神戸物産(3038)2026年10月期 第3四半期決算分析――純利益の減りは営業外の話と読みました

神戸物産(3038)2026年10月期 第3四半期決算分析――純利益の減りは営業外の話と読みました 決算を読む

はじめに

神戸物産は「業務スーパー」の本部です。店のほとんどは加盟店です。神戸物産は商品を卸し、看板を貸し、仕入高の一部をロイヤリティとして受け取ります。棚に並ぶのは自社工場の冷凍食品と、海外から直輸入した大袋の食材です。名前は業務用ですが、買っていくのは近所の家庭です。

ほかに惣菜店や焼肉店、太陽光と木質バイオマスの発電を持っています。そして今年の8月に、アジア各地で機内食を作る会社群を、外食会社との共同出資で買いました。7月末で締めた今回の決算には、この買収の数字は出てきません。ただ、貸借対照表にはその準備の跡が残っていました。9月11日に出た短信を、読んだ順に書きます。

この決算で何が起きたか

項目今回前年同期増減率
売上高4,329億3,300万円4,115億5,300万円+5.2%
営業利益313億1,600万円303億3,900万円+3.2%
経常利益345億6,700万円382億4,900万円−9.6%
純利益233億5,400万円261億9,900万円−10.9%

営業利益が増えて純利益が減るなら、差は営業利益の下にあります。1ページ目で分かるのはそこまでです。

前年に乗っていた62億円と、今年に乗った41億円

損益計算書の営業外の欄を、前年と並べます。

営業外の主な項目前年同期今回
デリバティブ評価益62億1,100万円
補助金収入18億6,800万円4億1,000万円
為替差益41億8,200万円
為替差損11億1,200万円
デリバティブ評価損21億4,200万円
営業外収益の合計91億4,700万円55億3,800万円
営業外費用の合計12億3,700万円22億8,700万円

収益の合計から費用の合計を引くと、前年の営業外は差し引き79億1,000万円のプラス、今年は32億5,100万円のプラスです。その差は46億5,900万円あります。営業利益の増えた分は9億7,700万円ですから、営業外の縮んだ分のほうがはるかに大きいことになります。縮んだ分から営業利益の増えた分を引くと、36億8,200万円です。これは経常利益の減った額と重なります。経常利益が減った理由は、この引き算でほぼ説明がつきます。

デリバティブは、この会社の場合は為替予約です。輸入代金の円換算を先に固めておく仕組みで、円が動けば予約の時価が動き、その評価損益が営業外に立ちます。ここまでは損益計算書の数字です。本業の稼ぎは増えていて、純利益の減りは為替予約の時価が振れた話だ、と私は読みました。

5月から7月の3か月だけ、粗利が減っています

直近の3か月を切り出すと、累計とは違う顔が出ます。ここは短信ではなく、同じ日に出た決算説明会資料の数字です。5月から7月の売上は5.4%増えました。それなのに売上総利益は175億300万円で、2.1%減りました。営業利益は102億7,900万円で、8.7%の減少です。……いや、売上が増えて粗利が減っている。累計の粗利率は前年より上がっているので、この3か月で流れが変わったことになります。

販管費も気になります。累計で216億9,300万円、前年から12.9%増えていて、売上の伸びの倍以上です。なぜ増えたのかは、短信の説明文には書かれていません。

説明会資料には、物量が増えた分の運賃と倉庫賃料、それに「大型M&Aにかかる一時的な営業業務委託料」とあります。引っかかったのは後半です。一時的なら第4四半期には消えるはずですが、それがいくらだったのかは、短信にも説明会資料にも載っていません。

7月末に現金が207億円増えていて、8月3日に569億円を払っています

貸借対照表の現金及び預金は、前期末の1,309億9,400万円から1,517億700万円へ増えています。増えた額は207億1,300万円です。同じ表の純資産には、前期末に無かった非支配株主持分が145億円立っています。短信の説明では、機内食買収の受け皿になる合弁会社MEAL HUBを連結した分です。合弁の相手方が出資した現金が、7月末の残高に乗っているのかもしれません。

ただ、裏は取れません。この短信は第3四半期のキャッシュ・フロー計算書を作っていません。載っているのは減価償却費の46億1,000万円だけで、現金がどこから来てどこへ出たかは追えません。

買収そのものは8月3日に実行されています。後発事象の注記に、対価は3億700万ユーロ、円で569億5,700万円を現金で払ったとあります。7月末の現金1,517億円から引くと、ざっと950億円が残る勘定です。これは私の引き算です。のれんの額も、取得に要した費用も、受け入れた資産と負債も、「現時点では確定しておりません」とだけあります。

借入金も動いています。長期借入金は270億1,900万円から35億6,800万円へ減りました。代わりに短期借入金が31億1,500万円から242億4,000万円へ増えています。1年内に返済期限の来る分を振り替えただけで、総額はほぼ変わっていません。ただ、買収の翌年に200億円超の返済か借り換えが来る形です。

会社はどう説明しているか

短信では、業務スーパー事業は「価格戦略が功を奏した」ことと、PB商品がメディアで取り上げられたことで堅調だったとしています。出店28、退店6で、店舗数は1,144です。純利益が減った理由は、短信の本文には言葉で書かれていません。

その説明は説明会資料のほうにあり、前年に為替予約の評価益が乗っていて水準が高かった、という趣旨です。営業外の欄と突き合わせて矛盾はないので、そのまま受け取っています。

通期予想に対して、どこまで来ているか

会社の予想は据え置きです。9か月を過ぎたので、目安は4分の3。

項目通期予想進捗率残り3か月に必要な額残り3か月の前年比
売上高5,665億円76.4%1,335億6,700万円−4.6%
営業利益430億円72.8%116億8,400万円+22.4%
経常利益437億円79.1%91億3,300万円−7.2%
純利益295億円79.2%61億4,600万円+8.2%

進捗率と残りの額は、通期予想と今回の累計から出した私の計算です。売上は残り3か月が前年より減り、営業利益は2割増える置き方です。116億8,400万円を1,335億6,700万円で割ります。必要な営業利益率は約8.7%です。累計の7.2%より高く、粗利の減った5月から7月の3か月からは、なおさら遠い。一時的な委託料が消える分を足しても、この差は大きいと私は読んでいます。

もう一つ、8月3日に連結した機内食15社の2か月分が、この予想に入っているのか。短信には「連結業績予想に変更はありません」としか書かれていません。

私はどう読んだか

純利益の減りは為替予約の時価の話で、本業は増えている。ここは疑う場所ではありません。

心配性なので、残るのは別の2つです。5月から7月の粗利の減りと、残り3か月に置かれた営業利益率8.7%。この2つは同じ方向を向いていません。据え置いた以上、会社側は届くと見込んでいるはずですが、その根拠を私はまだ数字で持っていません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.kobebussan.co.jp/upload/ir/IRNews/992/992_20260911.pdf

8月3日に連結した機内食15社の2か月分が、据え置かれた通期予想に含まれているかどうかは、短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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