レスター(3156)2027年3月期 第1四半期決算分析――在庫の増え方より、その中身が気になる

レスター(3156)2027年3月期 第1四半期決算分析――在庫の増え方より、その中身が気になる 決算を読む

レスターは、半導体や電子部品を仕入れて売る商社です。自分で半導体を作るわけではありません。海外と国内のメーカーから部品を仕入れ、機器を組み立てる会社に届けます。届け先はデータセンターのサーバー、半導体製造装置、自動車の電子部品といったところで、私たちが店で手に取る品物ではありません。

ほかに映像・音響機器の設計施工、太陽光発電と電力の販売、ソフトウェア開発の事業も持っていますが、稼ぎの大半は部品の卸売です。

こういう商売は、部品の値段が上がると仕入れと販売の差が広がり、下がると縮みます。自分では値段を決めにくい商売です。それを頭に置いて短信を開きました。

売上は4割増、営業利益は前年同期の6倍近くになりました

8月7日に出た第1四半期の決算短信です。表紙の4行を並べます。

今回前年同期増減率
売上高1,914億2,000万円1,335億2,900万円+43.4%
営業利益96億4,000万円16億4,100万円+487.2%
経常利益84億6,800万円4億9,000万円+1,627.6%
純利益54億3,000万円3億4,800万円+1,458.5%

前の年の同じ3か月が悪かった、という面はあります。営業利益が6割以上減った四半期でした。それでも今回の96億4,000万円は小さくありません。前の期1年分の営業利益が167億3,900万円でしたから、3か月でその半分より多く稼いだことになります。

この短信にキャッシュ・フロー計算書が無かったので、貸借対照表で追いました

いつもどおり、添付資料のキャッシュ・フロー計算書を探しました。この短信には無く、添付資料の12ページに、作成していないと書いてあります。第1四半期に作らない会社は多いので、驚きはしません。代わりに、貸借対照表の3月末と6月末を並べました。

2026年3月末2026年6月末増減
現金及び預金449億3,000万円453億4,400万円+4億1,400万円
商品及び製品640億7,100万円838億4,000万円+197億6,900万円
売掛金1,442億5,500万円1,556億100万円+113億4,600万円
短期借入金685億1,500万円920億6,600万円+235億5,000万円
支払手形及び買掛金903億2,900万円1,030億9,300万円+127億6,300万円

増減の列は、6月末から3月末を引いた私の数字です。現金以外の4つは、短信の添付資料6ページにも同じ額が書いてあります。

54億3,000万円の純利益が出た3か月で、現金は4億円ほどしか増えていません。利益はどこへ行ったのかというと、在庫と売掛金です。

増え方だけなら、驚くほどではありません。在庫の3割増に対して売上が4割増ですから、売れる分だけ仕入れれば、こうなります。

引っかかったのは量ではなく、いくらで仕入れたかです。利益が増えた理由の先頭に、会社側は「一部商材の需給ひっ迫による市場価格の継続的な上昇」を置いています。上がり続けている商材を、上がったところで仕入れて倉庫に置いているわけです。……市場価格が下を向いたとき、この838億円はどう見えるだろう。

増えた分の代金は、短期借入金と買掛金で賄っています。支払利息は7億200万円から9億7,400万円へ増えました。添付資料6ページには、ネットDEレシオ0.9倍で「安定的に1.2倍を下回る水準を維持」とあります。無理な借り方ではありませんが、在庫を借金で持っていることは変わりません。

増えた80億円を、為替と商材と経費に分けてみました

営業利益は80億円ほど増えています。この内訳は短信にはなく、決算補足説明資料(説明会資料)の6ページに増減要因の図があります。デバイス事業の増益が61億円、為替の影響が19億円です。為替レートは1ドル144円59銭から159円49銭へ動いたそうです。15円ほどの円安です。

増益のおよそ4分の1が為替、残りの大半が部品の値上がりに乗ったデバイス事業です。売上の9割近くをこの事業が占めますから、会社全体がこの商材の値段に連動していることになります。ここまでは値段の話です。

一つだけ、値段と関係ない部分があります。販管費です。売上が4割増えたのに、90億400万円から92億3,900万円へ、ほとんど増えていません。売上総利益率が8.0%から9.9%へ上がった分は、市場価格と為替です。一方で、販管費比率は1.9ポイント下がりました。こちらは経費を抑えた結果です。ここは会社の手で作った利益だと受け取りました。

会社はどう説明しているか

添付資料2ページの説明は、順番がはっきりしています。生成AI向けデータセンターの需要拡大で一部商材の市場価格が上がったこと、クロスセルが効いたこと、半導体製造装置向けの需要が戻ったこと、車載向けの新規案件が寄与したこと、の順です。利益の面では市場価格の上昇と円安、そして販管費比率の低減です。

同じ値上がりが別の事業では逆に出ています。IT&SIer事業は、メモリーやCPUといった主要部材の値上がりで製造原価が上がり、減益になったと添付資料の5ページにあります。部品を売る側では利益になり、部品を使って産業用PCを作る側では原価になります。エコソリューション事業も、電力の仕入価格が上がり、減益です。

この説明は、そのまま受け取ります。理由は、売上総利益と販管費の動きが、説明と食い違っていないからです。留保を付けるのは一点だけで、理由の先頭にあるのが「市場価格」であることです。値段は会社の外で決まります。

通期予想に対して、どこまで来ているか

同じ8月7日に、通期予想が引き上げられました。5月14日の予想と並べます。

前回予想(5月14日)今回予想(8月7日)第1四半期実績
売上高7,000億円7,500億円1,914億2,000万円
営業利益180億円265億円96億4,000万円
経常利益145億円210億円84億6,800万円
純利益100億円135億円54億3,000万円

前回の予想のままなら、営業利益は3か月で半分以上を消化していたことになります。引き上げは避けられなかったのでしょう。引き上げたあとでも、営業利益は通期の36%、経常利益と純利益は4割ほどを3か月で消化しています。私の割り算です。配当予想も年145円で、前の期から17円の増配です。

引き上げたあとの数字を、残りの9か月に割り付けてみます。売上高は、通期予想の7,500億円から第1四半期の1,914億2,000万円を引きます。残りは5,585億8,000万円で、3で割ると1四半期あたり約1,862億円です。営業利益も同じで、265億円から96億4,000万円を引きます。残りは168億6,000万円で、3で割ると約56億円です。

第1四半期(実績)残り3四半期の平均(会社予想から)
売上高1,914億2,000万円約1,862億円
営業利益96億4,000万円約56億円
営業利益率5.0%約3.0%

約の付いた数字は、通期予想から第1四半期の実績を引いて3で割った私の数字です。

売上はほぼ第1四半期の水準なのに、営業利益は4割ほど減る置き方です。会社側は、市場価格の上昇が今の勢いで続くとは見込んでいない、と私は受け取りました。説明会資料の「市場環境の変化を注視しながら」という一文も、同じ方向です。

私はどう読んだか

利益そのものは、損益計算書の上で本物です。営業外収益や特別利益に頼った跡はなく、売上総利益が増え、販管費が抑えられています。ここまでは短信の数字です。

私は慎重なほうの見方をしています。理由は、3か月で197億円増えた在庫が、上がり続けている市場価格で仕入れたものだからです。値段が上がる間は在庫も利益も膨らみ、向きが変われば逆になります。残りの9か月を低い利益率で置いているのは、会社自身も同じ心配を持っているからだと考えています。

上がるかは知りません。心配性なので、次の中間決算では在庫の残高と支払利息を先に開くつもりです。キャッシュ・フロー計算書は中間期には出ますから、営業キャッシュ・フローの符号もそこで確かめます。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260807/140120260806512436.pdf

増えた在庫のうち、値上がりが続いている商材がどれだけを占めるのかは、短信からも説明会資料からも読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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