ナガイレーベン(7447)2026年8月期 通期決算分析――期末の債権の減り方が、気になりました

ナガイレーベン(7447)2026年8月期 通期決算分析――期末の債権の減り方が、気になりました 決算を読む

病院で看護師さんが着ている白衣。ナガイレーベンは、あれを作っている会社です。看護師の服のほかに、医師の白衣、介護施設の職員の服、入院した人が着る患者衣、手術室で着るガウンも手がけています。企画から縫製、販売までを自分のところで持っています。

買うのは、着る本人ではありません。病院や介護施設です。制服を入れ替えるときに、まとまった数で注文が来ます。だから売上は、病院がいつ制服を新しくするかに左右されます。病院の懐具合は、国が決める診療報酬と介護報酬に負う部分が大きく、短信の説明文もそこから書き始めています。

娘の予防接種で通う小児科の看護師さんは、うさぎの柄の服を着ていました。この会社はミッフィーの柄の商品を出しています。あれがそうだったのかは、確かめていません。

売上も利益も、前の期とほぼ同じ所に着いた

2026年10月1日に出た、2026年8月期の通期決算です。

今回前年同期増減率
売上高172億500万円169億8,300万円+1.3%
営業利益36億2,500万円35億8,300万円+1.2%
経常利益38億3,500万円37億600万円+3.5%
純利益26億5,000万円25億7,300万円+3.0%

増収増益ですが、どれも数%の幅です。売上に対する営業利益の割合も、前の期と同じ21.1%でした。

主力の売上が戻った期末に、受取債権は3割減っていた

短信の説明文によると、看護師や医師の白衣を中心とする主力の市場は、第4四半期(6月から8月)だけで前年同期より17.5%増えました。年間では3.7%増です。それまでの9か月は伸び悩み、最後の3か月で取り返したことになります。

最後に売れたのなら、期末の売掛金は膨らむのが普通です。貸借対照表を開いたら、逆でした。

前期末(2025年8月31日)今期末(2026年8月31日)
受取手形及び売掛金22億7,814万円19億7,763万円
電子記録債権24億485万円12億1,500万円
合計約46億8,000万円約31億9,000万円

約の付いた合計は、上の2行を私が足したものです。

……売れた月の終わりに、債権が減っている。

目立つのは電子記録債権で、ほぼ半分になりました。手形の代わりに使う電子の債権で、期日が来ると入金されます。

引っかかったので、日付を調べました。前期末の2025年8月31日は日曜日、今期末の2026年8月31日は月曜日です。月末が期日の債権なら、日曜日の分は入金が翌営業日の9月1日に回ります。前期末は入るはずの代金が債権のまま残り、今期末はその日のうちに入った、と私は読みました。債権が減った理由そのものは、決算短信には書かれていません。暦から組み立てた推測です。

営業キャッシュ・フローの増加は、7割がこの回収の差

営業キャッシュ・フローは21億8,000万円から35億2,800万円へ増えました。キャッシュ・フロー計算書で中身を分けると、売上債権が減って入った現金は、前期の3億8,964万円から今期は13億5,466万円です。差の9億6,502万円は、営業キャッシュ・フローの増加13億4,775万円の7割ほどにあたります。

逆向きの動きもあります。棚卸資産が7億678万円増え、その分の現金が在庫に回りました。売上の伸びが1%台なのに、在庫は1割増えています。在庫が増えた理由は、決算短信には書かれていません。

経常利益の伸びの6割は、預金の利息

営業利益の増加は4,240万円でした。経常利益は1億2,913万円増えています。その差を埋めたのは受取利息です。受取利息は6,185万円から1億3,871万円へ増えました。増えた額は7,685万円です。7,685万円を1億2,913万円で割ると、経常利益の伸びの6割ほどが利息だった計算です。

期末の現金及び預金は223億9,956万円あります。売上の1年分を超える額です。キャッシュ・フロー計算書では、定期預金の預け入れと払い戻しが、それぞれ年に300億円を超えて出入りしています。その預金に付く利息が、本業の伸びより大きく利益を厚くしました。

稼いだ現金より多くを、株主に戻している

今期の現金の出入り金額
営業キャッシュ・フロー35億2,865万円
配当金の支払30億4,643万円
自己株式の取得20億394万円

配当と自己株式の取得を足すと約50億5,000万円です。そこから営業キャッシュ・フロー35億2,865万円を引くと、15億円ほど足りません。その分は預金を取り崩しています。期中には自己株式500万株を消却し、決算と同じ日に、12月31日までに最大10億円の自己株式を買う決議も出しました。

自己資本比率は92.6%です。返しすぎに見える額ですが、短信は配当性向を「当社単体の純利益の50%以上」とし、ROEの長期的な向上を目標に掲げています。余った資本を意図して減らしている、と受け取りました。

会社の説明は、報酬改定のあとで更新が動いた、というもの

説明文の要旨はこうです。病院や介護施設は物価と人件費に追われ、制服の更新は遅れ気味だった。診療報酬と介護報酬の改定のあと、第4四半期にミッフィーの新商品が更新を促した。患者衣は前期の大型案件の反動と買い控えで11.8%減った。

原価の説明もあります。中東情勢による材料費、最低賃金の引き上げ、円安で原価は膨らんだ。それを値上げと生産の海外移管で吸収し、売上総利益率を40.0%まで戻した、という内容です。

利益率の説明は、そのまま受け取ります。損益計算書で売上総利益は1億7,597万円増え、販売費及び一般管理費の増加1億3,357万円を上回っています。

第4四半期の伸びには留保を付けます。改定の直後にまとまった更新が出たのなら、それは時期の話です。会社自身も来期の主力市場は0.7%増と控えめに置き、「前期における大型案件の反動減を吸収」すると書いています。

来期は、上期で1割減らして下期で取り返す置き方

これは通期の決算なので、比べる相手は来期の予想になります。今期の初めに出していた予想は今回の短信に載っておらず、予想どおりに着いたかは確かめられません。

2027年8月期上期予想前年同期比通期予想前期比
売上高78億4,600万円△0.2%175億円+1.7%
営業利益12億4,200万円△10.1%36億200万円△0.7%
経常利益13億7,900万円△6.5%38億9,300万円+1.5%
純利益9億4,200万円△7.1%26億6,000万円+0.4%

上期の営業利益は1割減、通期ではほぼ横ばいです。下期は前年より稼ぐ計算になります。海外は4割近く伸ばす計画ですが、今期の海外の売上は2億6,185万円で、全体の2%に届きません。

本業は横ばいで、利益率を守った年だと考えています

私はこの決算を、本業は横ばいのまま、値上げで利益率を守った年だと考えています。理由は、目に見える伸びのうち、営業キャッシュ・フローの増加の大半が債権の回収の差で、経常利益の伸びの過半が預金の利息だからです。どちらも、白衣が売れた量とは別の所から来ています。

だから今期の営業キャッシュ・フロー35億円を、この会社の普段の稼ぐ力とは受け取っていません。心配性なので、売上より速い在庫の増え方は覚えておきます。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.nagaileben.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/86eedded98f1e3454885194cea08501e.pdf

電子記録債権が期末に半分近くまで減ったのが暦のずれなのか、取引条件の変化なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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