病院で看護師さんが着ている白衣。ナガイレーベンは、あれを作っている会社です。看護師の服のほかに、医師の白衣、介護施設の職員の服、入院した人が着る患者衣、手術室で着るガウンも手がけています。企画から縫製、販売までを自分のところで持っています。
買うのは、着る本人ではありません。病院や介護施設です。制服を入れ替えるときに、まとまった数で注文が来ます。だから売上は、病院がいつ制服を新しくするかに左右されます。病院の懐具合は、国が決める診療報酬と介護報酬に負う部分が大きく、短信の説明文もそこから書き始めています。
娘の予防接種で通う小児科の看護師さんは、うさぎの柄の服を着ていました。この会社はミッフィーの柄の商品を出しています。あれがそうだったのかは、確かめていません。
売上も利益も、前の期とほぼ同じ所に着いた
2026年10月1日に出た、2026年8月期の通期決算です。
| 今回 | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 172億500万円 | 169億8,300万円 | +1.3% |
| 営業利益 | 36億2,500万円 | 35億8,300万円 | +1.2% |
| 経常利益 | 38億3,500万円 | 37億600万円 | +3.5% |
| 純利益 | 26億5,000万円 | 25億7,300万円 | +3.0% |
増収増益ですが、どれも数%の幅です。売上に対する営業利益の割合も、前の期と同じ21.1%でした。
主力の売上が戻った期末に、受取債権は3割減っていた
短信の説明文によると、看護師や医師の白衣を中心とする主力の市場は、第4四半期(6月から8月)だけで前年同期より17.5%増えました。年間では3.7%増です。それまでの9か月は伸び悩み、最後の3か月で取り返したことになります。
最後に売れたのなら、期末の売掛金は膨らむのが普通です。貸借対照表を開いたら、逆でした。
| 前期末(2025年8月31日) | 今期末(2026年8月31日) | |
|---|---|---|
| 受取手形及び売掛金 | 22億7,814万円 | 19億7,763万円 |
| 電子記録債権 | 24億485万円 | 12億1,500万円 |
| 合計 | 約46億8,000万円 | 約31億9,000万円 |
約の付いた合計は、上の2行を私が足したものです。
……売れた月の終わりに、債権が減っている。
目立つのは電子記録債権で、ほぼ半分になりました。手形の代わりに使う電子の債権で、期日が来ると入金されます。
引っかかったので、日付を調べました。前期末の2025年8月31日は日曜日、今期末の2026年8月31日は月曜日です。月末が期日の債権なら、日曜日の分は入金が翌営業日の9月1日に回ります。前期末は入るはずの代金が債権のまま残り、今期末はその日のうちに入った、と私は読みました。債権が減った理由そのものは、決算短信には書かれていません。暦から組み立てた推測です。
営業キャッシュ・フローの増加は、7割がこの回収の差
営業キャッシュ・フローは21億8,000万円から35億2,800万円へ増えました。キャッシュ・フロー計算書で中身を分けると、売上債権が減って入った現金は、前期の3億8,964万円から今期は13億5,466万円です。差の9億6,502万円は、営業キャッシュ・フローの増加13億4,775万円の7割ほどにあたります。
逆向きの動きもあります。棚卸資産が7億678万円増え、その分の現金が在庫に回りました。売上の伸びが1%台なのに、在庫は1割増えています。在庫が増えた理由は、決算短信には書かれていません。
経常利益の伸びの6割は、預金の利息
営業利益の増加は4,240万円でした。経常利益は1億2,913万円増えています。その差を埋めたのは受取利息です。受取利息は6,185万円から1億3,871万円へ増えました。増えた額は7,685万円です。7,685万円を1億2,913万円で割ると、経常利益の伸びの6割ほどが利息だった計算です。
期末の現金及び預金は223億9,956万円あります。売上の1年分を超える額です。キャッシュ・フロー計算書では、定期預金の預け入れと払い戻しが、それぞれ年に300億円を超えて出入りしています。その預金に付く利息が、本業の伸びより大きく利益を厚くしました。
稼いだ現金より多くを、株主に戻している
| 今期の現金の出入り | 金額 |
|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー | 35億2,865万円 |
| 配当金の支払 | 30億4,643万円 |
| 自己株式の取得 | 20億394万円 |
配当と自己株式の取得を足すと約50億5,000万円です。そこから営業キャッシュ・フロー35億2,865万円を引くと、15億円ほど足りません。その分は預金を取り崩しています。期中には自己株式500万株を消却し、決算と同じ日に、12月31日までに最大10億円の自己株式を買う決議も出しました。
自己資本比率は92.6%です。返しすぎに見える額ですが、短信は配当性向を「当社単体の純利益の50%以上」とし、ROEの長期的な向上を目標に掲げています。余った資本を意図して減らしている、と受け取りました。
会社の説明は、報酬改定のあとで更新が動いた、というもの
説明文の要旨はこうです。病院や介護施設は物価と人件費に追われ、制服の更新は遅れ気味だった。診療報酬と介護報酬の改定のあと、第4四半期にミッフィーの新商品が更新を促した。患者衣は前期の大型案件の反動と買い控えで11.8%減った。
原価の説明もあります。中東情勢による材料費、最低賃金の引き上げ、円安で原価は膨らんだ。それを値上げと生産の海外移管で吸収し、売上総利益率を40.0%まで戻した、という内容です。
利益率の説明は、そのまま受け取ります。損益計算書で売上総利益は1億7,597万円増え、販売費及び一般管理費の増加1億3,357万円を上回っています。
第4四半期の伸びには留保を付けます。改定の直後にまとまった更新が出たのなら、それは時期の話です。会社自身も来期の主力市場は0.7%増と控えめに置き、「前期における大型案件の反動減を吸収」すると書いています。
来期は、上期で1割減らして下期で取り返す置き方
これは通期の決算なので、比べる相手は来期の予想になります。今期の初めに出していた予想は今回の短信に載っておらず、予想どおりに着いたかは確かめられません。
| 2027年8月期 | 上期予想 | 前年同期比 | 通期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 78億4,600万円 | △0.2% | 175億円 | +1.7% |
| 営業利益 | 12億4,200万円 | △10.1% | 36億200万円 | △0.7% |
| 経常利益 | 13億7,900万円 | △6.5% | 38億9,300万円 | +1.5% |
| 純利益 | 9億4,200万円 | △7.1% | 26億6,000万円 | +0.4% |
上期の営業利益は1割減、通期ではほぼ横ばいです。下期は前年より稼ぐ計算になります。海外は4割近く伸ばす計画ですが、今期の海外の売上は2億6,185万円で、全体の2%に届きません。
本業は横ばいで、利益率を守った年だと考えています
私はこの決算を、本業は横ばいのまま、値上げで利益率を守った年だと考えています。理由は、目に見える伸びのうち、営業キャッシュ・フローの増加の大半が債権の回収の差で、経常利益の伸びの過半が預金の利息だからです。どちらも、白衣が売れた量とは別の所から来ています。
だから今期の営業キャッシュ・フロー35億円を、この会社の普段の稼ぐ力とは受け取っていません。心配性なので、売上より速い在庫の増え方は覚えておきます。
出典:決算短信(会社発表)
https://www.nagaileben.co.jp/wp-content/uploads/2026/06/86eedded98f1e3454885194cea08501e.pdf
電子記録債権が期末に半分近くまで減ったのが暦のずれなのか、取引条件の変化なのかは、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


コメント