はじめに
建物の壁や床に貼るものを作っている会社です。工場や倉庫の外壁に使う金属のパネル、建物の内と外に貼るタイル、ゴムやウレタンの成型品。金属のパネルは、断熱材を薄い金属板で挟んだ板です。冷凍倉庫やデータセンターのように、室温を一定に保ちたい建物で使われます。
作るだけではありません。現場に運んで取り付ける工事まで自分たちでやります。注文を出すのは建設会社やプラントの工事業者です。一般の人が店で買う種類の商品ではありません。本社は福岡にあり、東京証券取引所と福岡証券取引所に上場しています。
いまは持株会社の形をとっていて、事業ごとに子会社がぶら下がっています。他社を買って傘下に入れる、というやり方をここ数年続けてきました。今回の決算は、それが貸借対照表にどう出たかの記録になっています。
この決算で何が起きたか
2026年10月15日に出た、2026年8月期の通期決算です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 215億1,200万円 | 230億3,700万円 | -6.6% |
| 営業利益 | 6億2,000万円 | 13億8,300万円 | -55.1% |
| 経常利益 | 6億500万円 | 14億100万円 | -56.8% |
| 純利益 | 5億1,700万円 | 9億1,700万円 | -43.6% |
売上は1割も減っていないのに、営業利益は半分以下になりました。そして純利益だけ、減り方がゆるくなっています。
純利益の減り方だけが、ゆるい理由
損益計算書を下まで追います。経常利益6億500万円のあと、税金を引く前の利益は15億6,800万円まで戻ります。間に特別利益が11億1,100万円入っているからです。
中身は、関係会社株式売却益が9億8,400万円と、投資有価証券売却益が1億2,000万円。前のほうは、子会社だった株式会社ダイリツを譲渡した分です。連結範囲の変更の注記に、除外した1社としてこの社名が出ています。
本業で1年かけて稼いだ営業利益6億2,000万円より、子会社を1社手放して出た9億8,400万円のほうが大きい。ここまでは損益計算書に並んでいる数字です。
売上の立っていない事業に、15億500万円
セグメントの注記に、今回から「その他」という欄が増えていました。注の1行目に、太陽光発電事業だと書いてあります。
外部への売上はありません。セグメント損失が400万円、資産が15億9,100万円。そして有形固定資産と無形固定資産の増加額が15億500万円。この欄だけで、グループ全体の設備投資21億2,000万円の7割を占めます。割り算は私がやりました。
連結範囲の変更の注記も引っかかりました。新規39社。社名が書いてあるのは「東北クリーンエネルギー02合同会社」の1社だけで、残りは「他38社」とだけ並んでいます。
……いや、1年で39社は多い。
キャッシュ・フロー計算書の投資活動も、同じ向きを指しています。無形固定資産の取得による支出が13億1,400万円。前期は4,400万円でした。有形固定資産の取得8億700万円より、無形のほうが大きくなっています。貸借対照表でも、無形固定資産のその他が9,600万円から13億2,700万円へ増えました。
何を取得したのかは、決算短信には書かれていません。経営成績の概況(添付資料4ページ)は4つの報告セグメントを順に説明していますが、太陽光発電事業には一行も触れていないからです。
分譲マンションの在庫が、貸借対照表に現れた
流動資産に、前期まで無かった科目が2つ出ています。販売用不動産が10億300万円、仕掛販売用不動産が31億8,900万円。合わせて41億9,200万円です。
ライフスタイル事業に株式会社ベルフラッツが加わったためです。セグメントの注記によると、この事業には分譲マンションの企画・開発・販売が含まれています。建材を作るグループの棚卸資産に、建てている途中のマンションが並んだことになります。
資金の出どころは借入です。短期借入金が41億5,000万円から75億7,900万円へ増えました。長期借入金も48億4,900万円から75億5,600万円へ増えています。支払利息は7,600万円から1億7,200万円へ、1年で倍を超えました。
自己資本比率は46.9%から36.9%に下がっています。添付資料6ページの指標の推移を見ると、4年前は66.8%でした。利払いを営業キャッシュ・フローで何倍まかなえるかという指標も、38.1倍から12.2倍へ落ちています。
減収の中身は、建設事業ひとつ
| 事業 | 今回の売上 | 前期の売上 | 今回の利益 | 前期の利益 |
|---|---|---|---|---|
| 金属加工 | 76億9,700万円 | 80億200万円 | 6億9,800万円 | 10億9,700万円 |
| 化成品 | 48億6,900万円 | 27億3,400万円 | 2億8,400万円 | 2億300万円 |
| 建設 | 25億5,400万円 | 67億9,600万円 | 3,800万円 | 7億5,300万円 |
| ライフスタイル | 63億6,800万円 | 54億9,100万円 | △2億9,900万円 | △1億5,000万円 |
前期に大型案件が集中して工事が大幅に進んだ反動だ、というのが建設事業の説明です。これはそのまま受け取ります。理由は、販売実績の注記に相手先の名前が残っているからです。前期は株式会社大林組向けが31億6,800万円あり、売上全体の13.8%を占めていました。今期は1割を下回ったので記載を省略した、と書かれています。大きな工事が1本終わった、という話と数字が合います。
化成品が8割近く伸びたのは、前の期に買った2社が今期は期首から乗ったためです。金属加工はデータセンター向けが好調だった一方、太陽電池の架台と金属サンドイッチパネルが減ったとあります。こちらで気になったのは受注残高で、19億5,600万円。前年の6割ほどの水準です。
来期は、9割を下期に置いている
通期の決算なので、来期の予想が出ています。
| 項目 | 上期予想 | 通期予想 | 下期(私の引き算) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 270億円 | 155億円 |
| 営業利益 | 1億円 | 9億円 | 8億円 |
| 経常利益 | 3,000万円 | 7億3,000万円 | 7億円 |
| 純利益 | 1,000万円 | 2億6,000万円 | 2億5,000万円 |
右の列は、通期予想から上期予想を引いたものです。営業利益9億円のうち8億円が、後半の6か月に置かれています。純利益も、2億6,000万円のうち2億5,000万円が下期です。
純利益は、来期に半分になる見通しです。今期の5億1,700万円に子会社の売却益が入っていたので、そこが無くなれば当然そうなります。伸びる絵だけを並べずに、減るところを減ると書いたのは正直だと受け取りました。
配当は今期が42円。来期の予想は40円で、予想配当性向は98.8%と記されています。稼いだぶんを、ほぼそのまま配る形です。
私はどう読んだか
この決算の主役は損益計算書ではありません。貸借対照表のほうです。理由は、1年で総資産が81億5,500万円増えているからです。その中身は、建てている途中のマンション、13億円を超える無形固定資産、そして売上の立っていない太陽光の設備です。
どれも今期の売上には、ほとんど乗っていません。乗るとしたら来期以降です。営業利益が6億2,000万円まで落ちたことより、この積み上がり方のほうが頭に残りました。借入と利払いが同じ速さで増えているので、来期の下期に置かれた8億円は、置くだけでは済まない数字になります。
出典:決算短信(会社発表)

太陽光発電事業に投じた15億500万円が、具体的に何を買った支出なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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