コーエーテクモホールディングス(3635)2027年3月期 中間決算分析――増額は運用分と読みました

コーエーテクモホールディングス(3635)2027年3月期 中間決算分析――増額は運用分と読みました 日本株

歴史ゲームと「無双」の会社です

コーエーテクモホールディングスは、家庭用ゲーム機やパソコン、スマートフォンで遊ぶゲームを作っている会社です。看板の作品はいくつもあります。戦国大名になって天下を目指す『信長の野望』、中国の三国時代が舞台の『三國志』、一人で大軍をなぎ倒す「無双」シリーズ、錬金術で道具を作る『アトリエ』シリーズです。

遊ぶのは、休日に一本のゲームを何十時間もかけて進める大人や、昼休みにスマートフォンで武将を育てる人です。自社のキャラクターを他社のゲームやグッズに貸し出して、使用料を受け取る商売もしています。ほかにゲームセンターと、横浜のライブハウスも持っています。

もう一つの顔として、手元のお金を債券や株で大きく運用しています。今回の話は、そちらから始まります。

中間期として、経常利益は過去最高

10月26日に出た、4月から9月までの中間決算です。

今回前年同期増減率
売上高373億2,700万円312億6,800万円+19.4%
営業利益117億4,300万円79億6,400万円+47.4%
経常利益255億2,300万円177億9,500万円+43.4%
純利益185億9,600万円134億6,500万円+38.1%

どの段も前年同期を上回りました。会社は経常利益と純利益について、中間期として過去最高だと書いています。

経常利益の半分以上は、ゲームの外で稼いでいます

表で引っかかったのは、経常利益が営業利益の倍以上あることです。経常利益は255億2,300万円、営業利益は117億4,300万円です。差し引くと、137億8,000万円になります。ゲームを作って売った利益より、本業の外で得た利益のほうが大きい半年でした。

中身は、短信の添付資料にある損益計算書に載っています。

営業外の主な項目今回前年同期
受取利息103億3,600万円54億5,700万円
投資有価証券売却益41億6,500万円100万円未満
有価証券償還益21億3,700万円1億2,800万円
デリバティブ評価益8億8,900万円44億6,100万円
デリバティブ評価損24億700万円-
有価証券償還損19億700万円5億8,900万円

いちばん大きいのは受取利息で、前年同期の倍近くに増えました。投資有価証券売却益は、持っている株などを売って出た利益です。デリバティブのほうは、前年の評価益から一転して評価損を出しています。……利息だけで、営業利益に近い額だ。

7月27日に出た第1四半期の短信と並べると、本業の外の稼ぎは最初の3か月に偏っていました。

4月〜6月7月〜9月半年
営業利益54億700万円約63億3,600万円117億4,300万円
経常利益から営業利益を引いた額約103億1,200万円約34億6,800万円約137億8,000万円

約の付いた数字は、第1四半期と中間期の短信の数字から私が引き算したものです。

7月から9月の3か月だけなら、営業利益のほうが本業の外の稼ぎを上回っています。半年を通した数字ほど、運用に頼った決算ではありません。

営業利益を伸ばしたのは、前に出した作品

短信の説明文には、前年度に発売した大型タイトルとバックカタログの販売が好調だったとあります。バックカタログとは、発売から時間のたった作品のことです。

内訳は説明会資料に載っています。ここからは、そちらの数字です。家庭用ゲーム機・パソコン向けの売上は、125億2,200万円から170億3,900万円へ増えました。その中の追加コンテンツは、7億3,400万円から15億8,500万円へと倍以上です。

新作の少ない半年に、すでに売った作品がもう一度売れた形です。販売費及び一般管理費は前年同期より減り、売上に対する営業利益の割合は、4分の1ほどから3割を超えるところまで上がりました。ここは本業の強さだと受け取っています。

この短信に、キャッシュ・フロー計算書は入っていません

お金の流れを確かめようとしたのですが、この中間決算短信の添付資料には、キャッシュ・フロー計算書がありません。目次は貸借対照表、損益計算書、包括利益計算書、注記で終わっています。半期報告書の提出予定日は11月10日です。

代わりに、貸借対照表を3月末と並べました。

3月末9月末
現金及び預金612億7,500万円463億1,700万円
売掛金及び契約資産208億7,100万円106億8,400万円
有価証券538億8,200万円944億6,300万円
投資有価証券1,016億8,700万円1,276億7,200万円
短期借入金-100億円
未払金84億8,000万円262億900万円

売掛金が半分になったのは、3月末に残っていた代金が入ってきたと考えるのが自然です。大きく動いたのは別の行です。現金及び預金を減らして、有価証券と投資有価証券を増やしています。そのうえで、3月末には無かった短期借入金100億円が載り、未払金は3倍になりました。

……運用に回すお金はあるのに、借りている。短信の財政状態の説明は、短期借入金が100億円増えたと書くだけで、理由には触れていません。説明会資料にも、私が読んだ範囲では見つかりませんでした。未払金の中身も、短信からは読み取れませんでした。

会社は運用が「計画を上回った」と書いています

短信の説明文は、営業外について「金融市場の動向を注視しながら運用を行い、計画を上回る利益を計上しました」と書いています。運用が計画以上にうまくいったことを、会社自身がはっきり認めています。

説明会資料の数字では、期初予想からの上方修正は営業利益が20億円、経常利益が90億円です。純利益は60億円の上方修正です。経常利益の90億円のうち、本業の営業利益で説明が付くのは20億円だけです。残りは本業の外、主に運用の分です。配当予想も8円上げて56円にしました。それでも、前期の66円よりは少ない水準です。

この説明は、そのまま受け取ります。ただ、運用益が来期も同じ形で出るのかは見通せません。

新作を入れても、下期の営業利益は前年の下期より少ない見込み

通期予想中間期まで進捗率残り半年に必要な額
売上高910億円373億2,700万円約41%約536億7,300万円
営業利益340億円117億4,300万円約35%約222億5,700万円
経常利益510億円255億2,300万円約50%約254億7,700万円
純利益370億円185億9,600万円約50%約184億400万円

約の付いた数字は、表紙の通期予想から私が割り算・引き算したものです。

営業利益の進捗率は3分の1ほどです。下期には『進撃の巨人3』が12月10日、『Wo Long 2』が3月4日に出るので、利益が後ろに寄ること自体はおかしくありません。

それでも、残り半年の営業利益は前年の下期より2割以上少なく、売上高も前年の下期を少し下回ります。前年の通期から前年の中間期を引いて比べた、私の計算です。

説明会資料の数字に戻ると、もう一つ分かることがあります。上期の営業利益は期初の計画を47億4,300万円上回りました。それなのに、通期は20億円しか上げていません。47億4,300万円から20億円を引きます。残る27億4,300万円の分だけ、下期の見込みを減らしたことになります。為替の前提は1ドル142円から148円へ、円安の側に見直しているのに、です。

私の見方

上期の本業は強く、伸びの中身も既存の作品と追加コンテンツで説明が付きます。ここまでは短信と説明会資料の数字です。

今回の上方修正は「運用の上振れを足したもの」だ、というのが私の見方です。本業の見通しは、むしろ期初より慎重になりました。理由は、上期に計画を上回った営業利益のうち、通期に乗せたのが半分にも届いていないからです。

上期にバックカタログが売れたのは、下期に売れるはずだった分が前に動いただけ。会社はそう見込んでいる、と私は読みました。心配性なので、そちらを先に頭に入れています。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.koeitecmo.co.jp/ir/docs/ir1_20261026.pdf

短期借入金100億円を何のために借りたのかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました