クロスフォー(7810)2026年7月期 通期決算分析――増えた現金の出どころが気になる

クロスフォー(7810)2026年7月期 通期決算分析――増えた現金の出どころが気になる 決算を読む

クロスフォーは、ジュエリーを作って卸す会社です。ダイヤモンドの加工と留め方に独自の技術を持っていて、その技術を使ったネックレスやピアスを自社で作るほか、他社のジュエリーに組み込まれる部品も供給しています。宝飾店の店頭に並ぶ商品の中に、この会社の部品が入っていることがあるわけです。

売る先は、問屋と大手小売店、そして最近はライブ販売の事業者です。テレビやスマートフォンの画面越しに宝飾品を売る商売で、そこへ商品を提案して供給する仕事が伸びています。海外にも得意先があり、インドやタイ、米国へ輸出しています。自社ブランドも持っていて、その直販を立ち上げている最中です。

私がこの短信を開いたのは、売上が大きく伸びた会社の中で、現金がどう動いたのかを確かめたかったからです。

この決算で何が起きたか

9月14日に出た、2026年7月期の通期決算です。表紙の数字はこうでした。

今回前年同期増減率
売上高55億3,600万円37億5,700万円+47.3%
営業利益9,400万円5,500万円+71.2%
経常利益6,100万円2,300万円+157.9%
純利益2,600万円2,200万円+18.8%

売上は創業以来初めて50億円を超えた、と会社自身が書いています。段階利益は全部黒字で、全部前期を上回りました。ここまでは1ページ目の話です。

売上は5割増え、粗利は2割半しか増えていない

引っかかったのは、損益計算書の2行目です。売上総利益は14億7,400万円で、前期比24.2%増。売上が47.3%伸びているのに、粗利の伸びはその半分ほどしかありません。

前期今回
売上高37億5,700万円55億3,600万円
売上総利益11億8,600万円14億7,400万円
粗利率約31.6%約26.6%

約の付いた粗利率は、売上総利益を売上高で割った私の割り算です。5ポイント下がっています。伸びた売上の中身が地金系商品なら、粗利率が下がるのは筋が通ります。金やプラチナそのものの価値で値段の決まる商品で、加工の付加価値が乗りにくいからです。

もう一つ、この粗利の中身について会社が断りを入れています。地金を再精錬したときに時価評価差益が出て、それが売上総利益を押し上げた、と4ページ目にあります。金額は短信には書かれていません。地金の価格が高い水準にあるあいだだけ出る種類の利益で、来年も同じだけ出るとは限らないものです。

現金は倍近くに増え、本業からは出て行っている

1ページ目だけなら、現金が倍近くになった良い決算です。期末の現金及び現金同等物は10億2,900万円でした。前期末は5億4,900万円だったので、4億8,000万円増えたことになります。……いや、営業活動の欄がマイナスだ。

今回前期
営業活動によるCF△5,800万円△1億2,500万円
投資活動によるCF△1億4,200万円△2,100万円
財務活動によるCF+6億6,900万円△2億800万円
現金及び現金同等物の期末残高10億2,900万円5億4,900万円

本業からの現金は2期続けてマイナスです。売上が伸びた分、在庫が2億4,900万円、売上債権が5,900万円増えました。それが利益を食っています。在庫は貸借対照表でも確かめられます。商品及び製品が1億3,900万円、仕掛品が1億2,100万円、それぞれ積み上がっています。

増えた現金の出どころは財務活動で、その中心が転換社債型新株予約権付社債の7億円です。

財務活動の主な内訳今回
転換社債型新株予約権付社債の発行+7億円
短期借入金の純増+1億3,400万円
株式の発行+7,000万円
長期借入金の純返済△2億6,400万円
社債の償還△5,400万円

営業利益9,400万円の会社が、1年で7億円を社債で調達した、という形です。

もう一つ、借金の重さは損益計算書にも出ています。支払利息は5,363万円で、前期から1,600万円増えました。5,363万円を営業利益9,400万円で割ると、稼いだ利益の6割近くが利息で消える計算になります。

7億円の社債は、あとで株になる

転換社債の7億円は、株に換えられる借金です。12ページ目の注記に、これが株になったときの株数が載っています。転換社債の分が284万9,315株、新株予約権を合わせると309万1,013株です。

期末の発行済株式数は1,834万5,000株でした。309万1,013株をこれで割ると約16.8%になります。全部が株になれば、いまの株数が6分の1ほど増えることになります。利息を払って借金を返す代わりに、株数を増やして返す道が開いている、と言い換えられます。

ついでに、財務活動の欄にはセール・アンド・リースバックによる収入6,394万円もありました。持っていた資産を売って借り直す取引で、貸借対照表にリース資産6,242万円が新しく載っています。何の資産かまでは読み取れませんでした。

会社はどう説明しているか

増収の理由は、国内でライブ販売向けの商品提案が受注に結びついたこと、展示会販売と地金系商品が好調だったことです。海外は米国の関税と地金の価格上昇で需要が弱かった、とあります。インドやタイの大手得意先が注文を控えた一方、米国向け輸出が伸びて微減にとどまりました。

販管費の増え方については、展示会の出展が増えたこと、EC事業の立ち上げ費用、基本給のベースアップと増員、と具体的に書いてあります。

増収の部分は、そのまま受け取っています。理由は、在庫も売掛金も現金の欄も、売上が本当に増えたときに動く方向へ動いているからです。留保を付けるのは利益の側で、粗利の中に金額不明の時価評価差益が入っている以上、24.2%増をそのまま実力とは受け取れません。

来期は、増収の勢いを5分の1に置いている

通期決算なので、進捗の話はありません。代わりに、会社が置いた2027年7月期の予想を、今期の実績と並べます。

2026年7月期 実績2027年7月期 予想増減率
売上高55億3,600万円59億2,000万円+6.9%
営業利益9,400万円1億2,000万円+26.4%
経常利益6,100万円7,500万円+21.7%
純利益2,600万円5,000万円+90.5%

47.3%の増収のあとに、6.9%と置いています。今期は1年で17億円以上増えました。来期の上乗せは3億8,400万円で、勢いは5分の1ほどに落ちる数字です。

気になるのは営業利益と経常利益の差です。今期は9,400万円から6,100万円に落ちました。差は3,300万円です。来期は1億2,000万円から7,500万円まで落ちる予想です。差は4,500万円で、営業外の負担を今期より1,200万円重く見込んでいることになります。7億円の社債の利息が1年分乗る、と考えれば辻褄は合いますが、利率までは読み取れませんでした。

私はどう読んだか

売上50億円超えを喜ぶ側と、その売上を支える在庫と現金を先に借金で用意した側と、どちらに立つかです。私は後者の見方をしています。理由は、営業キャッシュ・フローが2期続けてマイナスだからです。利益の6割近くが利息に消え、粗利率も5ポイント下がっています。増収は本物でも、その増収で現金が残る体質になっていない、というのが今期の数字です。

ライブ販売という新しい売り先を掴んだことと、来期の予想を控えめに置いたことは、良い方向に受け取っています。9月24日に決算説明会があるので、粗利率の下がり方と時価評価差益の額はそこで説明されるかもしれません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

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特別損失の事業撤退損1,938万円が、どの事業から出たものかは読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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