日本取引所グループ(8697)2027年3月期 中間決算分析・続報――費用が動き始めたと読みました

日本取引所グループ(8697)2027年3月期 中間決算分析・続報――費用が動き始めたと読みました 日本株

売買の場を貸して、その決済まで引き受ける会社です

東京証券取引所と大阪取引所を傘下に持つ、取引所の持株会社です。証券会社を通って届いた注文が市場で成立すると、そのたびに手数料が入ります。売買が成立したあとのお金と株の受け渡しを最後まで見届ける清算も、グループの会社が引き受けています。

直接のお客は証券会社や機関投資家です。それでも、スマートフォンで株を少しだけ注文する個人も、知らないうちにこの会社の仕組みを通っています。ほかにも、上場している会社からの料金、売買の情報を配る料金、指数の使用料が入ります。売っているのは、売買の場そのものです。

9月24日に、4月から6月の第1四半期決算を前の記事に書きました。そのときは、売上の伸びに比べて費用がほとんど増えていない点に引っかかりました。中身の分からないその他の営業費用と、残りの期間の見込みを確かめる、と書いています。

半年を通しても、利益は6割以上増えました

10月27日に出た、4月から9月までの中間決算です。

項目今回前年同期増減率
売上高(営業収益)1,310億200万円893億2,200万円+46.7%
営業利益846億6,800万円512億7,900万円+65.1%
経常利益———
純利益572億1,000万円345億5,300万円+65.6%

国際会計基準の短信なので、経常利益という区切りはありません。半年で見ると、第1四半期の勢いがそのまま続いた形に見えます。

7月から9月だけを取り出すと、売上は横ばいで利益は減っています

短信の数字は4月からの累計です。そこで、中間の数字から第1四半期の数字を引いて、7月から9月の3か月を出しました。営業収益なら、1,310億200万円から655億1,500万円を引きます。結果は約654億8,700万円です。第1四半期とほとんど変わりません。

項目4月〜6月7月〜9月
営業収益655億1,500万円約654億8,700万円
営業費用231億4,600万円約251億2,400万円
営業利益437億1,600万円約409億5,200万円

約の付いた数字は、中間の数字から第1四半期の数字を私が引いたものです。

売上が同じなのに、営業利益は30億円近く減っています。差を生んだのは費用で、3か月で20億円ほど増えました。……売上が止まったところで、費用だけが前に出ている。

増えたのは人件費と、その他の営業費用です

営業費用の内訳も、短信の11ページ目の注記から同じように引き算しました。

営業費用の内訳4月〜6月7月〜9月
人件費61億5,700万円約73億3,500万円
システム維持・運営費56億5,700万円約57億5,000万円
減価償却費及び償却費45億1,800万円約44億100万円
その他68億1,200万円約76億3,800万円

システムと償却はほぼ横ばいです。動いたのは人件費とその他の営業費用で、この2つで20億円ほどになります。

人件費は、3か月で約12億円増えました。前年にも第2四半期に増えています。ただし前年も中間の数字から第1四半期を引いて比べると、増えた額は3億5,000万円ほどでした。今年はその3倍を超えています。

なぜ増えたのかは、決算短信には書かれていません。利益に応じて払う報酬を積み増したのかもしれません。それなら売買が落ち着けば戻る費用です。人を増やしたのなら、戻りません。どちらなのかで、この増え方の意味が変わります。

その他の営業費用は、前の記事で中身を確かめると書いた項目です。7月から9月も第1四半期より増えました。表紙で案内されている決算補足説明資料を、私はまだ開いていません。前の記事の宿題は、半分しか片づいていません。

6月末に減った現金は、9月末には3月末を上回っています

前の記事では、配当と自己株式の取得で6月末の現金が大きく減っていたことを書きました。9月末の現金及び現金同等物は1,418億5,400万円です。3月末の1,104億7,100万円を上回っています。

半年で配当に371億4,400万円、自己株式の取得に205億1,400万円を払ったうえでの残高です。自己株式の取得は大半が第1四半期に済んでいて、7月から9月の分は38億円ほどでした。

この短信にキャッシュ・フロー計算書は付いていないので、現金の増え方を項目ごとには追えません。貸借対照表では、流動資産のその他の金融資産が半年で246億円減っています。その一部が現金に移ったと私は受け取りました。資金繰りを心配する形ではありません。

会社の説明は、売上の側に厚く、費用の側は額だけです

取引関連収益が増えたのは、現物株の売買が前年同期より活発になり、取引料が増えたことなどによる、と説明文にあります。上場、情報、システムの各収益も、どの料金が増えたかが並んでいます。売上の説明は内訳の表と合っているので、そのまま受け取ります。

費用の側は、人件費が2割増え、その他の営業費用が7割増えた、という額と率までです。短信の説明文に、理由の文は付いていません。

通期予想は9月24日に上方修正されていて、前の記事は修正前の数字で割っていました

短信によると、会社は9月24日に業績予想と配当予想を修正していて、今回はどちらも据え置いています。9月24日は、私が前の記事を出した日です。その記事は7月の予想で進捗率を出していたので、公開した時点ですでに古い数字でした。ここは私の確認不足です。

前の記事では、残り9か月の見込みが控えめだと書きました。会社はその後、営業利益の予想を1,455億円から1,545億円へ上方修正しています。控えめだという見方とは、向きが合っていました。

項目中間 実績通期予想進捗率
営業収益1,310億200万円2,525億円約52%
営業利益846億6,800万円1,545億円約55%
親会社の所有者に帰属する利益572億1,000万円1,050億円約54%

進捗率は、中間の実績を表紙の通期予想で私が割ったものです。半年で、利益は通期予想の半分を少し超えたところにいます。

残り半年の見込みを前年と並べると、修正後もまだ慎重なことが分かります。

営業利益上期下期通期
前年 実績512億7,900万円約649億7,000万円約1,162億5,000万円
今年846億6,800万円約698億3,200万円1,545億円(予想)

約の付いた数字は、通期予想を表紙の増減率+32.9%で割り戻して前年の通期を出し、そこから上期を引いたものです。今年の下期は、通期予想から上期を引いて出しました。

上期は前年同期より6割以上増えましたが、下期は1割に届かない増え方を見込んでいます。下期の約698億円を3か月あたりにすると、約349億円です。7月から9月の約409億円を下回ります。会社はこの予想に、株券等の1日あたりの売買の規模が通期でどの程度になるかという前提を置いています。

売上は横ばいになり、費用が後から追いついてきた半年だと考えています

前の記事では、市場の売買の量で決まった決算だと書きました。半年を通しても、その見方は変えていません。

そのうえで私は、この半年を、売上が第1四半期の水準で横ばいになり、費用が後から追いついてきた期間だという見方をしています。理由は、7月から9月の売上がほとんど変わらないなかで、人件費とその他の営業費用だけで20億円ほど増えているからです。量が増えた分がほとんどそのまま利益に残る作りだ、と前回は書きました。この3か月は、そうなっていません。

心配性なので、売買が落ち着いたときにこの費用がどこまで戻るのかを、先に考えてしまいます。この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

適時開示情報(TDnet) | 日本取引所グループ
適時開示情報(TDnet)のページ。東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する日本取引所グループ(JPX)のサイトです。

7月から9月の人件費が前の3か月より12億円近く増えた理由は、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました