オービックビジネスコンサルタント(4733)2027年3月期中間決算分析・続報――移行の加速と読んだ

オービックビジネスコンサルタント(4733)2027年3月期中間決算分析・続報――移行の加速と読んだ 日本株

はじめに

オービックビジネスコンサルタントは、「奉行」という名前で業務ソフトを出している会社です。会計、給与、勤怠、販売管理のソフトで、中堅・中小企業の経理や総務の担当者が使います。

売るのは自社ではなく、販売店や会計事務所といった「パートナー様」です。いまは、パソコンに入れて使う形から、ネット越しに使うクラウドの形へ、利用者が移っている途中です。

9月に、7月22日に出た第1四半期の決算短信を前の記事で取り上げました。クラウドの伸びはパソコン版からの乗り換えが中心だと考え、その勢いがどう変わるかを追うと書いています。純利益だけ伸びが鈍い見込みの理由も、分からないまま残していました。

増収増益のまま、利幅がまた広がりました

10月27日に出た中間決算です。4月から9月までの半年分になります。

今回前年同期増減率
売上高286億6,600万円249億3,100万円+15.0%
営業利益135億9,800万円111億6,000万円+21.8%
経常利益148億900万円119億4,500万円+24.0%
純利益101億3,500万円82億7,300万円+22.5%

同じ日に、会社は通期予想を上げています。

7月から9月だけを取り出すと、クラウドの伸びが強まっています

第1四半期の短信と並べると、7月から9月の3か月だけの数字が出せます。短信の最後にある品目別の表の半年分から、第1四半期の分を引くだけです。

クラウドで言えば、半年分が189億4,722万円、第1四半期が91億545万円です。引き算すると、7月から9月は98億4,177万円になります。前年の7月から9月は、同じ引き算で75億9,128万円でした。

品目4月〜6月の前年比7月〜9月の前年比
クラウド+25.2%約+29.6%
保守△8.6%約△12.6%

約の付いた数字は、中間期の品目別売上から第1四半期の分を引いて、私が出したものです。

保守はパソコン版の利用者が払う料金で、その減り方も深くなりました。……速くなっているな。ここまでは品目別の表の数字です。サポート終了を意識した乗り換えが、上期の後半に勢いを増した、と私は受け取りました。

前受収益が、減る時期に増えました

前の記事で、第1四半期の前受収益の減り方が前年の半分だった、と書きました。

前受収益は、お客から先に受け取った利用料です。貸借対照表では、3月末の358億1,990万円が、9月末に362億8,366万円へ増えています。前年の上期は、同じ科目が20億8,376万円減っていました。第1四半期末は345億4,600万円でしたから、7月から9月の3か月で17億3,766万円増えたことになります。

この違いは現金の動きにそのまま出ています。営業活動によるキャッシュ・フローは112億711万円で、前年同期の64億5,490万円から大きく増えました。今年の増えた分と前年の減った分を足すと、前受収益の増減だけで、前年との差は25億円ほどあります。

なぜ増えたのかは、決算短信には書かれていません。年払いのクラウド契約が積み上がっている、と私は考えています。理由は、クラウドの伸びが強まった3か月と、前受収益が増えた3か月が重なっているからです。

現金同等物の減少は、定期預金への預け替えの分です

キャッシュ・フロー計算書では、現金及び現金同等物が半年で146億8,286万円減り、1,015億6,972万円になっています。一方で、貸借対照表の現金及び預金は53億1,713万円増えて、1,215億6,972万円です。

二つの差の200億円は、投資活動に出ている「定期預金の預入による支出」と同じ額です。満期まで3か月を超える定期預金は、現金同等物には数えません。お金が外へ出たのではなく、勘定の区分が変わっただけです。

前の期から持っている長期預金500億円も残っています。受取利息は5億1,191万円で、前年同期の1億49万円から増えました。経常利益の伸びが営業利益の伸びを上回っているのは、この利息の分です。

会社の説明は、前回とほぼ同じでした

短信の定性的情報で挙げている増収増益の理由は、第1四半期と同じ3つです。クラウドの利用料の積み上がり、パソコン版「奉行11シリーズ」のサポート終了を見据えた移行需要、新規顧客の獲得です。

今回厚くなったのは、セキュリティの話でした。サイバー攻撃や情報漏えいへの関心が高まっていると書き、「ランサムウェアからの安全宣言」を掲げています。クラウドに移ること自体を、データを守る手段として勧める売り方だと思います。説明は品目別の数字と合っているので、そのまま受け取ります。

予想を上げても、純利益の伸びは鈍いままです

当初の予想修正後
売上高575億円585億円
営業利益265億円276億円
純利益193億5,000万円204億円

修正の理由を書いた「通期業績予想の修正に関するお知らせ」は別の書類で、私はまだ開いていません。

修正後の予想中間期進捗率残り6か月に要る額残り6か月の前年比
売上高585億円286億6,600万円49.0%298億3,400万円+12.7%
営業利益276億円135億9,800万円49.3%140億200万円+12.7%
純利益204億円101億3,500万円49.7%102億6,500万円+4.1%

進捗率と残り6か月の数字は、表紙の予想から私が割り算と引き算をしたものです。

前回引っかかった純利益の鈍さは、修正後も残りました。今回は、比べる相手のほうを確かめています。

表紙にある純利益の増減率は+12.5%なので、倍率にすると1.125倍です。純利益の予想204億円をこれで割ると、前期の通期は約181億3,300万円です。そこから前年の上期82億7,300万円を引くと、前年の下期は約98億6,000万円になります。経常利益も同じく、通期予想の298億円を1.182で割り、前年の上期を引くと、前年の下期は約132億6,600万円です。

経常利益純利益純利益÷経常利益
前年の上期119億4,500万円82億7,300万円約69%
前年の下期約132億6,600万円約98億6,000万円約74%
今年の上期148億900万円101億3,500万円約68%
今年の下期の見込み149億9,100万円102億6,500万円約68%

約の付いた数字は、表紙の増減率から私が割り戻したものです。

ひとつだけ高いのは前年の下期で、ほかはどれも7割弱です。

前の記事では「何かが前年より重くなると会社は考えている」と書きました。これは外れでした。今年が重くなるのではなく、前年の下期だけ、経常利益から純利益までに引かれる分が軽かったのです。前年の下期に何があったのかは、この決算短信からは分かりません。

私はどう読んだか

見方は2つあります。期限前の駆け込みで一時的に膨らんでいる、という見方。利用料の土台が太くなっている、という見方。

私は後者だと考えています。理由は、クラウドの売上だけでなく、お客から先に受け取った利用料まで増えているからです。乗り換えた会社は、期限のあとも利用料を払い続けます。

それでも心配性なので、7月から9月に勢いが増したぶん、期限後の反動も大きくなりうると頭に入れています。サポートが終わったあと、クラウドの伸びがどこまで落ち着くか。そこを次に確かめます。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

決算短信│IRライブラリー|株式会社オービックビジネスコンサルタント【奉行クラウドのOBC】
株式会社オービックビジネスコンサルタントの決算短信ページです。OBCは、次世代環境に対応した新たなソリューションを通じて更なる市場拡大と業績拡大を図ります。

奉行11シリーズのサポートがいつ終わるのかと、前年の下期に純利益が経常利益に比べて大きかった理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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