技研製作所(6289)2026年8月期 通期決算分析――稼いだ以上を株主に返した年と読みました

技研製作所(6289)2026年8月期 通期決算分析――稼いだ以上を株主に返した年と読みました 決算を読む

杭を、叩かずに押し込む機械の会社です

技研製作所は、鋼矢板や鋼管の杭を、油圧の力で地面に押し込む機械を作っています。杭打ちと聞くと、大きな音で叩き込む光景が浮かびます。技研製作所の機械は、すでに入れた杭をつかんで足場にし、次の杭を静かに押し込んでいきます。音や揺れを出せない住宅地、川の護岸、港の岸壁のような現場で使われます。

機械を買うのは、基礎工事を請け負う会社です。売るだけでなく、貸し出しと保守もしています。子会社では自分で工事も請けています。短信には、能登半島地震の本復旧工事や、首都高の地下化に伴う工事が名前で出てきます。海外では会員制度を作り、会員の工事会社に機械と施工の技術をまとめて提供しています。

純利益の7割増は、前期の損失が消えた分でした

10月9日に出た、2026年8月期の通期決算です。

今回前期増減率
売上高284億2,400万円263億3,700万円+7.9%
営業利益30億6,200万円25億6,600万円+19.3%
経常利益34億3,500万円27億3,200万円+25.7%
純利益25億2,200万円14億8,700万円+69.5%

純利益は7割近く増えています。ただ、前期には元海外連結子会社との和解に伴う特別損失が、8億1,200万円ありました。今期の特別損失は、減損の6,100万円だけです。純利益の伸びの大半は、この差から来ています。本業の伸びを示しているのは、2割近く増えた営業利益のほうです。

経常利益の伸びが営業利益より大きいのは、営業外の収入が増えたからです。前期の為替差損5,800万円が、今期は為替差益7,200万円に変わりました。不動産賃貸料も、8,900万円から1億7,700万円へ倍になっています。

営業キャッシュ・フローは3倍。ただし前期が弱すぎた

短信11ページのキャッシュ・フロー計算書を開くと、営業キャッシュ・フローは41億7,700万円でした。前期の13億7,700万円から3倍です。純利益の25億円を大きく上回っていて、利益がきちんと現金になっています。

ただ、3倍になった理由を分けると、半分は前期の側にあります。

営業キャッシュ・フローの主な行前期今期
税金等調整前当期純利益18億7,800万円33億7,300万円
売上債権及び契約資産の増減額△16億2,100万円△5億2,700万円
法人税等の支払額△8億7,800万円△3億3,400万円
営業キャッシュ・フロー13億7,700万円41億7,700万円

前期は売掛金などが16億円以上積み上がり、売上が立っても現金が入っていませんでした。今期はその積み上がりが5億円台に収まっています。税金の支払いも、前期の半分以下です。前期の利益が小さかったぶん、今期に払う税金が軽くなった、と私は読みました。

設備に使った残りより、株主に返した額のほうが大きい

稼いだ現金の行き先は、財務キャッシュ・フローに出ています。自己株式の取得が20億円、配当の支払いが15億2,400万円です。合わせて35億2,400万円になります。

営業キャッシュ・フロー41億7,700万円に対して、投資キャッシュ・フローの支出は12億3,100万円でした。差し引くと、29億4,600万円が残ります。株主に返した35億2,400万円は、これを5億7,800万円上回っています。現金及び預金は、85億8,500万円から74億1,800万円に減りました。それでも自己資本比率は83.8%あり、借入金はわずかです。無理をして返した形には見えません。

株主資本等変動計算書でも、1つ引っかかりました。純利益は25億円出ています。それなのに、利益剰余金は229億1,100万円から206億7,800万円に減っています。……いや、これは変だ。

たどっていくと、取得した自己株式を消却していて、その32億2,300万円が利益剰余金から引かれていました。発行済株式数は、2,819万株余りから2,596万株余りに減っています。1株利益の伸びが純利益の伸びより大きいのは、このためです。

6月から8月だけを見ると、海外で機械が売れていません

ここからは決算説明会資料の数字です。第4四半期の3か月だけを取り出すと、全社の売上は前年同四半期並みでした。中身を分けると、建設機械事業の海外売上が30億1,700万円から17億2,700万円へ、4割以上減っています。資料は理由を2つ挙げています。前年同四半期に製品の売上が集中していたことと、米国の関税政策で需要が減ったことです。

一方で来期は、海外売上を52億5,300万円から75億円へ、4割増やす計画です。北米に限ると、4億800万円から10億2,500万円へ増やします。今期の2倍半です。直近の3か月でいちばん弱かった場所に、来期の伸びをいちばん多く載せています。

会社はどう説明しているか

短信の説明文によると、国内では硬質地盤向けの「サイレントパイラーF112」と新型の「SXシリーズ」の販売が順調でした。子会社の技研施工は、一般に開放する前の工法を使う工事を進め、利益に貢献したとあります。一方で、顧客の設備投資は慎重な状況が続いているとも書いています。理由は、資材価格や労務費の上昇と、人手不足です。

国内の説明は、そのまま受け取ります。理由は、短信のセグメント情報でも、建設機械事業の日本向け売上が130億2,200万円から145億6,100万円へ、1割以上増えているからです。

留保をつけるのは、利益の中身です。説明会資料は、建設機械事業の増益要因に「一時的な大型特殊機のレンタル案件」を挙げています。レンタル売上も8億8,700万円から12億5,800万円に増えました。短信の説明文には、この一時的なレンタルの話は書かれていません。来期には、同じ形では残らない利益です。

来期の予想は、売上ほど利益を伸ばしていません

通期決算なので、進み具合の話はありません。代わりに、短信に載っている来期予想を並べます。

2026年8月期 実績2027年8月期 予想増減率
売上高284億2,400万円310億円+9.1%
営業利益30億6,200万円33億円+7.8%
経常利益34億3,500万円36億円+4.8%
純利益25億2,200万円26億5,000万円+5.1%

売上を1割近く増やす計画で、営業利益の伸びはそれより小さく見積もっています。説明会資料によると、9月の受注分から一部製品の値段を5〜10%引き上げます。それでも原材料と人件費の負担が重く、上期の建設機械事業は、営業利益が前年の上期を下回る計画です。配当は年57円の予想です。

私はどう読んだか

今期は、本業の利益が増え、前期に滞っていた現金の入りも戻った年です。そのうえで、手元に残った以上の額を株主に返しました。ここまでは短信の数字です。

来期の計画は、海外を甘めに置いていると私は考えています。理由は、来期の伸びの多くを海外が担う計画なのに、その海外が直近の3か月でいちばん弱かったからです。今期の利益を押した一時的なレンタルも、来期には抜けます。国内は堅いと考えていますが、この先どうなるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://www.giken.com/ja/wp-content/uploads/6289gkn202610_4q2026_financial_results_fv.pdf

一時的な大型特殊機のレンタルが、今期の営業利益をいくら押し上げたのかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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