ミスミグループ本社(9962)2027年3月期 第1四半期決算分析――純利益横ばいは前年側の話と読みました

ミスミグループ本社(9962)2027年3月期 第1四半期決算分析――純利益横ばいは前年側の話と読みました 決算を読む

ミスミグループ本社は、工場の設備に使う部品を売る会社です。生産ラインの機械を組む人や、それを設計する人が、ネジやシャフト、直動部品、金型の部品を寸法を指定して注文します。型番で選んで、数日で届く。

作る側と売る側の両方を持っています。自社で作る部品のほかに、他社の製品や工場で使う消耗品をまとめて扱う流通の事業があり、短信ではVONA事業と呼んでいます。

ですから景気の影響は、消費者よりも先に、設備投資をする工場の側から来ます。今回はそこに、データセンターと半導体の設備投資が乗った四半期でした。7月31日に出た第1四半期の決算短信を、最後まで読みます。

この決算で何が起きたか

どの行も大きく伸びています。

項目今回前年同期増減率
売上高1,314億4,000万円993億6,800万円+32.3%
営業利益178億3,700万円96億2,700万円+85.3%
経常利益178億3,000万円102億7,200万円+73.6%
純利益117億300万円72億1,900万円+62.1%

営業利益率は前年同期の9.7%から13.6%へ上がりました。ここまでは表紙の数字です。

3つの事業が全部伸びて、中国とアメリカが大きい

セグメントの表は添付資料の10ページにあります。3つの事業がどれも増収増益で、ただし伸び方は違います。

事業売上高(今回)前年同期比営業利益(今回)前年同期比
FA事業515億5,500万円+53.6%81億3,000万円+107.3%
金型部品事業242億500万円+14.9%29億3,100万円+38.5%
VONA事業556億7,900万円+24.5%67億7,600万円+88.8%

FA事業は、同じ売上で倍の利益が出る商売ではありません。量が増えて固定費の割合が下がったか、値段のいい品物が増えたか、そのどちらかです。

地域別の表は11ページです。中国とアメリカがどちらも5割以上伸びました。

地域前年同期今回
日本418億6,500万円475億3,500万円
中国210億1,000万円315億3,000万円
アメリカ115億600万円188億5,600万円

日本は1割強にとどまります。伸びの大半は海外から来ています。

のれんの償却が乗っても、FA事業は倍になっている

前年の第1四半期に、この会社はFictivという会社を買っています。注記によると、そのときFA事業ののれんが419億9,200万円増えました。今回のキャッシュ・フロー計算書には、のれん償却額7億7,400万円が載っています。前年同期の同じ行は空欄です。

注記には、償却前の利益として91億3,200万円も別に載っています。伸びの一部が買収分だとしても、前年には無かった償却を払ったうえで倍になったのは確かです。

現金が減ったのは、配当と自社株買いを払ったからです

キャッシュ・フロー計算書は9ページです。営業活動の収入は113億200万円でした。前年同期は48億5,900万円で、2倍以上になっています。

それでも現金は3億1,200万円減っています。理由は財務活動の支出が140億6,800万円あったからです。内訳は配当が92億6,200万円、自社株買いが41億5,700万円です。前年同期は買収に484億8,300万円を使い、定期預金を246億5,500万円取り崩して賄っていました。

受取利息が8億500万円から3億8,700万円へ半分になりました。買収で定期預金を減らした跡が、こんな行にも残っています。

営業利益は3割増やすのに、純利益は横ばいという置き方

引っかかったのは、表紙の通期予想です。営業利益の予想は+40.7%なのに、純利益は+10.7%です。第1四半期の実績を引いて、残り9ヶ月にいくら要るかを出してみました。

通期の営業利益は670億円です。今回の実績178億3,700万円を引くと、残り9ヶ月に要るのは491億6,300万円です。純利益は448億円です。今回の117億300万円を引くと、残りは330億9,700万円になります。ここまでは表紙の数字の引き算です。

前年の同じ9ヶ月と並べます。

残り9ヶ月前年(私が割り戻したもの)今期(会社予想から引いたもの)増減
営業利益約379億9,000万円491億6,300万円約3割増
経常利益約388億3,000万円494億7,000万円約3割増
純利益約332億6,000万円330億9,700万円ほぼ横ばい

約の付いた数字は私の計算です。通期予想を表紙の増減率で割り戻して前期実績を出し、そこから前年の第1四半期を引きました。使った増減率は次のとおりです。

項目通期予想の増減率
営業利益+40.7%
経常利益+37.1%
純利益+10.7%

経常利益までは3割増えるのに、純利益だけ動きません。差が出るのは経常利益より下、つまり特別損益と税金です。純利益を経常利益で割ります。今期の残り9ヶ月は330億9,700万円÷494億7,000万円で3分の2です。前年の残り9ヶ月は約332億6,000万円÷約388億3,000万円で8割半になります。

法人税を3割払えば、残るのは7割です。今期の3分の2は、その普通の姿にほぼ重なります。今回の第1四半期も、117億300万円÷178億3,000万円で同じ3分の2でした。妙なのは今期の置き方ではなく、前年の8割半のほうです。……いや、これは前年に何かあったな。

前年の残り9ヶ月に、税金が軽くなる出来事か、特別利益があったのだと考えています。それが何かは、今回の短信には書かれていません。前期の通期短信を私はまだ開いていないので、中身は次に確かめます。

会社はどう説明しているか

添付資料の2ページで、会社側は伸びた理由を2つ挙げています。1つは、AI関連投資で拡大したデータセンターと半導体向けの需要。もう1つは、主要な顧客である自動車関連の一部で需要が持ち直したことです。加えて、Fictiv、エコノミーシリーズ、D-JIT、meviyの効果が想定を上回るペースで出ているとして、通期予想を引き上げました。

需要の話はそのまま受け取ります。理由は、地域別の伸びと、3事業がそろって増益になった数字が、その説明と食い違っていないからです。留保を付けるのは伸びの中身です。買収した会社の分がどれだけか、円安の分がどれだけかは短信に書かれていません。為替換算調整勘定は60億2,000万円のプラスで、円安が海外の数字を押し上げた四半期ではありました。

通期予想に対して、どこまで来ているか

同じ7月31日に、通期予想が引き上げられています。

項目前回の予想今回の予想進捗率
売上高4,915億円5,320億円24.7%
営業利益550億円670億円26.6%
経常利益559億円673億円26.5%
純利益374億円448億円26.1%

進捗率は、今回の実績を今回の通期予想で割った私の数字です。3ヶ月で4分の1が目安なので、上げたあとの予想に対してちょうど乗っています。中間期の営業利益予想は350億円で、第1四半期を引くと7月から9月は171億6,300万円になります。今回よりわずかに低い置き方です。

配当予想も52円98銭から59円45銭へ上がりました。予想の1株利益169円67銭に対して35%です。

私はどう読んだか

本業の伸びは本物だと考えています。理由は、営業利益の増加が営業外や特別利益ではなく、3つの事業それぞれの営業利益から来ているからです。営業キャッシュ・フローも、それに合わせて2倍になっています。

純利益の横ばいは、今期を弱く置いたのではなく、前年の後半に一時的な何かがあった跡だと私は読みました。心配性なので、それでも2つ頭に残ります。伸びのうち買収と円安の分がどれだけか。そして7月以降を第1四半期より少し低く置いた理由です。地政学の不透明さは説明文にありますが、それ以上は短信にありません。上がるかは知りません。

出典:決算短信(会社発表)

https://tdnet-pdf.kabutan.jp/20260731/140120260730504270.pdf

今回わからなかったこと:貸借対照表で流動資産の「その他」が119億1,500万円から171億1,800万円へ増えた中身は読み取れませんでした。


調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。

全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。

買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。

本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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