はじめに
紙おむつは1枚数十円の商品です。その1枚を作るために、不織布とゴムと吸収体とテープを高速で貼り合わせ、切って、折って、包むまでを一続きでやる機械が要ります。瑞光は、その機械を作っている会社です。
小児用と大人用の紙おむつ、それに生理用ナプキン。買うのは衛生用品メーカーです。工場に据え付けるラインを一式、注文を受けてから設計して組み立てます。日本と中国とブラジルに生産の拠点があります。
注文を受けてから作るので、作っている途中の機械は売上ではなく在庫です。ここは最後まで覚えておいてください。
それと、2026年1月からもう一つ別の商売を始めています。コットンスパンレースという、綿を水の力で絡めたシート状の素材です。化粧品メーカーや医療用品メーカーに売るもので、コットンパフやシートマスクの地のような使われ方をします。機械ではなく素材を売る商売なので、利益の出方がこれまでと違います。
この決算で何が起きたか
2026年10月2日に出た、2027年2月期の中間決算です。期間は2026年2月21日から8月20日までの半年です。
| 項目 | 今回 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 108億9,900万円 | 104億9,300万円 | +3.9% |
| 営業利益 | △2億2,200万円 | 3億8,600万円 | — |
| 経常利益 | △1億5,800万円 | 4億2,200万円 | — |
| 純利益 | △1億4,600万円 | 3億1,600万円 | — |
売上は増えました。利益は3つとも赤字です。前年の同じ半年は、3つとも黒字でした。
売上が増えて、粗利が4億1,000万円減っている
損益計算書を開きます。売上総利益は前年同期の17億6,623万円から13億5,585万円へ。差は約4億1,000万円の減少で、これは私の引き算です。
販売費及び一般管理費も増えました。13億7,983万円から15億7,821万円へ。増えた幅は約2億円です。足して約6億円。前年の営業利益3億8,600万円が、2億2,200万円の赤字に変わりました。落ちた幅も約6億円です。
引っかかったのは、売上の増えた分とほぼ同じ額だけ粗利が減っていることです。売っているものが入れ替わったとしか考えられません。
新しく入ってきた20億8,900万円が残した利益は、300万円
この中間期から、事業の区分が3つに分かれました。コットンスパンレース事業の重要性が増したためだと、添付資料に書いてあります。
そのコットンスパンレース事業は、20億8,900万円を売って、利益は300万円でした。一方の機械事業は、86億5,600万円で2億2,700万円の損失です。機械事業は前年同期から16億4,400万円の減収で、利益は6億3,500万円減ったと会社が書いています。
製品ごとの売上も並べてみます。
| 製品 | 今回の売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 大人用紙おむつ製造機械 | 30億4,100万円 | 14.1%減 |
| 小児用紙おむつ製造機械 | 22億5,600万円 | 42.3%減 |
| 生理用ナプキン製造機械 | 10億1,200万円 | 43.4%減 |
| その他機械 | 11億6,600万円 | 前年同期は3,400万円 |
| 部品 | 11億7,900万円 | 15.1%増 |
| コットンスパンレース | 20億8,900万円 | 前年同期は4,700万円 |
本業の3機種は、どれも減っています。小児用と生理用は4割以上。その穴を新しい素材が埋めた形ですが、埋まったのは売上だけで、利益は300万円しか付いてきませんでした。
会社は添付資料の4ページ目で、生産を平準化して原価率を下げようとしたが「お客様の低価格素材製品志向の影響もあり」第1四半期から横這いだった、と書いています。素材そのものを売る商売は、値段の勝負になりやすい。始めて半年で、もう安いほうへ引っ張られている、と私は受け取りました。
仕掛品が80億円を超え、現金が31億1,100万円減った
貸借対照表とキャッシュ・フロー計算書に移ります。
仕掛品は52億4,086万円から80億6,841万円へ。半年で28億円ほど増えています。棚卸資産の全体では26億6,700万円の増加です。作りかけの機械が増えればここが膨らみます。
営業活動によるキャッシュ・フローは、22億6,000万円の流出でした。前年の同じ半年は1億500万円の流入です。会社の説明でも、棚卸資産の増加が流出の主因に挙がっています。
現金及び現金同等物は94億円から62億8,900万円へ減りました。減った額は31億1,100万円です。この半年に長期借入で15億円を新しく調達しています。長期借入金は58億8,100万円から72億5,600万円へ増えました。借りたうえで、現金は減っています。
同じ半年に、自己株式を50万株、4億7,800万円で取得しています。中間配当は12円で、うち4円は記念配当です。
もう一つ、方向だけ気になった科目があります。受注損失引当金が7,776万円から1億1,285万円へ増えました。受けた注文のうち、原価が売値を超えると見込んだ分を先に損として積む科目です。採算の合わない案件を会社が見込んだことになります。額は小さいものの、増える側に動いています。
会社はどう説明しているか
添付資料の4ページ目に理由があります。中国の子会社は売上を出荷のときに計上していて、その出荷が下期に偏っている。そのため子会社の中間期の売上が前年の同じ時期より13億3,900万円減り、利益を押し下げた、という説明です。
これは分かります。注文を受けて機械を作る商売では、引き渡しが半期をまたぐだけで数字が大きく動きます。
同じページに、もう一つ書いてあることがあります。前の期から続いていた「高付加価値機能を伴う新製品案件の納期遅延によるコスト増加」の影響が、この中間期末で概ね収束した、という一文です。
本当に終わったのかどうかは、短信の数字からは確かめられませんでした。受注損失引当金が増えていることとどう噛み合うのかも、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあり、10月5日に説明会を開く予定とも書いてありますが、私が読んだのは短信だけです。
通期予想に対して、どこまで来ているか
通期予想は据え置きです。
| 項目 | 上期実績 | 通期予想 | 残り半年に必要な額 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 108億9,900万円 | 270億円 | 161億100万円 |
| 営業利益 | △2億2,200万円 | 17億8,000万円 | 20億200万円 |
売上は270億円のうち108億9,900万円で、進み方は4割です。半年経って半分に届いていません。営業利益は赤字なので、進捗はマイナスから始まります。
残り半年の数字は、会社が添付資料の5ページ目に自分で書いています。下期計画の実現には52億200万円の大幅な増加が必要になる、という書き方です。自分で「大幅」と書いているところは正直だと思います。
根拠として挙げているのが受注残高です。中間期末の受注残高は187億7,800万円で、前年の同じ時期より49億2,000万円多い。とくに大人用紙おむつ製造機械の受注残が、65億3,300万円から101億3,100万円へ増えています。受注済みの案件を着実に進めることで達成を見込む、としています。
私はどう読んだか
受注残の49億2,000万円増は事実です。仕込みは済んでいる、という読み方はできます。
それでも私は、受注残よりも仕掛品と営業キャッシュ・フローのほうを重く見ています。理由は、その受注残が現金に変わる時期が、まとめて下期に置かれているからです。
残り半年で営業利益20億200万円を出す計画です。上期は2億2,200万円の赤字でした。中国子会社の出荷が下期に寄るという説明を認めても、1つの半期にこれだけ集めた計画は、どこかの引き渡しが遅れたら丸ごとずれます。震災で入社式が消えた年に社会人になったので、予定が崩れることには慎重です。
現金が31億1,100万円減り、15億円を借りた半年です。その同じ半年に4億7,800万円で自己株を買い、記念配当を乗せています。計画を自分で信じている会社の動きです。……いや、違うな。信じているから買ったのでしょう。私はその計画を信じていません。
上がるかは知りません。第3四半期で、仕掛品が減って営業キャッシュ・フローが流入に向くかどうかを見ます。そこが動かないまま期末が近づいたら、下期にまとめて置いた計画はもたないと考えています。
出典:決算短信(会社発表)
――中国子会社の出荷が、下期のどの月にどれだけ寄るのかは、読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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