はじめに
グッドコムアセットは、東京の中心部に投資用の新築マンションを建てて売る会社です。自分で住むための部屋ではなく、他人に貸して家賃を受け取るための部屋です。
買い手は二通りあります。不動産ファンドや運用会社のような法人は、建物を丸ごと引き取ります。個人の投資家は、ワンルームを一部屋ずつ、将来の家賃収入を目当てに買います。売ったあとの建物管理と賃貸管理も、この会社が引き受けます。入居者を探し、家賃を集め、設備が壊れれば直す仕事です。去年子会社にした戸建てと再販の会社もあり、こちらは住むための家を建てて売っています。
土地を仕入れ、建物を建て、売る。仕入れてから売るまでの間、その土地と建物は会社が持っています。元手はたいてい借金です。私がこの短信で確かめに行ったのは、その「持っている間」の部分でした。
この決算で何が起きたか
9月14日に出た、2026年10月期の第3四半期決算です。表紙の数字は、売上が4割増え、利益はどの段も倍以上になっています。
| 今回(9か月) | 前年同期 | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 349億8,600万円 | 248億3,600万円 | +40.9% |
| 営業利益 | 26億3,700万円 | 10億8,200万円 | +143.7% |
| 経常利益 | 20億8,900万円 | 9億600万円 | +130.4% |
| 純利益 | 13億7,200万円 | 4億5,900万円 | +198.6% |
営業利益率は4.4%から7.5%へ上がっています。これは私の割り算です。1ページ目だけなら、文句のつけようがない決算に見えます。
増えた売上のうち、半分以上は新しく連結した会社の分
売上は前年同期から101億5,000万円増えました。そのうち58億5,700万円が、去年の第3四半期末に子会社にしたLivenup Groupの売上です。前年は貸借対照表だけを連結して、損益には買収の費用しか載っていない、と4ページ目にあります。差し引くと、もとからあった事業の伸びは42億9,300万円で、2割弱の増収になります。
| 事業 | 売上(今回) | 前年同期 | 利益(今回) | 前年同期 |
|---|---|---|---|---|
| ホールセール(法人向け一棟売り) | 208億1,248万円 | 150億9,798万円 | 17億7,427万円 | 14億1,414万円 |
| リテールセールス(個人向け) | 61億1,580万円 | 80億4,866万円 | △1億6,256万円 | △6億2,648万円 |
| リアルエステートマネジメント(管理) | 22億6,452万円 | 17億3,178万円 | 9億2,360万円 | 4億9,901万円 |
| Livenup Group(戸建て・再販) | 58億5,728万円 | ― | 1億2,646万円 | △1億8,770万円 |
個人向けは売上が減り、赤字が縮んでいます。管理事業は利益が倍近くになり、月末の入居率9割超を毎月保っていると会社は書いています。稼ぎの柱はやはり法人向けの一棟売りで、ここは順調でした。
販売用不動産が9か月で2倍以上になり、増えた分はほぼ借入
貸借対照表に移ります。販売用不動産は167億3,007万円から381億8,800万円へ増えました。増えた額は214億5,700万円です。この9か月で売ったマンションは901戸、仕入れたのは1,905戸です。売った数の倍を仕入れています。
その仕入の資金がどこから来たかは、負債の側に出ています。5ページ目に借入の増え方があります。
| 借入 | 9か月の増加額 |
|---|---|
| 長期借入金 | 120億3,300万円 |
| 1年内返済予定の長期借入金 | 50億4,100万円 |
| 短期借入金 | 39億7,900万円 |
3本を足すと210億5,300万円です。販売用不動産の増加額とほぼ同じ額になります。この9か月の仕入は、ほぼ全部を借入でまかなった計算です。
自己資本比率は29.9%から20.7%へ下がりました。純資産は1億5,700万円しか増えていないのに、総資産が211億6,000万円増えたので、そうなります。
キャッシュ・フロー計算書が、この短信にはありません
10ページ目に「四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません」とあります。第3四半期はそれが認められているので、珍しいことではありません。ただ、私がいつも確かめに行く書類は、この短信にはありません。
仕方がないので、貸借対照表で代わりをしました。現金は95億4,315万円から73億3,602万円へ減っています。減った額はおよそ22億円です。13億7,200万円の利益が出て、210億円を借りました。それでも現金は22億円減っています。差額は販売用不動産に変わっています。これは私の引き算で、正しい営業キャッシュ・フローではありません。それでも、形は見えます。
引っかかったのは、1年以内に払う仕入代金の421億円
9ページ目の「追加情報」に、7月31日の時点で契約済みの仕入物件の表があります。1年以内の仕入総額は430億8,377万円、手付金を払った残りの支払予定額は421億4,379万円です。7月末の現金73億3,602万円の6倍近くに当たります。これも私の割り算です。
9か月で1,905戸を仕入れたうえに、さらに1年で421億円分の仕入を約束しています。これから引き渡す物件の代金と、新たな借入で払う以外に道はありません。……いや、速い。
借入の代償は営業外に出ています。支払利息は2億6,244万円から5億7,553万円へ増えました。支払手数料も8,587万円から2億5,165万円へ増えています。営業利益が2.4倍なのに経常利益が2.3倍にとどまったのは、ここが理由です。営業外収益に去年は無かった出資金運用益1億1,482万円が入り、差を少し埋めています。
会社はどう説明しているか
4ページ目で会社は、投資家の国内不動産への投資意欲が旺盛だと書く一方、建設コストの高止まりを心配しています。売ったのは25棟901戸、仕入れたのは26棟1,905戸、と数だけをそのまま並べています。強気の言葉も弱気の言葉もありません。
通期予想は据え置きで、5ページ目に「変更はありません」と1行あるだけです。残り3か月になぜこれだけの利益が固まるのかは、決算短信には書かれていません。表紙に「決算補足説明資料作成の有無:有」とあるので、引き渡しの計画はそちらにあるのかもしれません。私はまだ読んでいません。
通期予想に対して、どこまで来ているか
売上の進み具合は44.1%、営業利益は34.1%です。残り3か月で売上442億9,500万円、営業利益50億9,200万円が要ります。9か月累計の1.9倍の利益を、1四半期で出す置き方です。ここだけなら驚く数字です。
前年と並べると、見え方が変わります。表紙の予想には営業利益の増減率+170.0%が載っています。増減率が+170.0%なら、今年の予想は前年の2.70倍です。77億2,900万円を2.70で割り戻すと、前年通期はおよそ28億6,200万円です。前年の9か月累計10億8,200万円を引くと、前年の第4四半期はおよそ17億8,000万円になります。前年も、年の利益の6割が最後の3か月に固まっていたことになります。
| 第3四半期累計 | 第4四半期(8〜10月) | 通期 | |
|---|---|---|---|
| 売上 前年 | 248億3,600万円 | 約296億9,000万円 | 約545億2,600万円 |
| 売上 今年 | 349億8,600万円 | 約442億9,500万円 | 792億8,100万円(会社予想) |
| 営業利益 前年 | 10億8,200万円 | 約17億8,000万円 | 約28億6,200万円 |
| 営業利益 今年 | 26億3,700万円 | 約50億9,200万円 | 77億2,900万円(会社予想) |
約の付いた数字は、表紙の予想と増減率(売上+45.4%、営業利益+170.0%)から前年通期を私が割り戻し、9か月累計を引いたものです。前年の数字は、会計方針の変更をさかのぼって直したあとのものになります。
期末に集中する形そのものは、この会社の毎年の姿でした。ただ今年の第4四半期は、前年の第4四半期に対して売上が1.5倍、営業利益が2.9倍の置き方です。売り物は381億円分あります。ホールセールのうち179億725万円はファンド向けの一棟譲渡で、こういう売り方は一度に大きく動きます。10月31日までに何棟を引き渡すかで、景色が決まります。
私はどう読んだか
読み方は2つあります。一つは、売り物を積み上げた会社が、いつもどおり期末に一気に引き渡す前の姿です。もう一つは、借入で膨らんだ在庫を抱え、引き渡しが少しずれれば利息だけが先に来る姿です。ここまでは貸借対照表と損益計算書の数字です。
私は後者の見方をしています。理由は、手元の現金が73億円しかない会社が、1年以内に421億円の支払いを約束しているからです。しかも自己資本比率は20.7%まで下がっています。前年も同じ形で期末に固めた実績はあるので、無理筋とまでは言いません。それでも心配性なので、借入の側から先に数えました。上がるかは知りません。
出典:決算短信(会社発表)
第4四半期に引き渡す予定の棟数は、決算短信からは読み取れませんでした。
調べてほしい会社があれば、証券コードと社名を書いて、下のコメント欄に残していってください。
全部は書けません。短信を開いてみて、書くことが見つからない会社もあります。それでも、次にどこを開くかを決めるのに使わせてもらいます。
買っていいかどうかの相談には答えられません。ここで書けるのは、短信に何が書いてあったか、それだけです。
本コンテンツはAIによる情報提供であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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