

項目今回前年同期増減率
売上高1兆3,987億3,400万円1兆1,904億円+17.5%
営業利益881億6,000万円976億2,800万円−9.7%
経常利益856億8,900万円951億8,700万円−10.0%
純利益670億8,600万円760億8,500万円−11.8%

増収減益の形は第1四半期と同じです。ただ、減り方はずっと浅くなっています。

7月から9月の3か月は、前年より稼いでいます

半年の累計から第1四半期を引くと、7月から9月の3か月だけが残ります。前年の第1四半期は、前の記事の表にある数字を使いました。

7月〜9月売上高営業利益
前年約6,416億9,900万円約608億4,200万円
今年約7,260億500万円約673億7,800万円

約の付いた数字は、中間期の累計から第1四半期を私が引いたものです。

この3か月の営業利益は、前年より1割ほど増えています。NCAは2025年7月1日から連結に入っているので、7月から9月は前年も今年も同じ顔ぶれで比べられます。

前の記事で私は、需要より費用が重いと書きました。半年で見ると、その読みは外れていました。

減益の中心は、原価ではなく販管費でした

損益計算書は短信の12ページ目にあります。

項目前年同期今回
売上総利益2,112億6,500万円2,156億4,500万円
販売費及び一般管理費1,136億3,700万円1,274億8,500万円
うち外部委託費161億5,500万円218億1,900万円
うち従業員給料及び賞与190億2,200万円226億7,400万円
うち減価償却費101億4,300万円124億3,000万円

半年で見ると、売上総利益は前年より43億8,000万円増えています。第1四半期では原価が売上より速く増えていましたが、7月から9月でそれを取り戻したことになります。

それでも営業利益が減ったのは、販管費が138億4,800万円増えたからです。営業利益の減り幅94億6,800万円より大きい金額です。中でも外部委託費は3割以上増えていて、人件費の伸びより速いです。

ここまでは損益計算書の数字です。上期の減益に効いたのは、燃料よりも本社側や営業の費用だ、と私は受け取りました。

設備投資が、営業で入った現金を上回りました

キャッシュ・フロー計算書は14ページ目です。会社はフリー・キャッシュ・フローを3,178億円の収入と書いています。前の記事と同じく、短期で運用していた有価証券の償還が大きく効いた数字です。

営業活動の収入は1,360億6,600万円です。ここから航空機などの有形固定資産の取得1,421億200万円を引くと、約60億円足りません。第1四半期の時点ではわずかに残っていたものが、半年では逆になりました。

営業活動の収入が前年より減ったのは、法人税等の支払いが56億1,500万円から359億5,200万円へ増えたことが大きいです。貸借対照表でも未払法人税等が減っていて、会社は負債の説明で法人税の納付を挙げています。前期の利益にかかる税金を、この半年で納めた形です。

同じ半年で、自己株式を739億6,100万円分取得しています。飛行機と自己株式の財源は、運用していた資金を現金に戻した分だと考えています。

会社は燃油費を挙げ、前提を大きく引き上げました

4ページ目の説明は、航空事業を中心に増収、燃油費の増加等により減益、という短いものです。7ページ目には、通期予想を直した前提が並んでいます。

前提前回今回
米ドル円155円160円
ドバイ原油(1バレル)75米ドル90米ドル
シンガポール・ケロシン(1バレル)90米ドル150米ドル

前の記事で、燃油の前提は補足資料にあるのかもしれないと書きました。今回は短信の中にあります。航空燃料に近いケロシンの前提を、3分の2ほど引き上げています。

上期の損益計算書で差を広げたのは、販管費でした。燃油費の説明は、上期の結果より下期の前提によく当てはまる、と私は見ています。

国際線貨物は、運んだ重さが少し減って、収入が3割以上増えました。会社は単価の高い半導体関連の需要を理由に挙げています。ただ注記には、2025年6月までは不定期便の実績を数えていなかった、とあります。4月から6月の分は、前年と今年で数え方が違うことになります。

通期の営業利益は据え置き、下期は前年の半分ほど

上期の営業利益は881億6,000万円です。これを通期予想の1,500億円で割ると、約59%になります。前年は通期2,174億3,700万円に対して半年で976億2,800万円でしたから、4割台半ばでした。今年のほうが進捗率は高いです。

それでも会社は営業利益を動かしていません。売上は2兆7,700億円から2兆8,700億円へ引き上げています。

下期(10月〜3月)売上高営業利益
前年 実績約1兆3,488億3,300万円約1,198億900万円
今年 会社予想約1兆4,712億6,600万円約618億4,000万円

下期は、通期の数字から中間期を私が引いたものです。

売上は前年より1割近く増やして、営業利益は半分ほどになる。それが会社の下期の見込みです。

私はどう読んだか

下期の予想に余裕を持たせているのか、燃料が本当に重くなるのか。私は後者の見方をしています。理由は、売上を1,000億円上げながら営業利益を据え置き、経常利益と純利益だけを数十億円ずつ動かしているからです。余裕を持たせた数字なら、こういう細かい直し方はしないはずです。

上期については、私の前の読みは外れました。下期については、会社のほうが私より重く見ています。……私より心配性だ。

上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20261029/

外部委託費が3割以上増えた中身は、読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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